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消費財マーケのデータサイエンティストは、消費者の“本音”を探る仕事【花王】

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「データの裏側にある、消費者の潜在意識を見つめるようにしています」。こう信条を明かすのは、花王でデータ分析に携わる新卒5年目の有地拓也さん。学生時代は文系でプログラミングも「初歩の初歩をかじっただけ」だったが、現在マーケティングのデータ利活用プロジェクトを主導。かつ、社内勉強会で講師を務めるまでに経験を深めている。

特集「データサイエンティストとは何者か」の第5弾。今回は有地さんが担う、ある化粧品ブランドの対顧客関係強化を見据えたプロジェクト事例を取り上げつつ、消費財マーケティングに携わる若手データ分析人材の仕事内容を掘り下げる。【藤崎竜介】

〈Profile〉
有地拓也(ありち・たくや)
花王株式会社 コンシューマープロダクツ事業統括部門 DX戦略推進センター
カスタマーサクセス部 カスタマーアナリティクス室。
早稲田大学人間科学部卒。2017年に花王へ新卒入社し、現在所属するデータ分析のチームに配属される。学生時代は情報メディア教育を専攻。

 

学生時代、プログラミングは「かじっただけ」……それでも新卒1~2年目から重責を担う

――新卒で花王に入り、最初からデータ分析をする今のチームに配属されたそうですね。どんな経緯で、そうなったのでしょうか。

有地:学生時代は、BtoCのマーケティングに関わりたいと思って就職活動をしていました。志望していた中で、業態や社風が一番自分に合っていると感じて選んだのが、花王です。正直、データ分析の仕事を志していたわけではないんです。

――マーケ職で入社して、配属先が今のチームになったということですか。

有地:はい。(データ分析の)適性があると判断されたようです。理由はいまだに分からないのですが……。

例えば、プログラミングは学生時代に初歩の初歩をかじっただけでしたし。

――となると、最初は不安もあったのではないでしょうか。

有地:正直、ありました。「プログラミング経験に乏しいのに、やっていけるのか?」と。

――どのようにスキルを身につけたのでしょうか。

有地:基本はOJTです。あとは、社内の有志による勉強会に参加したり、独自で学んだりしました。

――OJT主体だったとのことですが、最初はどういった仕事から任されていったのでしょうか。

有地:1~2年目は、大手ECサイトにおける花王製品の販売データを扱う仕事が、中心でした。SQLでデータベースから情報を抽出したり、それをダッシュボードにまとめたり、といった感じです。あとは、そのECサイト内の口コミで書かれていることを検証する、テキストマイニング(*)の仕事も結構やりました。

*大量の文章データから必要な情報を取り出すこと

――それを聞くと、新人時代から比較的幅広いことをやっていた印象を受けます。

有地:当初は今よりチームのメンバーが少なく、必然的に新人も多くのことを“やらざるを得ない”という面はあったと思います。おかげで仕事を覚える機会には恵まれました。

短期は1カ月、長ければ1年以上―。多様なプロジェクトに携わるので、飽きない

――その今所属するチームですが、花王の中でどんな位置づけなのでしょうか。

有地:DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略を推進する部門の中で、データ分析を担うチームです。仕事は、マーケティング施策を支援するものが中心ですね。花王が持つさまざまなブランドのマーケ担当から来る相談・依頼に応じて、データの側面からお手伝いします。

――研究開発やSCM(サプライチェーン管理)など、マーケ以外の案件もあるのでしょうか。

有地:研究開発関連の依頼は時々あって、私も関わったことがあります。一方、SCMのデータ分析は違うチームの人たちが担います。

――ではチームの規模や構成について聞かせてください。

有地:計10~20人程度いるのですが、メンバーのタイプは大きく2つに分けられます。1つは私のような、どちらかといえばビジネス寄りのデータ分析担当。もう一つはエンジニア寄りで、データの収集、加工、蓄積といった、インフラ面を整える仕事をしてくれています。構成比は、ビジネス寄りが少しだけ多い、といった感じですね。

――どういう形でプロジェクトに関わるのでしょうか。

有地:まずプロジェクトは大きく分けて短期と長期の2通りがあります。

前者は社内のさまざまな方面から突発的に来る依頼に応えるもので、期間は1カ月前後のものが多いですね。依頼が来たら、まずチーム全体で仮説検証と要件定義を行い、その後分析の担当が決まって、後はその担当者が依頼元と共にプロジェクトを推し進めます。

1プロジェクトの担当者はたいてい1~2人で、若手でも独力で推進することが求められます。そしてプロジェクト終了後の成果は、チーム内で共有・検証されます。

――では後者の長期プロジェクトは、どのようなものになるのでしょうか。

有地:支援対象になるブランドの担当者と継続的に話し合い、マーケ施策の効果アップを図ります。必要に応じて都度データ分析をしつつ、施策のPDCAを繰り返す感じですね。長いと、1年以上続くプロジェクトもあります。

時期によりますが、長期と短期を合わせて2~3件くらいに併行して関わることが多いですね。

――プロジェクトの異なるパターンがあって、かつ商材も多様なので「飽きる」心配はないかもしれませんね。

有地:はい。その意味でいい環境にいると思います。

マーケ担当と二人三脚で挑む化粧品の販売データ活用プロジェクト。反省からの学びはやみくもに分析をしないこと

――今はどんなプロジェクトに力を入れていますか。

有地:注力しているものの一つが、ある化粧品ブランドの自社ECサイトにおけるデータ利活用です。2021年5月にプロジェクトが始まり、既に顧客層の構造や購買行動の傾向をダッシュボード上で可視化できています。足下では、そのブランドのマーケ担当とともに、データ分析から得た“気づき”を基に次の施策を考えているところです。

――もともと、そのブランドにはどんな課題があったのでしょうか。

有地:自社ECサイトは本来、小売りや他社のECサイトを介すBtoBtoC型ではないので、データを通じて顧客と直接つながる好機です。にもかかわらず、そのブランドでは自社ECサイトで生じるデータの活用があまりできておらず、結果として顧客に対する理解が深まっていませんでした。

――どのように顧客の行動などを可視化したのですか。

有地:購買客を年齢層、性別、トライアル購入の有無、リピート購入かどうかといった情報を基にクラスタリングして、傾向をまとめました。これにより、例えばメルマガを送る対象や送付のタイミングを最適化するなど、より顧客に寄り添ったマーケ施策が可能になります。

――有地さんが施策の発案をすることもあるのでしょうか。

有地:そうですね。このプロジェクトでは分析の結果、ある属性の顧客はサイト利用の継続率が低いと分かったので、離脱を防ぐような取り組みを提案しました。

――そのプロジェクトで技術的にチャレンジしていることはありますか。

有地:今述べた顧客の離脱について、その確率を予測する機械学習モデルを作っています。既に、甘めの条件設定ならある程度の精度で予測できるようになりました。厳しい条件下で高い精度が出るようにブラッシュアップして、実用化していきたいと思っています。

――プロジェクトへの参加を通じて、どんな学びを得られていると感じますか。

有地:依頼元がどんな目標を追っていて、どんなKPIがあり、未達の際はどんなアクションを取り得るか、を要件定義の段階でよく考えることの大事さを実感しています。

これは反省から学んだことです。

今述べたことをしっかりやっていれば、データを可視化した後、マーケ施策の検討にもっとスムーズに移れたと思います。今回は、どちらかというとやみくもにデータの可視化を進めてしまった感があるので……。

データが物語るストーリーを読み解くため、「消費者の行動を追体験するようにしている」

――今の仕事で、どんなことにやりがいを感じますか。

有地:色々なアプローチを試しながら、手元にあるデータ群からできるだけ大きな価値を引き出すべく、ひたすら考え続けることですね。また、分析する人によって出てくる価値が違うのも、興味深いところです。

――消費財メーカーならではの面白さはありますか。

有地:販売データなどをうまく分析できると、普段は隠れている消費者の“本音”が見えてくるんです。先ほどの分析する人によって価値が違うという話でいうと、人によって引き出せる本音の深さが変わると思います。

――センスみたいなものの個人差が出るのでしょうか。

有地:それよりも経験でしょうね。どれだけ場数を踏んでいるか、というか。

――なるほど。では経験を積むこと以外で、消費者の本音を深く引き出すために、心掛けていることはありますか。

有地:データが物語るストーリーに対して、好奇心を持つことですね。時間がないとデータの中身をよく見ないで数字だけこねくり回すみたいな状態に陥りがちなので、そうならないよう気をつけています。

――データを単なるデジタルな情報として受け止めないということでしょうか。

有地:そうですね。データの裏側にある消費者の潜在意識を見つめるようにしています。

そのために、例えばあるキーワードでの検索によるアクセス増がデータから分かった場合、実際にそのキーワードで検索してサイトを訪れるなど、なるべく顧客の行動を追体験するようにしています。

未経験でのスキル習得は統計検定2級とSQLから。大事なのは「好奇心と学ぶ意欲」

――今回の特集では、データサイエンティスト、データアナリスト、機械学習エンジニア、データエンジニアの中で、自身がどの辺りに位置づけられるかを答えてもらっています。有地さんの場合はいかがでしょうか。

有地:データサイエンティストとデータアナリストの間くらいですね。

ビジネス寄りなのは間違いありません。既に述べたように、インフラ周りを整えるエンジニア寄りの人が別でいますから。機械学習については、毎回ではないものの、ところどころで使っています。先ほど紹介した離脱率の予測もそうですし、あとは口コミやSNSの投稿内容を自然言語処理の手法で分析する時とかですね。

――それを踏まえて、今後学んでいきたいこと、高めていきたいスキルなどはありますか。

有地:やはり機械学習の知見はもっと深めていきたいですね。今は勾配ブースティングを離脱率の予測に応用するため、あらためて勉強しているところです。

そして学んだことは、なるべく周囲と共有するようにしています。

機械学習ではないですが、先日は状態空間モデルの応用に関する社内勉強会で講師を務めました。講師をやると準備の段階などで「分かっていたつもりでも分かっていなかったこと」などへの気づきがあって、勉強し直す契機になります。

――スキルアップの話でいうと、データ分析の仕事は情報科学・数学系の知識やプログラミングなど、幅広い要素が必要とされています。入社当初は未経験の状態からOJTや独学で学んだとのことですが、どんな流れでスキルを身につけたか、もう少し詳しく聞かせてください。

有地:入社1年目に統計検定2級の勉強・受験を通じて基礎を固めました。それと同時にSQLも覚えましたね。

2年目以降、統計のより深いところを掘り下げていきました。例えば多変量解析とか、もっと細かいところでいうと一般化線形モデルとかです。主に社内外の勉強会を活用しました。それからPythonやRを本格的に使いだしたのも、2年目からです。

――データ分析未経験からキャッチアップする上で、大変さもあったのではないでしょうか。

有地:多変量解析など統計学の理論を理解する上では、正直苦労もしました。大学ではほとんど勉強してこなかった内容ですから。

それでも、なんとかやれています。勉強すること自体、好きですしね。一番大事なのは好奇心と、学ぶ意欲を持ち続けることだと思います。


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