取得しても意味がないのは本当か。証券アナリストを取得するメリットと活かせる仕事とは?
2022/12/03

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証券アナリスト資格は取得しても意味がないと言われることがあり、受験を検討している人のなかには不安に思っている人も多いでしょう。この記事では、証券アナリストとは何かといった基本的なことから意味がないと言われる理由、資格を取得するメリット、活かせる仕事について解説します。



証券アナリストとは?

証券アナリストとは、証券会社や投資銀行などの金融機関で業界や個々の企業の経済状況を調査・分析する職業です。
証券アナリストとよく似た仕事にエコノミストがありますが、両者の違いは証券アナリストが業界や個々の企業を対象としているのに対し、エコノミストは金融市場全体の動向といった、より規模の大きい経済動向を扱っていることです。

また、証券アナリストは、「公益社団法人 日本証券アナリスト協会」が認定する資格の名称でもあります。
日本においては40年以上の歴史がある試験で、金融・証券業界においてはファイナンシャルプランナーや銀行業務検定と並んで最も知名度の高い試験として知られています。
証券アナリスト資格を持っている人のことを、CMA(Certified Member Analyst of the Securities Analysts Association of Japan)と呼ぶこともあります。

証券アナリスト試験の仕組み

証券アナリスト資格を取得するには、日本証券アナリスト協会が実施する講座を受講し、試験を受ける必要があります。 試験は第一次試験と第二次試験の二段階に分かれており、それぞれの試験を受験する前に協会が実施する通信教育講座への参加が必要になります。
二つの試験に合格したうえで、以下の条件を満たせば、検定会員として認められ、証券アナリスト資格が取得できます。

・証券分析業務の実務経験を3年以上(合格前も含めた通算の期間)有する者 ・証券分析に関する学識経験者で証券分析能力を充分に備えた者


証券アナリストの難易度

証券アナリスト試験では具体的な合格最低点は設けられておらず、一定割合の上位得点者の平均得点を基準として合否が判定されます。 協会がホームページで公表している最近5年間の受験者数・合格者数・合格率等によれば、一次試験・二次試験ともに、合格率は50%前後で推移しています。

「最近5年間の合格率(第一次試験)」

合格率(春) 合格率(秋)
2022年 48.6% 47.0%
2021年 51.8% 53.8%
2020年 中止 55.0%
2019年 47.3% 52.6%
2018年 51.3% 51.2%
2017年 48.2% 51.6%
出展:公益財団法人 日本証券アナリスト協会「最近5年間の受験者数・合格者数・合格率等(一次試験)」

「最近5年間の合格率(第二次試験)」

合格率
2022年 54.8%
2021年 52.1%
2020年 53.4%
2019年 45.0%
2018年 49.2%
出展:公益財団法人 日本証券アナリスト協会「最近5年間の受験者数・合格者数・合格率(二次試験)」

日本証券アナリスト協会では、第1次試験3科目合格までの平均勉強時間は200時間程度と発表しています。 合格までに必要な勉強時間数は受験者の事前知識や実務経験にもよりますが、一日2〜3時間の勉強を、3か月程度継続すれば、合格ラインが見えてくると考えられます。 ただし、証券アナリスト試験では一次試験合格の翌年からしか二次試験が受けられない決まりになっているため、合格までには最短で2年かかります。

証券アナリスト資格は「意味がない」と言われる理由

証券アナリスト資格を取得しても意味がないと言われるのは、活かせる業界が限られるのに対し、受験料が高いことに由来しています。

活かせる業界が限られる

証券アナリスト資格は取得した人の証券分野における知識を証明するものです。 そのため、証券会社や金融機関以外に転職する場合はそこまで高く評価されるものではありません。 また、証券アナリスト資格は民間資格なので、国家資格のように、取得するだけで特定の業務を独占できたり、志望する職種に採用されたりするものでもありません。 職場によっては証券アナリスト資格を持っていることが人事考課の参考となることはありますが、基本的には取得すること自体にそこまでのメリットはありません。

受験費用が高い

証券アナリスト資格を取得するには、講座の受講料と第一次試験および第二次試験の受検料が必要になります。また、2022年からは第一次試験および第二次試験の受検料が以下の通り改定されています。 一般会員の場合、下記を合計すると、14万5,000円の金額になり、他の資格取得にかかる費用と比べると、かなりの高額になることが分かります。

「講座受験料」

会員受講者 一般受講者
第1次レベル講座受講料 54,000円 60,000円
第2次レベル講座受講料 57,000円
※会員受講者とは、日本証券アナリスト協会の法人会員・法人賛助会員になっている会社や学校などの構成員を指します。それ以外の方は一般会員の扱いとなります。

「試験受験料」

科目Ⅰ 科目Ⅱ 科目Ⅲ
第1次試験の受験料 6,400円 3,300円 3,300円
第2次レベル講座受講料 15,000円

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証券アナリストを取得するメリット

ここからは資格を取得するメリットについて解説します。

金融や財務の知識が身につく

証券アナリストの資格取得を目指す過程で金融や財務の知識が身に付くこともメリットの一つです。 証券アナリスト試験では、企業の投資価値を正しく評価するために、企業財務に加えてミクロ・マクロの経済学・投資理論、資本市場、金融市場の仕組みにいたるまで幅広い知識が求められます。

そうした知識は、金融機関における資産運用のアドバイザリー業務や企画・営業業務に役立つだけでなく、事業会社での財務戦略の立案やM&Aなどの投資戦略の策定などにも活かせるでしょう。

転職時のアピール材料になる

転職時のアピール材料として証券アナリスト資格が活かせることもあります。 証券アナリスト協会が発表している「CMAの所属内訳」によれば、証券アナリスト試験の受験生には、証券会社、銀行、信託銀行、保険会社といった業界の人が多く、それらの業界の求人では証券アナリスト資格が歓迎条件として設定されていることがあります。

また、会社によっては一次試験までの合格でも可としているところもあるので、資格自体を取得していなくても、過程で得た知識がアピール材料になることもあるでしょう。

証券アナリストの資格が活かせる主な仕事

ここではLiigaに掲載されている実際の求人情報をもとに、証券アナリスト資格を活かせる仕事について解説します。

投資銀行

証券アナリストの資格を活かして仕事をするなら投資銀行は有力な選択肢となります。 投資銀行では法人向けの証券引受業務やM&Aの仲介等を主な事業としており、そのなかでも株式調査部門は株式の調査・分析などを担当することから証券アナリストの資格が最も活かしやすい部門と言われています。

株式調査部門で経験を積んでいくことで、他銀行のM&AアドバイザリーチームやPEファンドに転職することもできるので、証券分野のエキスパートを目指すなら有力な選択肢となるでしょう。

ただし、投資銀行は実務経験が重視される業界でもあるため、未経験で応募する際は、証券アナリストの資格取得と合わせて、証券外務員や米国証券アナリストの資格を取得しておくことも視野に入れておく必要があります。

証券会社

証券会社では市場調査・投資戦略の策定担当や顧客のサポート担当などとして証券アナリスト資格の所有者を歓迎条件としているところがあります。証券会社によっては一次試験通過程度の金融商品知識でも歓迎しているところがあるので、資格を活かして転職をするなら選択肢の一つとなるでしょう。

また、ほとんどの証券会社では人材育成の一環として、証券アナリストの資格取得を推奨しています。一部の企業では、取得することで資格手当などの名目で給与面の優遇をしたり、人事考課の参考資料としたりしているところもあるので、証券アナリストの資格を活かしやすい仕事と言えるでしょう。

ただし、証券会社の求人では該当分野の実務経験と証券外務員の資格取得を必須としているところもあります。証券外務員は証券アナリスト試験と比べると、取得難易度が低く、出題範囲が重複しているところもあるので、合わせて取得しておくようにしましょう。

銀行

一部の銀行でも大企業向けのシンジケートローン組成業務の担当者やポートフォリオのマネジメント業務の担当者として、証券アナリスト資格の所有者を歓迎条件としているところがあります。

また、信託銀行では外国債券・ヘッジファンド商品等の運用管理・運用報告業務の担当者として証券アナリスト資格の取得を必須条件としているところがあります。

どちらの場合も応募に当たっては、金融機関での実務経験や海外事業者と問題なく交渉ができる程度の英語力(TOEIC730〜800点程度)が必要になります。

保険会社

生命保険会社では資産運用のバックオフィス業務担当者や証券化商品投資に係る案件の探索・分析・条件交渉などの担当者として、資格所有者を歓迎しています。 ただし、この場合も実務経験が重視されるため、国内外の企業への与信業務経験や、金融機関の資産運用部門バックオフィスでの勤務経験を必須条件として求められます。

事業会社

事業会社で証券アナリストを活かす場合、資格取得を通じて得た財務分析や銘柄分析の知識を、財務部門や経営戦略部門で活かすことになります。例えば、資金調達をする際に金融機関の担当者と自社の財務状況について話したり、M&Aを検討する際に、買収先企業の事業評価を担当したりすることなどが考えられます。

また、日本証券アナリスト協会によれば、近年では証券アナリスト資格の取得者には商社の人も増えてきています。現代の商社では様々な企業を評価・分析し、投資する、ベンチャーキャピタルのような役割を担うことがあるため、証券アナリスト資格を活かせる可能性があります。

資格取得に役立つ関連コラム

以下は資格を活かしてキャリア形成をしたい方におすすめの記事です。もし、証券アナリスト資格以外の資格取得にも興味がある方は参考にしてみてください。

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証券アナリストは意味のない資格ではない

証券アナリストとは、業界や個々の企業の経済状況を調査・分析する職業のことであり、日本証券アナリスト協会が認定する資格の名称でもあります。 近年では証券会社や運用会社、銀行、シンクタンクM&Aアドバイザリーなどで入社後に証券アナリストの資格取得を義務づける動きもあり、金融業界に転職を検討する際には、取得を検討する価値のある資格です。

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コラム作成者
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