「社会のインフラを守る」。日本のエネルギー領域の課題解決に挑む、A.T. カーニーの使命
2022/07/15

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グローバル戦略コンサルティングファームであるA.T. カーニーのエネルギープラクティス(グループ)では、日本の社会インフラを支える電力会社とのプロジェクトや、経済産業省(以下、経産省)への出向など、“官”も含めたさまざまな視点から日本のエネルギーに関する課題に取り組んでいる。

エネルギー領域の特徴は、社会的意義に直接的につながる仕事が多く、そこに携わる人々の熱量も高いこと。また、複雑に絡まり合った要素から未来を見据える能力も求められる。

シニアパートナーの筒井慎介氏と、マネージャーの坪坂静華氏に、具体的なプロジェクトやエネルギー業界の展望、この領域の魅力などについて語ってもらった。

〈Profile〉
写真左/筒井慎介(つつい・しんすけ)
シニア パートナー
東京大学工学部機械工学科卒。2000年に新卒でジェーシービーに入社し、2009年、A.T. カーニーにジョイン。2013年、2014年に経済産業省資源エネルギー庁電力改革推進室(課長補佐)に出向。2014~2016年度まで京都大学 大学院経済学研究科 特任准教授を務めた。
写真右/坪坂静華(つぼさか・しずか)
一橋大学経済学部経済学科卒。2011年に三菱UFJ銀行に入行し、法人営業に従事。2017年、A.T. カーニーへ中途入社後、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会へ出向し、エネルギー領域のコンサルティングに従事。

※内容や肩書は2022年7月の記事公開当時のものです

東日本大震災を契機に、社会インフラとしてのエネルギーに関心を持った

――まずは、筒井さんの経歴を教えてください。

筒井:2000年に新卒で大手カード会社のジェーシービー(JCB)に入社し、クレジットカードのICカードへの切り替えを推進する業務や人事などに携わっていました。

A.T. カーニーに転職したのは2009年。初めは過去の経験を生かした金融系や通信系のプロジェクトに多く携わっていましたが、2012年にマネージャーに昇格して自分の専門領域を決めるタイミングとなり、エネルギー領域にチャレンジすることにしました。その時から、現在に至るまでエネルギー領域のプロジェクトに従事しています。

2013年には、A.T. カーニーから出向者を出してくれないかという打診が経産省からあり、私が「今後の自身のキャリアを考えるに当たり、エネルギー領域の専門性を高めたい」という相談を社内でしていたこともあって、経産省へ出向することになりました。

そこから1年間、経産省の資源エネルギー庁に出向して“官”の目線を学び、その後はそれまで持っていた民間(金融系・通信系)の目線も生かしつつ、コンサルティングを行っています。

――エネルギーに興味を持ったのは、どのような理由からですか。

筒井:2011年に東日本大震災があり、原子力の問題やエネルギー、電気についての話題を目にする機会が増えたことで、社会インフラとしてのエネルギーはこれからどうすべきなのだろうと関心が高まりました。

エネルギー領域にバックグラウンドや知見があったわけではないですが、震災後にエネルギー関連のプロジェクトに1件アサインされていたこともあり、ここに腰を据えてやってみたいと思ったんです。 description

個々のモチベーションやパッションを生かし、自律的なキャリア形成ができると感じた

――坪坂さんの経歴を教えてください。

坪坂:2011年に三菱東京UFJ銀行(現・三菱UFJ銀行)に入行し、2年半にわたって法人営業を経験しました。その後、配偶者の海外転勤に伴って海外に移住したため、3年ほどビジネスの場から離れました。

2017年に日本に帰ってきたタイミングで仕事を再開しようと考え、就職活動をコンサル業界に絞って行いました。

というのは、金融業界はキャリアを自分で選択できない一面があるため、適性や興味に沿って次の道が選べるかというと、なかなか難しいところがあります。

一方、コンサルタントは、自分の興味や適性に合わせて業界やテーマを選ぶことができますし、チームが少人数なので自分と合う人と働きやすい。そのため、コンサルタントとして、自分の居心地のいい形で、能力を最大化できるキャリアを選べるのではないかと考えたんです。

その中でA.T. カーニーは、他のコンサルティングファームに比べて少数精鋭であるため、特に「個」を尊重する文化があると感じました。個人の意見も通りやすく、各自のモチベーションやパッションを生かしたキャリア形成ができそうだと思えたことが魅力でしたね。

――転職活動では、3年間ビジネスの場から離れていたことが不利に働くこともあったのではと思いますが、A.T. カーニーではどうだったのでしょうか。

坪坂:たしかに、それがネックとなって面接にたどり着けないコンサルティングファームもありました。A.T. カーニーはエージェントにも勧められて受けたのですが、印象的だったのは、年齢や性別、経験の有無などで人を判断しないことですね。

加えて、面接の対話の中でその人の本質を見抜こうとしていること、その対話自体を楽しんでいることが感じられたんです。

ケース面接でも、面接官が一緒に議論をして建設的に解を生み出すことや、お互いに今までになかった視点を見いだすことを楽しんでいるように感じられ、A.T. カーニーにはそういった人が多いのかなと思いました。

――入社後、どのようなプロジェクトに携わりましたか。

坪坂:最初の3年間は、幅広い業界やテーマを経験しました。2年前からは、エネルギーと通信に自分の関心がフィットすると感じるようになり、それらのプロジェクトに多く携わるようになりました。そして、2022年1月から経産省の電力・ガス取引監視等委員会に出向し、電力を売買する市場における取引の監視と、市場の制度設計を担当しています。

――坪坂さんがエネルギー領域に興味を持つようになったのは、なぜでしょうか。

坪坂:理由は大きく2つです。1つは、経済合理性が求められる業界であるため、その論理解を追求するのがとても楽しいこと。

電力は貯めることが難しく、発電量と消費量のバランスを同時にとらなければ停電が起きてしまうといったように、非常に取り扱いにくい財です。

そのため、企業の自由競争に任せると不経済が発生する恐れがあるので、一定の規制やルールが必要になります。

つまり、業界全体でその経済合理性を考えていく必要があるんです。経済合理性を求めて論理解を出していくというのは、まさにコンサルティングの得意とする領域。そこに面白さを感じました。

もう1つは、業界に携わる人の熱量が高いこと。エネルギー業界では、各社が自社利益を追求するだけでなく、中長期的な視点で日本という国の電力供給の維持やバランスを考えていくことが必要です。

その使命感がクライアントやコンサルタントの熱量にもつながっているので、エネルギー領域に携わる人はみんな志が高いと感じられたことも魅力的でした。 description

電力会社の今後10年の見通しについて、A.T. カーニー内で苛烈な議論を行った

――現在、A.T. カーニーではどのようなプロジェクトに携わっているのでしょうか。

筒井:多様な仕事がありますが、特に電力会社さんとのプロジェクトが多いですね。例えばウクライナ情勢に関係するところで、資源の輸入はこれまで通りでいいのか、もっと柔軟性を持たせるにはどうすればいいかといった課題に取り組んでいます。

脱炭素やカーボンニュートラルに関心が高まる中で、火力発電所が減っていくとしたら火力の代わりにどんなエネルギー供給をすべきなのかといった議論をすることもあります。

また、エネルギー系企業だけでなく製造業や金融機関などから、それぞれの立場でどのように脱炭素に向き合うか、脱炭素を契機に何らかの新しい機会が得られないかといった、さまざまな相談が寄せられています。

――エネルギー領域のプロジェクトで、印象的なエピソードを聞かせてください。

坪坂:電力会社の今後10年間の収益のシミュレーションをするというプロジェクトが印象に残っています。

電力会社と一口に言っても、発電部門や小売部門、送配電部門などたくさんの部門があります。各部門それぞれの規模も大きく、さらに10年先まで考えるとなると、規制がどのように変わっていくのか、脱炭素の流れがどの程度施策に反映されるのか、原子力がどう動くのかなど、不確定要素ばかり。それでも将来の見立てを行っていきました。

私は送配電部門を担当し、海外の事例を参考に、将来の日本の制度がどう変わっていくのかをシミュレートしました。

その際、他のコンサルタントと、論理的に考えてどのような前提を置くかについて熱く議論しました。A.T. カーニーは役職や上下に関係なく自分の仮説を持ち、議論の中で意見をぶつけていくことが推奨される文化があります。

下から上に対してだけでなく、横同士でも苛烈な議論をしながら進めていたのが非常に印象的でしたね。クライアント側からも、こちらが提示したものに深く関心を持って意見していただき、より議論が深まっていきました。

筒井:実は、エネルギー領域で10年後はそう遠くないんです。例えば、発電所などを新しくつくれば少なくとも20年や30年は稼働させていくので、その先も発電所を「使い続けていけるかどうか」を考えなければならない。プロジェクトを進める上で、2050年あたりを見据えながら議論することも多いんですよね。

A.T. カーニーには、新しい解を探す機会が豊富にある

――筒井さんから見た、エネルギー領域の特徴や魅力は何でしょうか。

筒井:1つは、先ほど坪坂が話したように、経済的に合理性のある解を追求することです。ただ、そこにはさまざまな要素が激しく変化しながら複雑に絡まり合っていて、非常に難しいというのが特徴です。

もう1つは、社会的な意義を語りやすいということ。そのため、そういったことを語りたい人が集まっているということも魅力的だと思います。

A.T. カーニーには日々多くの相談が寄せられます。ただ、少数精鋭の組織であるため、全ての案件を受けられるわけではありません。社会的インパクトや難易度の高いものを優先的に進めている、というのが実情です。

だからこそ、そうした課題に対して「自分が面白いと思えるかどうか」が非常に大切です。難しい課題に新しい“解”を見いだしたいのであれば、A.T. カーニーでエネルギー領域に携わることは特に魅力的だと思います。

――お二人とも経産省への出向経験をお持ちですが、経産省からコンサルタントに求められることは何ですか。

筒井:官僚の方は必ずしも業界の専門知識や事業者の感覚を持っているわけではないので、コンサルタントには“民”の知見を補うことが求められています。また、分析や論理的思考といったコンサルならではのスキルも期待されていると感じます。

坪坂:また、時には限られたコミュニケーションの中で事業者側の真意をくみ取る必要があるため、そういったところにもコンサルで携わったプロジェクトでの経験が役立っていると感じます。

コンサルのスキルも日々生きているのを実感していますね。また、限られた時間で多くの業務を推進しなければならない中で、スタイリッシュに業務を進めていくマネジメント力も役立っています。

――経産省に出向しているからこそ得られていることはありますか。

坪坂:A.T. カーニーのコンサルタントとしてプロジェクトに関わるときは、クライアントが発電事業者であれば発電事業者の目線、送配電事業者であれば送配電事業者の目線といった形で、そのクライアントの目線から業界を見ます。

でも、「ルールメーカー」という立場である経産省や、経産省にひも付く電力・ガス取引監視等委員会では、一参加者の目線だけでなく、多面的に業界のメカニズムを見て、どのレバーを引けばどんな問題が起こるのかを俯瞰(ふかん)的に考える必要があります。

「コンサルタント」という立場でもその視点が得られないわけではありませんが、経産省ではそれをより早く手に入れられていると感じますね。

――今後のエネルギー業界はどうなっていくのでしょうか。筒井さんの考えを聞かせてください。

筒井:一言で言えば、まだ不透明です。日本での議論はもちろん、世界的な議論でも2050年にどうなっているかは、誰も決め切れていません。

ただ、二酸化炭素の排出量を減らしていこうという大きな流れは、変わらないと思います。炭素を出さないエネルギーはたくさんありますが、その中でも経済的で、安定供給できるものは何なのかなど、さまざまな要素で決まっていくことでしょう。

世の中の風潮で分かりやすいのは、再生可能エネルギーを増やす傾向があること。それ自体は何ら悪いことではありませんが、やや過熱気味だと感じています。それを極端に推し進めることで経済活動や電力の安定供給に悪影響を与えるのではないかという懸念があります。

しかし、それを声高に訴えると、「脱炭素に反対なのか」と悪者扱いされかねないので、うまくバランスを取りながら、どういった落としどころがいいのかを探っているところですね。

個人的には、「社会インフラを守っているんだ」という電力会社のプライドを尊敬しています。社会の要請と、彼らがプライドを掛けている日本の社会インフラの安定という両者をどのような形で達成するのかを、A.T. カーニーの立場でずっと考えていきたいです。 description

コラム作成者
外資就活ネクスト編集部
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