未経験でデベロッパーに転職する方法は?傾向と対策、企業選びのポイント
2023/11/06
#デベロッパー
#選考対策

description 未経験や第二新卒でも、デベロッパーへの転職は可能です。採用の傾向は大手と中小で異なりますが、どちらにも転職できる可能性があります。ここではデベロッパーの中途採用の傾向や未経験から転職するための対策、あると良い資格、企業の見極め方について解説しています。


デベロッパーとは

デベロッパーとは、土地や街の開発を行う事業者を指します。 オフィスビルや商業ビル、アウトレット、マンション、住宅地などの開発を行う他、時には街全体の開発にも携わります。

なお、同じ土地や建物を扱う企業に「ゼネコン」があります。 ゼネコンはデベロッパーの開発計画をもとに建設を担う、総合建設業者です。ただし最近ではゼネコンが開発計画を立てるなど、業務が重なっていることもあります。

デベロッパーの種類


デベロッパーには、商業施設やオフィスビル、マンションなど多種多様な開発を行う「総合デベロッパー」と、マンションなど特定の開発に特化した「専門デベロッパー」があります。 総合デベロッパーの代表例は三井不動産や三菱地所です。企業規模が大きく、平均年収も高い企業が多くあります。ただし転職難易度もかなり高いです。 一方、専門デベロッパーの例ではライオンズマンションを展開する大京(マンションデベロッパー)が挙げられます。

仕事内容


デベロッパーの仕事は、大まかに以下の4種類です。
  • 用地の取得
  • 企画・開発
  • 販売
  • 管理

  • 用地の取得では、開発に適した土地を探し、地権者と交渉して土地を取得します。企画・開発業務では、建物や街の構想を考えたり、建築の管理を行ったりします。販売業務ではテナントの誘致や住宅の売却を、管理業務では建物の管理・運用を行います。

    高収入・好待遇な企業も多い


    デベロッパー全体の平均年収は500万円前後で、日本の労働者の平均年収(※)より高いです。特に大手では、平均年収が1,000万円を超えるデベロッパーも多数あります。 ※厚生労働省「令和3年分民間給与実態統計調査」
    また不動産業界と言えば、激務のイメージを抱く人も多いです。
    しかしデベロッパーにはホワイト企業も多数あります。安定した企業であれば完全週休二日制・年間休日120日程度が一般的です。 こうした環境の良さからデベロッパーは離職率が低く、だからこそ中途採用が限られる傾向があります。

    大手総合デベロッパー勤務 木津雅紀氏(仮名) (環境は)とてつもなくホワイトだと思います。理不尽なことはなく、風通しが非常にいいです。

    ただ、部署や一緒に働く人、プロジェクトの波によって忙しくなることもあります。 (中略)浪人や留年をせずに新卒で入っていたら30歳手前となる、7〜8年目には年収1,000万円を超えるという感じです。(自社では)8年目になれば確実に1,000万円のラインは超えますね。
    インタビュー詳細はこちら

    市場傾向と将来性


    不動産市場はコロナ禍で一時的に縮小したものの、現在は回復傾向にあります。ただし日本では人口減少やリモートワークの普及などで住宅需要・オフィス需要の減少が見込まれ、必ずしも将来が明るいとは言えません。 他方で、大手を中心に海外事業などの新規事業に乗り出しているデベロッパーも多いです。興味のあるデベロッパーがあれば、応募前に企業の今後の方針を確認してみると良いでしょう。

    未経験でもデベロッパーへの転職は可能

    企業規模に関わらず、未経験でもデベロッパーへの転職は可能です。 ただし大手と中小では、求人の傾向が異なります。また年齢制限を設けているデベロッパーも多いので、転職にはタイムリミットがあることも認識しておきましょう。

    大手は経験不問の総合職採用が中心


    大手デベロッパーは新卒採用を基本とする傾向が強く、離職率も低いので、中途採用の枠が少ないです。また企業によっては学歴フィルターがあるといわれています。実際に、早稲田・慶応・一橋大学や国立大学の出身者が多数を占めるデベロッパーもあります。 学歴といった面でハードルの高い大手ですが、採用はIT/DX系などの一部職種を除き、新卒と同様の総合職採用が中心です。そのため経験不問のケースも多くあります。

    例えば三井不動産の場合、募集職種は総合職と技術職(IT系)の2種類です。総合職は業界経験不問で、実際にさまざまな業界からの転職者がいるようです。

    中小は職種ごとの採用が多い


    中小デベロッパーの中途採用では、専門職採用を行っていることが多いです。また大手のグループ会社や子会社でも、同様の傾向が見られます。 未経験で応募できる職種は、営業職や事務職が中心です。用地取得や企画・開発、品質管理に関わる職種では、業界経験を求められることがほとんどです。

    【注意】転職するなら35歳までに

    description

    デベロッパーは従来から新卒採用を中心としており、長期雇用でキャリア形成を促す傾向があります。そのため、応募には年齢制限がついているケースも目立ちます。特に未経験可の求人では、30〜35歳以下に限られていることが多いようです。

    採用は増加傾向 ここ数年は住宅需要やオフィス需要の減少を見越して、海外事業への進出やスマートシティ開発といった新規事業に力を入れるデベロッパーも多いです。そのため中途採用は増加の傾向にあります。 ”前回お話ししたプロ職採用も増えています。不動産に限らず、事業をどんどん広げているので、人手不足が明確なんですよ。(大手総合デベロッパー勤務)” ※インタビュー記事の全文はこちら

    未経験でデベロッパーに転職するには?

    就職・転職先として人気のあるデベロッパーは、全体的に転職難易度が高めです。そのため以下のような対策をすると良いでしょう。
  • 各企業の応募条件を確認
  • 不動産系資格の取得
  • 語学力の向上

  • 各企業の応募条件を確認


    まずは応募できる企業と職種、応募の諸条件を把握しましょう。 特に年齢制限はしっかり確認してください。せっかく応募のチャンスがあったのに「資格取得や現職の業務に追われて、気づいたらタイミングを逃していた」となっては勿体ないです。

    不動産系資格を取得する


    デベロッパーへの転職に必須の資格はありません。しかしデベロッパーへの転職者の中には、不動産業界の経験者も多数います。新卒・中途問わず「最低限の不動産知識はあって当然」と捉えている企業も少なくありません。 少しでも好条件の企業に転職するため、不動産系の資格は積極的に取得しましょう。 業界未経験でも取得できる資格については、次の章でご紹介しています。

    語学力を磨く


    最近は海外事業に力を入れているデベロッパーも多いです。特に大手は海外事業に積極的なため、英語力を証明できるTOEICなどの資格があると良いでしょう。資格として有利になる目安は、TOEIC800点以上相当です。

    どんな人がデベロッパーに向いている?
    デベロッパーでは、以下の3つのスキルが重視されます。
  • コミュニケーション能力
  • マネジメント能力
  • 決断力

  • デベロッパーはチームで動くことが多いです。またどの業務でも、交渉や説得が欠かせません。そのためコミュニケーション能力は必須のスキルと言えます。

    さらにデベロッパーでは、一つのプロジェクトで多額の資金や人が動きます。だからこそ、マネジメント能力や決断力が求められます。

    ”(社員は)「大胆かつ繊細」な人が多いと思います。それから自らの仕事に情熱を持って細部まで突き詰めて仕事をする人が多いですね。

    たとえば日本橋の街づくりをはじめ、どの仕事もだいたい2〜3人のチームでやっているので、自分の意思決定がそのまま形になります。自分の発言やふるまいが、事業の質や損益、そして地主やテナントをはじめとするパートナーのモチベーションにいかに影響を与えるか、その重みをわかっているんだと思います。

    (三井不動産株式会社 海外事業本部 中田敏文氏)”
    ※中田敏文氏のインタビュー記事全文はこちら

    あると良い資格

    業界未経験でも取得できる、あると便利な資格をご紹介しています。 description

    宅地建物取引士(宅建士)


    宅建士は不動産取引の専門性を示す国家資格です。

    ”デベロッパーでは、各事業所等の業務従事者5人に対して1人以上の割合で宅建士を配置しなければいけません。” そのため職種に関係なく重宝される資格で、応募条件に定めている企業もあります。

    受験資格に制限はありません。合格率が15%前後と低いので、勉強時間が限られる場合は通信講座などを利用すると良いでしょう。

    再開発プランナー/再開発コーディネーター


    いずれ企画・開発に関わりたいのであれば、再開発系で唯一の資格である再開発プランナー/コーディネーターを取得すると良いでしょう。 20歳以上なら誰でも受験でき、学習内容も一部宅建士と重複しています。

    マンション管理士/管理業務主任者


    マンション管理に関わる国家資格です。マンションデベロッパーの営業職などに転職する場合は、取得しておくと便利でしょう。 マンション管理士と管理業務主任者はそれぞれ別の資格ですが、どちらかの試験に合格すると、もう一方の試験を受ける際に試験内容の一部が免除となります。

    英語系の資格(TOEIC800点以上相当)


    先述の通り、海外事業部などでの勤務を希望するのであれば、語学力が必須です。TOEIC800点以上相当の資格を取得しましょう。

    自動車免許(AT可)


    自動車免許は、特に中小デベロッパーの求人で応募条件になることが多い資格です。例えば営業職では、商品である建物に顧客を案内するのに車を利用することが多いです。

    未経験可の求人の見つけ方

    ここからは、未経験可のデベロッパーの求人の探し方を解説します。 求人の探し方は、以下の3通りです。

  • 方法①求人サイトで探す
  • 方法②企業HPを確認
  • 方法③エージェントを活用

  • 方法①求人サイトで探す


    description
    未経験可の求人を探す最も簡単な方法は、求人サイトの活用です。求人サイトでは絞り込み検索ができる他、一気に複数の企業の求人を確認できるところも魅力です。


    なお、Liigaでもデベロッパーをはじめとする求人情報を掲載しています。「未経験可」「若手向け」「第二新卒可能」「海外勤務」といったこだわり条件も設定も選択可能です。 Liigaの求人検索ページで「デベロッパー」の求人を探してみる


    方法②企業HPを確認


    特に大手は人気が高いため、求人サイトを活用していないこともあります。また募集も年に一度の短期間に限られていたり、そもそも中途採用の枠がなかったりするので、小まめに企業HPを確認しましょう。

    方法③エージェントを活用


    デベロッパーのように求人数が多くない転職では、エージェントの活用もおすすめです。自分の希望条件に合うデベロッパーを探して、求人情報を紹介してくれます。 ただし業界に強いエージェントでないと、依頼しても求人情報が入ってこない可能性もあります。そのため業界に強みのあるエージェントを選ぶことが重要です。

    Liigaではエージェントの口コミ評価の他、各求人情報の紹介元のエージェント情報も掲載しています。

    企業選びのポイント

    応募企業を選ぶ際には、以下の2点を押さえると良いでしょう。

  • 応募条件を満たすなら大手に挑戦
  • 大手のグループ会社や子会社も視野に

  • 大手デベロッパーはホワイト企業が多く、盤石な経営基盤で将来性も期待できます。競争倍率は高いですが、学歴も含めた応募条件を満たすなら、大手にも挑戦することをお勧めします。 学歴などの面で応募が不安な場合は、大手のグループ会社・子会社を狙うのも良いでしょう。

    未経験可だからこそブラック企業に注意


    ホワイト企業が多いとされるデベロッパーですが、中にはブラック企業も存在します。こうした企業は常に人手不足のため、未経験の採用も積極的に行っていることが多いです。
    「未経験歓迎」「9割が未経験者」と謳っていても安易に応募せず、募集要項を精査してください。

    例えば以下のような企業は、ブラック企業の可能性があります。

  • 離職率が高い
  • 平均勤続年数が5年前後など短い
  • 給与が異常に高い
  • ひと月の残業時間が40時間前後やそれ以上
  • 常に同じような求人が出ている

  • 未経験可で給与が高すぎる場合は、ノルマを課していたり、固定残業代が含まれていたりする可能性があります。また毎月の残業時間は原則として最大45時間ですが、残業時間がこれに近い数字でないかを確認しましょう。

    またブラック企業は常に似たような求人を出しています。求人サイトなどで同じ社名の情報をいくつも見た場合は、要注意です。

    ここまでご紹介したように、デベロッパーへの転職は未経験でも可能です。ただし求人数は多くないので、エージェントなども活用しながら、自分に合う求人を探しましょう。

    Liigaでは求人検索とエージェントの検索をまとめて行うことができます。特にエージェント検索は、口コミを見ながら自分でエージェントを選べるので便利です。

    また各業界の第一線で働く人々のインタビューも掲載しています。インタビューでは業界の転職事情なども紹介されていますので、これから転職を目指す方は情報収集にぜひご活用ください。

    コラム作成者
    Liiga編集部
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