はじめに
コンサルというと、従来の戦略コンサル、組織コンサル、ITコンサル、会計コンサルに加えて、デザインコンサルが職種として確立されています。
デザインコンサルティングはビジネスにおける従来の発想を大きく変え、ビジネスの在り方を変化させました。デザインコンサルは優秀な人材が集まる場所としても注目を集めています。
今回はデザインコンサルの概要と実際の企業やコンサルタントについて紹介します。
デザインコンサルティングファームとは
デザインコンサルティングファームとは、あらゆるプロダクトのデザインについて提案、作成を実施する企業のことを言います。
新しい発想を必要としているクライアントに対して、創造のための新しい道具や方法論を提供しているのですが、簡単に言うと、製品デザインだけではなく、体験、サービス、ビジネスのデザインまで行います。
代表的な企業として、「デザイン思考」で知られるシリコンバレーのIDEOやfrog designなどが挙げられます。
実例としては、アップルの初代マッキントッシュから始まり、世界初のフラットパネルTV、スマートフォンのユーザーインターフェースなど、様々な作品の構想・試作品の制作・製品化のプロセスに関与しています。
デザインコンサルティングファームの出来た経緯
近年まで、コンサルティングサービスといえば、マッキンゼーなどの戦略コンサルティングファームが提供するサービスと考えられていました。
しかし、近年における主な収入源は、従来多く行われた事業の分析や戦略の策定よりも、計画の実行となっています。
クライアントの企業に入って、一緒にプロジェクトを運営することが圧倒的に多くなってきています。
これは、戦略コンサルが従来価値を生み出していた思考やフレームワークが、時間の経過とともに数千人にもなる戦略コンサル卒業生によって、多くの企業に浸透してきたことを反映しているためです。
つまり、今まで通り戦略を策定しているだけでは、価値を生み出すことが出来なくなってきているのが現状です。
そこで、次にやってくる希少性の高いコンサルティングサービスは、デザインコンサルティングであると考えている人が多くいます。
戦略コンサルがこれらの企業を買収する理由として大きいのは、やはりクライアント企業への付加価値を付けていく上でのデザインの必要性拡大でしょう。
AIやIoTなどのテクノロジーの進化が進む中、それらをユーザーに対して分かり易く実感して貰うためには、ユーザーインターフェイスの重要性が非常に大きいからです。
単なる戦略策定から、実行支援へとサービスの範囲を広げるコンサルティング業界において、自らプロトタイプを制作し、テストマーケティングを実行するというような案件も増えています。
そんな中、毎回外部のデザインコンサルティングファームに依頼するのではなく、その領域も自社に取り込み、場合によっては、差別化の要素としていくことを選択するファームが増えつつあるのです。 戦略コンサルは、時代とともに、戦略提案から実行支援へとサービスの比重が移りつつあります。
また、企業の競争においても、テクノロジーやユーザビリティなどの要素の重要性が高まりつつあります。
そうした環境の変化の中でクライアントに対して高い付加価値を出し続けていくために「デザイン」が重要視されるのは至極当然のことです。