未来の不確実性が高まる時代。サプライチェーン×リスクコンサルティングの連携で、前例のない課題解決に挑む
2022/05/13

sponsored by PwCコンサルティング合同会社 description

PwCコンサルティング合同会社(以下、PwCコンサルティング)では、部門を超えたチームでプロジェクトに取り組むケースが少なくない。地政学リスクが高まり、変化が激しい時代ならではの課題解決の一つに、サプライチェーンマネジメント(以下、SCM)とリスクコンサルティングの協業がある。この二つがコラボレーションすることで、サプライチェーンの大きな変革を起こすきっかけになるという。

「リスクが、経営の新たな機会をつくる」「リスクコンサルティングとサプライチェーンの協業は、今後のPwCコンサルティングの差別化要素になる」と同社パートナーの齋藤篤史氏と田中大海氏は語る。二人に、部門間連携の背景やそれによって果たす使命を聞いた。

〈Profile〉
写真左/齋藤篤史(さいとう・あつし) パートナー
リスクコンサルティング事業部
都市銀行・大手コンサルティングファームでの勤務を経て、2010年1月にプライスウォーターハウスクーパースコンサルタント株式会社(現PwCコンサルティング合同会社)入社。20年超に渡り、総合商社、メガバンクを中心に、製造業、電力・ガス業界、食品・消費財業界などの幅広いクライアントに対してリスクと一体化した経営管理関連のコンサルティングサービスを提供。
写真右/田中大海(たなか・だいみ)パートナー
大学卒業後、日系メーカーに入社。コンサルティング会社との協業経験をきっかけに、PwCコンサルティングの前身企業に転職。SCMを中心とした業務改善コンサルティング、M&Aに関わる経営戦略の立案・マッチング・企業評価・デューデリジェンスなどを経験。現在は、PwCコンサルティングのパートナーとしてオペレーション部門の責任者を務め、バリューチェーン全般におけるオペレーション改革、経営計画・予算と短期計画・実行の連携による経営の高度化や競争優位性の確立に携わる。

※内容や肩書は2022年5月の記事公開当時のものです。

金融のキャリアを生かし、リスクコンサルティグ事業部立ち上げに参加

――お二人のこれまでの経歴を教えてください。

齋藤 :私のキャリアは銀行からスタートしています。そこで営業を担当した後、大手コンサルティングファームに転職しました。そして2010年にPwCコンサルティングの前身の会社に入社し、現在に至ります。

前職のコンサルティングファームでは、銀行にいた経験を生かして金融チームにジョインしたものの、当時は金融の仕事がほとんどない時代だったこともあり、総合商社、製造業などのプロジェクトにも多く携わりました。その後、金融チームでもメガバンク担当パートナーを経験し、リスクコンサルティング事業部の立ち上げと同時に異動したという形です。

かつて銀行で企業のリスクを見て融資判断をしていた経験をベースに、コンサルティングでも「リスク」を軸に、クライアントの経営計画を立てたり、リスクを定量化したりするようなプロジェクトに携わってきました。

元々PwCコンサルティングには、金融チームの中にしかリスクコンサルティングの機能がなかったのですが、金融以外のクライアントに対してもコンサルティングを提供していくことになり、現在のリスクコンサルティング事業部を立ち上げた経緯があります。 description 齋藤氏

――田中さんは日系メーカーからコンサルティング業界へ転職しています。キャリアを通してサプライチェーンに携わっていますね。

田中 :新卒で家電メーカーに入社し、テレビやビデオデッキのメーカー部品や電子部品など、さまざまな材料の調達からキャリアをスタートしました。生産現場に行って生産管理や生産技術に携わり、次に、業務とシステムの両方に携わった経験からサプライチェーン全体のプロジェクトに参画しました。

サプライチェーンのプロジェクトで調達、生産、物流、販売という一連の流れに触れた後、今後はITスキルも必要だと考え、IT部門に異動しました。そこで社内コンサルティングのようなことをやっていたのですが、事業部が他社に買収され、本社に戻れなくなったことをきっかけに、コンサルティング業界に転職をしました。

コンサルティングファームでもずっとサプライチェーンに携わり、調達、生産、物流、販売に加えて、アフターサービス、管理会計なども経験しました。コンサルティング業界で最初に入社したのはPwCコンサルティングの前身企業ですが、一度他社に転職をして、再びPwCコンサルティングに戻りました。

古巣に帰るきっかけとなったのは、PwCコンサルティングがSCMの領域をさらに強くしていくという話を聞いたからです。これまでの経験を生かすチャンスではないかと思いました。

SDGsと地政学リスクがサプライチェーンマネジメントの大きな柱に

――田中さんが責任者を務めるオペレーション部門の業務内容を教えてください。

田中 :オペレーション部門の特徴は、調達、生産、物流、販売といったサプライチェーンの各機能を、全て一つのチームで受け持っていることです。他社のコンサルティングファームでは、各機能別に部署が分かれていることが多いです。

一般的にSCMのプロジェクトでは、メインテーマが調達から物流に移るとき、対応するコンサルタントのチームそのものが変わることが多いので、部署間での引き継ぎに時間がかかると、調達チームから物流チームへスムーズに連携できません。さらに、「物流」にあると思っていた問題の原因が「調達」にあると分かったタイミングで、物流チームが手を引いてしまうこともあり得ます。

そこで、PwCコンサルティングでは一つのプロジェクトに関わる調達、物流、生産、販売、管理、計画受注、会計を一つのチームが受け持つことで、部署間をまたぐことなくクイックに引き継ぎ、状況の変化に柔軟に対応することにしました。

かつて、SCMの王道はQCD(*)を管理することでした。つまり、品質を保ちながらコストを下げ、納期を守ることが重要視されてきましたが、最近はSDGs(持続可能な開発目標)と、齋藤と一緒に取り組んでいる地政学リスクという二つの要素も、SCMで取り組むべき軸となっています。 *Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)の頭文字を並べた生産管理を行う上で重要な項目

――「SDGsと地政学リスクがSCMで取り組むべき重要な軸」となってきたのはなぜでしょう。具体的に教えてください。

齋藤 :まず背景として、従来の地政学が指すものは、いわゆる安全保障でした。しかし今は、経済と安全保障が合体し、「経済安全保障」という言葉が生まれています。一例には、米中の対立にEU(欧州連合)が加わり、米中EU間での経済政策を中心とするルールメイキングの動きが活発化していることが挙げられます。

昨今は、そういった地政学的な動向の中に環境や人権といったSDGsの観点も加わってきています。

原材料の供給である上流から消費者に至る下流までの長いサプライチェーンに対して、経済安全保障や地政学の影響が多様かつ大きくなったことで、それに対応しなければならないと悩む経営者が増えてきました。私たちとしてもオペレーション部門との協業が必須と感じています。

田中 :地政学リスクとSDGsの軸は、サプライチェーンに大きな変革を起こすきっかけになります。これまで、SCMは自社のみ、もしくは自社と調達元、自社とサプライヤーといったように、1社ないしは2社間で行われるものでした。

しかし、これからはこの二つが大きな柱となることで、調達元やサプライヤー、物流事業者といった複数の企業を巻き込んだ、サプライチェーンの大改革が推進できるようになります。

その結果、これまでは難しかった業界・業種の垣根を超えた大きな取り組みもチャレンジすることができるというわけです。

不確実性の高い時代に、経営の新たな意思決定を支援するリスクコンサルティング

――齋藤さんがパートナーを務めるリスクコンサルティング事業部の業務内容を教えてください。

齋藤 :従来は、コンプライアンスも含め日々の業務の中で起こるリスクに対応することがリスクマネジメントの主テーマでした。しかし、昨今は足元で起こっていることではなく、サステナビリティや気候変動といった環境、人権などの社会的なテーマ、経済安全保障や地政学リスクなど、外部環境の変化による中長期的なリスクにも対応することが求められるようになっています。

今はかつてないほど外部環境やクライアントの社内自体が大きく変化し、不確実性が高まっている時代ですが、実はリスクは脅威になるだけではありません。特に近年は、不確実性が新たな機会となることも増えています。そこで私たちは、脅威だけでなく機会も含めて、経営の意思決定をよりサポートするような立場で、リスクコンサルティングを行っていこうと考えています。

田中 :リスクコンサルティング事業は、PwCコンサルティングにとって今後ますます重要になっていきます。というのは、リスクコンサルティングをサプライチェーンやファイナンスといった王道のコンサルティングチームと連携させ、コンサルティングの整合性を図ることが、今後のコンサルティングファームの差別化要素になっていくと考えているからです。

――かつてない時代の変化に対応していくために、リスクコンサルティング事業部ではどんなことを工夫していますか。

齋藤 :経営者の人たちと同じように私たち自身も、世の中の動向をいかに素早く察知して、どのように対応していくかが重要になってきています。そのため、チーム内で情報共有を密に行いながら、PwC Japanグループ(以下、PwC Japan)で地政学リスクを専門にモニタリングしているチームとも連携して情報をアップデートしています。

そもそもリスクコンサルティングの仕事は、安定した状態を求める人には向いていません。どんどん変わっていく世の中で、何がリスクのテーマになり、それに対してクライアントにどのように支援をしていくか、常に走りながら学び、考え続けないとならないからです。

――SCMに携わる上で、求められるものは何でしょうか。

田中 :あらゆる立場を想像しながら、仮説を創造することではないでしょうか。私には事業会社でサプライチェーンに携わったというベースがありますが、その経験がなかったとしても、小さな経験を膨らませることで、それをカバーできると考えています。

例えば、自動車業界と製薬業界は、どちらも大きな設備投資が必要で、その回収に時間がかかる点で非常に似ています。つまり、サプライチェーンの基本的な構造も似ているのではないかと想像し、片方の業界をもう片方の業界に読み替えて仮説を立てることができます。

立てた仮説をクライアントに直接ぶつけてみることで、答え合わせができます。たとえ全くの見当違いだったとしても、実際の情報をもらうことができ、次につながります。そして、もらった情報を整理してズレを修正していけば、一気にその業界が理解できるでしょう。 description 田中氏

共感と信頼に根差した価値を共創し、部門を超えて協業を促進

――地政学リスクとサプライチェーンが関連したコンサルティング事例を教えてください。

齋藤 :田中のチームと製造業のプロジェクトで協業しました。グローバルでかなり複雑なサプライチェーンを持っているクライアントで、製品ごとに原産地や仕入先、生産拠点・販売拠点、販売先、最終消費者などの全体像を可視化し理解した上で、地政学のシナリオをひも付ける必要がありました。

そこで、田中のチームのメンバーにプロジェクトへ加わってもらい、どのようにサプライチェーンを可視化すべきか、どこにどのような影響が出るのかといった分析や、それに対してどのような対応をすべきかといった提案をクライアントに対して一緒に行いました。

取り組み自体はかなりハードでしたが、2021年10月にその時の支援チームをベースとしてPwC Japanに「経済安全保障・地政学リスク対策支援チーム」が立ち上がりました。コアメンバーには私と田中も入り、プレスリリースを配信してからすでにたくさんの仕事を頂けている状況です。

――PwCは部門間の連携が活発ですが、異なる部門同士の連携を促すために、どのような仕組みを作っていますか。

齋藤 :シニアマネージャー以上はKPIにプロジェクトの売上金額目標がありますが、分かりやすい数字面の評価だけではなく、コラボレーション案件の組成、育成やソリューション開発への貢献を評価に加味する仕組みを取っています。

田中 :評価面では数字だけでなく、サービスラインや部門を超えて「どのような行動をしたか」という具体的な行動も評価されるからこそ、部門間連携といった行動につながっているのだと思います。

――PwCが大切にしている価値観は何でしょうか。

田中 :意見の出し合いやぶつかり合いをすることもありますが、相手の言っていることを否定するのであれば代案を出す、ぶつかったのであればそれを改善するといった意識を強く持っていると感じます。パートナー陣がそうした議論の場を大切にしていて、意見の違いがあれば検討する場を設けることもあるんですよ。

齋藤 :私が大切にしているのは、共感と信頼に根差した価値共創です。コラボレーションにおいては、ビジョンに共感する人たちと一緒に働くことを大切にしています。それに加えて、「約束を守る」、「高い品質を提供する」といった責任を果たすことで、一緒に働く仲間と信頼関係を持ちながら、クライアントや世の中に価値を提供していきたいと考えています。 description 齋藤氏(写真左)と田中氏

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。