アクセンチュアの戦略コンサルタントを経て起業し、現在はIT関連会社を経営する佐貫僚(さぬき・つかさ)さん。
多忙な経営者として働きながら、大学で社会学の講義を担当したり、日本数独協会の理事を務めたりするなど、幅広い分野でご活躍しています。
なぜこのようなキャリアを歩んできたのか。ビジネスと研究の分野を横断し活躍する佐貫さんに話を聞きました。
※後編⇒複数の軸を持って「ニッチ人材」目指せ〜戦コン出身の起業家・佐貫僚さんインタビュー(下)
社会の「傍観者」になりたくなかった
――東大の大学院で社会学を修了したあとアクセンチュアに入ったということですが、学生時代はどんな生活を送っていたのでしょうか?
佐貫:キャプテンを務めたテニスサークルの活動に熱中していましたね。また、社会学者を目指していたので、大学院に進みました。
院試が難しく、学部から院に進学できるのは学部生60人中3人くらいだったので、勉強もしていました。後々はドクターまで進んで、研究者になろうと思っていたんです。
――なぜ研究の道には進まず、就職したのでしょうか。
佐貫:世の中を読み解く社会学の切れ味は好きだったのですが、研究をする中で「このままだと、自分は社会の傍観者になってしまうんじゃないか」と疑問に思うことがあったんです。外の世界に出て、世の中に働きかける側に回りたいと思うようになりました。
――なぜ戦略コンサルだったのでしょう?
佐貫:サークルの先輩の中に、研究者肌で戦略コンサルタントになった人がいたんです。
彼は独自の視点で世の中を読み解いていて、先輩を自分のロールモデルにできないかと考えたのです。
いま振り返ると、戦略コンサルは、私にとっての「プランB」でした。保険という大それた意味ではないですよ。研究者という「プランA」をとらなかった場合の「プランB」という意味ですね。
大学院にいって研究者になろうと思う学生も少なくないと思いますが、心のどこかに「プランB」を持っておくのは大事なことです。保険を持てという意味ではなく、「こんな生き方もあるんだぞ」と視野を広く持つ目的でも「プランB」を考える習慣を持つことはオススメです。