「全ての人がwin-winとなる投資モデルに一気通貫で携われる」メーカー出身者が、名門PEファンド・カーライルへの転職を決断した理由
2022/07/27

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世界498のファンドを通じ3,250億ドルを運用する、世界最大規模の米系PEファンド、カーライル。日本においては2000年に事業を開始し、各地の投資先企業の成長を支援してきた。近年では大手ビールメーカーのオリオンビールや分析機器大手のリガクへの投資が記憶に新しい。

PEファンドにおける投資業務は「経営の総合格闘技」と言われ、財務、投資、戦略策定といった経営に関する幅広い知識や、投資先の経営陣と信頼関係を築く人間力などが求められる。そのため、業務を担うメンバーには戦略コンサルティングファームや投資銀行出身者が多いが、中には事業会社出身で活躍する人もいる。今回は、外資メーカー出身の二人に、異色の転職を決めた理由や、カーライルにおける業務の魅力について語ってもらった。

〈Profile〉
写真左/奥村奈都子(おくむら・なつこ)
カーライル・ジャパン・エルエルシー アソシエイト 消費財、小売、ヘルスケアチーム
2013年マンチェスター大学物理工学部卒業。新卒で三井住友銀行に入行し、法人営業部門に勤める。その後ユニリーバ・ジャパン株式会社に転職し、監査や経理などを担当。2017年からヨーロッパに赴任し、マーガリン部門、Doveのデオドラント部門のファイナンスを担当。財務管理、FP&A(Financial Planning & Analysis)業務などに従事した。2021年2月にカーライル・ジャパン・エルエルシーに入社。
写真右/佐久間彩花(さくま・あやか)
カーライル・ジャパン・エルエルシー アソシエイト 消費財、小売、ヘルスケアチーム
2012年東京大学経済学部卒業。新卒でP&Gジャパンに入社し、F&A (Finance & Accounting)部門でベビーケア部門や物流・営業部門の財務戦略、収益性の最大化に貢献。2016年にシンガポールに赴任し、ベビーケア部門のアジア太平洋地域全体のファイナンスを担当。2020年8月にカーライル・ジャパン・エルエルシーに入社。

※内容や肩書は2022年7月の記事公開当時のものです。

1年以上担当してきた投資先のエグジット。多岐にわたる関係者とやり遂げた達成感は大きい

――投資業務は、案件を調査・検討(ソーシング)し、投資を実行(エグゼキューション)、投資先企業の価値を高めて管理し、資金を回収(エグジット)する、という流れだと思います。お二人は現在、どの段階のどのような案件に関わっているのですか。

奥村:前提として、投資業務を細分化して、フェーズごとにチームを分けるファンドもありますが、カーライルは「一気通貫」で全段階に関わることができます。そのため、私たちも同時進行でさまざまなフェーズの業務に携わっています。

私は2月くらいまで投資先企業を2件担当していたのですが、先日そのうちの1件がエグジットしたので、今はOEM(※)の化粧品会社1件のみになりました。また、新規にソーシングを行っている案件もあります。 ※ OEM……Original Equipment Manufacturer。他社ブランドの製品を製造すること、またはその企業。

佐久間:私は、分析機器大手のリガクのポートフォリオチームに入っています。その他、新規のソーシングやエグゼキューション段階の案件をいくつか担当しています。

――印象に残っている出来事や、面白いと感じる瞬間を教えてください。

奥村:印象に残っているのは、案件のエグジットですね。投資先は健康食品やカプセルのOEM企業でした。入社以来1年ほどとはいえ、初めての投資先であり、さまざまなことがあったので、最後まで見届けられたのは感慨深いものがありました。打ち上げの際、過去の案件担当者も参加しており、多くの人の力でここまで来た、ということを実感しました。

また、社内だけではなく、投資先企業や売却先企業をはじめ、リーガルアドバイザーや証券会社、投資会社など関係者が多いので、全員で一つ一つ調整を重ね、やり遂げたという達成感が大きかったです。

佐久間:私は、特定案件というよりも、業務を通して新しい業界を勉強し、知らなかった世界を知っていく瞬間が魅力的だと感じています。

ソーシングの際、ある企業の課題を発見してファンドとしてのソリューションをご提案した時に、先方の経営陣から「それは協働したら面白そうだね」と言っていただけたことが嬉しかったです。

また、投資実行後には、これまで企業を支えてきた投資先の創業者・経営陣の方々と弊社が協働することになります。その企業をより良い姿に成長させていくために、丁寧に両者間でコミュニケーションを取ることがいかに重要かというのも、日々実感しています。

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忙しさもキャッチアップ量も「想定の範囲内」。キャリアを見据えて案件アサインがあり、サポートは想像以上

――PEファンドといえば、体力的にも精神的にもタフな業務を行うイメージがありますが、入社前の想定と比べていかがでしたか。

佐久間:確かに、ある企業への投資を本格的に検討し始めてからの数カ月間は特に忙しいです。土日勤務や日付をまたいで働くこともありますが、想定の範囲内でした。

キャッチアップすべきことが多いのも事実です。しかし、前職でも多くの事業や部署と関わっていて、常に新しい領域について学びながら働くことに慣れていたので、苦になりませんでした。

奥村:私は全てOJTで自分なりに学んでいくことを覚悟していましたが、想定よりも周囲がサポートしてくれました。個人の伸ばしたい分野などの要望も聞いてくれると感じています。

佐久間:カーライル・ジャパンでは、3つのインダストリーチームに分かれて案件の検討を行っているのですが、若手のうちはインダストリーチームを数年で異動することになっています。いろいろな業界を経験した上で、ポジションが上がるにつれて専門を絞っていくという仕組みです。

一方で、若手に対しては、その人に必要な分野やフェーズの案件が発生したら、所属インダストリーに関係なくアサインをすることもあります。また、各々のメンバーの業務量を見てアサインメントを調整したりするなど融通を利かせてくれています。

奥村:ただ、モチベーションが高いからといって、多くの案件にジョインすると、仕事量が多くなりすぎてしまうので、そこは自分で管理しないといけません。

私は子どもがいるため、プライベートとのバランスも考えて時間管理をしています。仕事の開始時間や働く場所も一定マネージできる環境なので、うまくスケジューリングして、アウトソーシングもしながら、意識的に子どもと過ごすようにしています。

事業会社でファイナンス職を突き詰めた先に出合った、PEファンドという選択肢

――お二人は、これまでどのようなキャリアを歩まれてきたのですか。

奥村:私は新卒では三井住友銀行に就職し、法人営業部門で複数の顧客を担当していました。20代のうちから経営者やCFOの方々とお会いできるのは良い経験でしたが、当事者として事業会社の実情が知りたいと思い、ユニリーバに転職することに。

ユニリーバではファイナンスの仕事をしていました。特にヨーロッパに赴任してからは、事業運営に近い業務、例えば新商品のローンチについての事業計画やコスト削減に関わっていましたね。

経験を積み、再び金融業界に戻りたいと思っていたころ、PEファンドのビジネスに触れる機会があり、カーライルに転職して現在に至ります。

――佐久間さんはいかがですか。

佐久間:私は新卒でP&Gジャパンに入社し、F&A部門に入りました。ベビーケア事業部や物流、営業部門など、さまざまな事業部や部署と関わり合いながら、事業を改善するための施策を考え、モノを作ってから売るまでの一連の流れを理解することができました。

シンガポールにも赴任していたのですが、帰国後、新しいチャレンジがしたいと思うようになりました。長く外資系企業で働いていたので、今度は日本経済に寄与するような仕事をしたいという思いがあったのです。そのような中、エージェントを通してカーライルを知り、転職しました。

――転職先として他に検討した業界はありましたか。

奥村:私はコンサルティングファームや投資銀行も考えていました。ですが、ユニリーバ時代に、ある事業部がPEファンドに売却され、事業が再成長するところを目の当たりにし、興味を持ち始めたんです。

調べてみると、投資家とファンドと投資先企業が全てwin-winの素晴らしいビジネスモデルだと思いましたね。転職活動が進むにつれ、PEファンドに入りたい気持ちが強まっていきました。

佐久間:よく分かります。私は事業会社を中心に検討していたのですが、エージェントに声をかけてもらったことをきっかけに、カーライルのことを書いた書籍を読んだんです。

その本にはどのように投資先の企業をターンアラウンドしたか、またどのように投資先の経営陣の方々とwin-winな関係を築いているかが書かれており、そのビジネスの姿勢に非常に感銘を受けました。

――最終的にカーライル・ジャパンを選んだ決め手はなんですか。

奥村:ディレクター以上のメンバー全員に会ったのですが、皆人柄が魅力的で、カルチャーにフィットしそうだと思ったことです。

佐久間:実際に入社してから感じたのは、物腰の柔らかさの中にもこだわりを持っている人が多いということ。そういった点は投資先の経営陣の方々と議論する際にも重要なのかもしれません。

奥村:エネルギッシュな人が多いですよね。それから、冒頭に述べたように、ソーシングからエグジットまで一気通貫で経験できるところも決め手になりました。

佐久間:私は、PEファンドで選考を受けたのはカーライルだけですが、事業会社と比較した時に、投資業務未経験で名門ファンドに転職するなら、年齢的に最後のチャンスだと思ったことが決断の後押しになりました。

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さまざまなステークホルダーを巻き込み、事業に取り組んできた。その経験が生きている

――事業会社で培ったスキルも、投資業務に生かせるものなのでしょうか。

佐久間:特に投資を検討する時とポートフォリオチームにいる時は、事業会社のファイナンス部門での経験は役に立っていると思います。全社や全事業部を俯瞰(ふかん)して見るポジションだからです。

例えば投資先の財務データを見ながら、この事業部は成長できるか、それとも売却すべきかなどを議論する時の視点は、事業会社のファイナンスに似ていると思います。

奥村:事業会社で、当事者として事業を行いながら、営業やマーケティングなどさまざまなステークホルダーとのやり取りをしたことも生きています。その経験があることで、投資先企業で何か物事がうまくいかない時に、数字ではない組織や人間関係の問題をリアルに想像できることが利点だと思います。

――コンサルティングファームや投資銀行の出身者に比べて、スキルのギャップを感じることはありますか。

佐久間:コンサル出身者はどんな業界であっても、事業内容に対して共通の判断軸を持っているように感じます。

奥村:同感です。私も事業会社で関わってきた領域なら分かるのですが、例えば自動車業界など、これまで触れたことがない業界についてはまず知るところから始めます。でもコンサル出身者は知らない業界でも、ある程度見立てを示せていますね。

佐久間:一方、投資銀行出身者は、PEファンド業務に直結するようなモデル、ファイナンス、タックスなど金融系を中心とする幅広い知識や経験を持っています。例えば銀行からローンを借りる時の交渉でも、落としどころを想定した上で交渉をすることができます。私はそういったディスカッションを横で聞いて、学んでいますね。

奥村:スキルのギャップは、ある程度書籍や勉強会などで学びつつ、実際の案件に入って都度教えてもらい、キャッチアップしていくようにしています。

――ファンド業務に向いているのは、そうしたキャッチアップができる人ということでしょうか。

奥村:そうですね。新しいことを常に学び続けるチャレンジ精神がある人。さらに、分からないことがあったら、自分で学習しつつ素直に聞くこともできる、前向きな人が向いていると思います。

佐久間:テクニカルな部分や知識も求められますが、そうした姿勢の部分がより重要なのではないでしょうか。

――今後の目標を聞かせてください。

佐久間:投資の初期から関わっているリガクの経営陣の皆さんと一緒にIPOを目指していきたいと思っています。それが2-3年後くらいまでの目標でしょうか。また、消費財メーカーなどtoCの業界に個人的に興味があるので、何か担当できたらいいなと思います。

奥村:より大規模になる、アメリカや中国のファンドとの共同案件を経験するなど、投資経験の幅を広げたいです。

ファンド専門エージェントの視点 ―ファンドで活躍できる事業会社出身者の特徴とは―

これまでメーカー出身で活躍する二人の話を聞いてきたが、実際、事業会社からPEファンドへの転職を実現できるのはどのような人材なのか。多くのPEファンド転職を手掛けてきた専門エージェントに話を聞いた。
 〈Profile〉
蓮子哲也(はつし・てつや)
RGFエグゼクティブ サーチ アソシエイトディレクター
2005年にヘッドハンターのキャリアをスタートさせ、ファンド転職の専門エージェントとしてキャリアを積んできた。これまでのPEファンドへの転職成功実績は100人以上。

――事業会社からPEファンドへ転職するのは、やはりハードルが高いのでしょうか?

蓮子:正直、狭き門ではあります。ファンドが求めているのは、会社を俯瞰できる能力や業界のポイントを素早く把握できることです。そういった意味では確かに戦略コンサルや投資銀行出身者は有利です。事業会社出身であれば、今回のお二人のように企画部門や財務部門にいて、少なくとも数字に抵抗がないことが重要です。そうでなければMBAを持っているなど、経営に関する知識があることをアピールできることが求められます。

――他ファンドに比べ、カーライルに合うのはどんな人でしょうか。

蓮子:カーライルは特に「人間力」を重要視していると感じます。若いうちから目上の経営者らと議論するわけですから、親しくなるだけではなく、いざというときに毅然(きぜん)とした対応を取れることが重要です。面接でも「休日はどんなことをしている?」など、一見柔らかい質問から、人間性を掘り下げられることが多いようです。

――今回は女性2人に話を聞きましたが、PEファンドには比較的女性が少ないと聞きます。

蓮子:特に日本では業界全体として女性が少ないです。しかし、今はダイバーシティーやESG、SDGsなどの指標を投資先企業も持つ時代です。そういった観点からも投資先をバリューアップできた方が、ファンドとしても差別化につながるでしょう。その点からも女性の目線がますます必要とされてくると思います。カーライルが、2023年末までに投資案件を担当する専門職の女性の比率を、全体の30%まで増やすと表明しているのは、そういったことを意識しているのだと思います。

description 写真左はファンド専門転職エージェントの蓮子氏

コラム作成者
Liiga編集部
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