【ケース問題を徹底解説】業界やビジネスの特徴を踏まえた課題を導出しよう(カラオケBOX業界)

はじめに

今回も、現役コンサルタントの方に、ケース問題の解答方法について解説していただきました。ぜひご覧ください。

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導入: 本コラムの趣旨

本来のケース面接では、現状整理から打ち手の提案などへの一連の流れの中で、様々な考えるべきプロセスや論点があり、複数の重要なポイントがあります。しかし、これらの重要なポイントを、いきなりフルセットで学習・対策するのは、難易度が高いと思われます。

そのため、本コラムでは、それらのプロセスや論点から、1部分を切り出した例題を出題し、それらの解答のコツへの解説に絞ることで、学習内容を明確にした説明を行います。   Liigaコロッセオにて出題された問題を利用しますので、ぜひコロッセオを解いたうえで、本コラムを読んでみてください。今回解説するのは、以下の例題です。

都内の某ビジネス街に位置するカラオケBOXの売上向上施策を考えてください

※さて、施策を考える前に、カラオケBOXの現状をイメージしながら振り返ってみましょう。まず、売上のベースとなる「1時間当たりの利用料金」について考えてみます。

①このようなカラオケBOXの「1時間当たりの利用料金」は、とある「軸・分類」をもとに、大きく異なった体系になっています。さて、その「軸・分類」とは何でしょうか。(複数思いつく場合は、すべて記述したうえで、最も重要なものを特定してください)
②次に、その「軸・分類」がどのような場合に、料金が高く・安くなっているのかを具体的に明示し、カラオケBOXがそのような料金体系を取っている理由を述べてください。
③さて、その「軸・分類」の中から、特定の箇所・項目について、売上向上施策を考えることにしました。まず、最初にどの箇所・項目から検証を始める(手をつける)べきか、仮説を述べてください。

※厳密には、利用料金の単位時間は30分だったりしますが、本解説ではいったん1時間としてください

問題を解きたい方はこちら

よくある解答の傾向

さて、今回の問題を、単純に「都内の某ビジネス街に位置するカラオケBOXの売上向上施策を考えてください」とした場合、どのような回答が頻出するのでしょうか。   よくある解答のプロセスは、以下のようなものです。

  • まず「カラオケBOXの客層」や「ビジネス街の客層の特徴」を加味する
  • 「ターゲットとすべき客層やオケージョン」を特定する(例:サラリーマンの2次会需要 など)
  • それらの客層の方々が求めている需要を整理してみる(例:食事、価格、グッズ、備品…)
  • 整理した需要を満たす、新しいサービスの提供を打ち手とする

さて、上記の解答プロセスは、非常に“一般論”的になってしまっていることに気づいたでしょうか。例えば、「カラオケBOX」の部分を、「ファミレス」「美容院」「弁当屋」などと置き換えても、まったく変わらない形になっています。

これまでの解説では、上記のような3C(市場、競合、自社)でいうところの「市場」について考えるばかりでなく、「自社」や「競合」についてもっと考えるべきという話をしてきました。

今回も、よくある解答として、やはり「市場」ばかりを分析するという部分は変わりません。しかし、対策として、3Cとは別の視点で、「商品の特徴や業界の特徴は何なのか」という視点で物事を見てみたいと思います。

その中で、「業界比較による業界の特徴の抽出」や「現実のビジネスで実施されている打ち手の背景を推測する」ことが、ケース問題を解くうえで有効であることを、小問①~③への解説を通して提示していきます。

課題の特定例: 業界・ビジネスの特徴から導く

今回、抑えておくべき業界やビジネスの特徴について、解説の都合上、最初に提示してしまい、それらの特徴に合わせた、具体的な課題を1つ例示しておきます。

現実のケース面接においても、少なくとも以下のポイントに気が付くべきかと思います。

特徴①: カラオケBOXは物理的制約の大きい場所貸しのビジネス

さて、わかりやすいように、小売店(コンビニなど)と比較しながら、考えてみましょう。 まず、大前提として、カラオケBOXのビジネスが「1時間などの単位で場所を貸す」ビジネスであることを認識する必要があります。これはコンビニで商品を買うのと異なり、「まとまった空き時間」がないと消費することが物理的に不可能であることになります。

また、アマゾンのようにネット&宅配もできないため、場所の制約も大きいです。よって、店舗があるエリアで行動している人しか、顧客になりえない、商圏の狭いビジネスになります。

以上の様に、「時間的」「物理的」に制約の大きいビジネスです。

特徴②: カラオケBOXは固定費の負担、特に場所・家賃の負担が大きい

まず、カラオケBOXがビジネスとしてサービスを提供するうえで、「カラオケルーム」という部屋・スペースが必須です(それに加えて、特有のものとして、機材や曲のライセンスなども必要になります)。

一方、飲食物はサービスとして必須とは言い難いものです(最悪、持ち込み可とすればよい)。   さて、どのコストの負担が高いのでしょうか。カラオケBOXは、たいていの場合、駅前など家賃の高い場所に位置していることが多いです。今回は、問題文の中で「ビジネス街」と指定されているため、特に家賃が高いと想定されます。   一方、他のコストはどうでしょうか。そもそも、お客さんはカラオケルームの中にいる時間が長いため、顧客の数と比して多くの従業員の数が必要だとも思えません。また、それ以外だと、光熱費などがありますが、そもそもそれほど大きな値になるとも思えません。   今回、厳密な計算・思考はしていませんが、なんとなく考えても、おそらく固定費、特に家賃の負担が他のビジネスと比較して大きいと推測できるのではないでしょうか。

特徴③: カラオケBOXの部屋の稼働状況は、平日休日や時間帯によって大きく異なる

まず、カラオケBOXの最大需要はいつでしょうか。今回の場合、特にビジネス街ですので、社会人による飲み会や2次会の需要が大きいと想定されるため、「平日の夜」に大きな需要があると想像できます(また、ビジネス街は立地がいいことも多いので、一定の学生客もいるでしょう)。

「平日の夜」は最も需要が大きく、部屋の稼働率が高いと推測されます。   一方、それ以外の時間帯だとどうでしょうか。例えば、「休日」であれば、カラオケ好きな人たちが、友達と一緒に来店しているでしょう。一概に言えませんが、一定の需要があると想定されます。   では、上記以外の時間帯である「平日の昼間」はどうでしょうか。まず、社会人は仕事がありますし、学生も学校の授業があるので、カラオケのような「1時間単位」で場所をかりるサービスを利用することは、物理的に不可能な場合が多いです。

そのため、ターゲット層が、主婦や年配者などかなり限定されることになり、これらの客層は、他の客層と比較して利用頻度や単価が“非常に”高いとも思えないため、「平日の昼」は需要が少ないと想定されます。

特徴④: 客層ごとに価格感度も大きく異なる

特徴③の解説の中で、稼働率だけでなく、時間帯ごとに客層が異なることにも言及しました。さて、当然ではありますが、客層ごとに価格感度が異なります。   まず、「平日の夜」の社会人による需要ですが、そもそも所得を得ている方々ですので、お財布に余裕があります。また、飲み会的な利用ということは、居酒屋のように比較的高価格であっても、受け入れられやすいオケージョンであると思われます。

学生、主婦、年配者のカラオケ需要と比較して、価格感度は低めであり、高価格でも受け入れられやすいと思われます。(逆に、「学生」「主婦」「年配者」といった客層には、低価格であることがより重要になるでしょう)

各種特徴を踏まえた、カラオケBOXの業界・ビジネスの課題とは

以上の各種特徴を踏まえると、カラオケBOX業界の構造的な課題が見えてきます。 まず、特徴③にある通り、全コストの中で家賃が大きな割合を占めていると推測されます。そして、家賃は「固定費」にあたることからもわかる通り、お客さんの有無にかかわらず、同じだけのコストがかかります。

つまり、「部屋が空いている」ことは、大きな損失になります。

そして、特徴②にある通り、時間帯による稼働率の差が大きいこと、具体的には「平日の昼間」の稼働率が低いため、ここに大きな機会ロスがあることになります。

カラオケBOXへの来店は、「エンタメとしての需要(ビジネスや自己鍛錬などの需要ではない)」「みんなで楽しむ(複数人の予定を合わせる必要がある)」の条件を満たすことが大半であるため、構造上、平日の昼間の需要が小さくなってしまうのは避けがたいと言えます。

以上の様に、「平日の昼間の稼働率が低いことが問題であり、これは特にカラオケBOXが家賃という固定費に当たるコストの割合が高く、客が入っていないことが大きなロスを生んでいる」というポイントは、カラオケBOXの業界・ビジネス共通の大きな問題と言えます。このことから、「平日昼間の稼働率の向上」は、カラオケBOX業界の課題といえるでしょう。

(補足)今回提示した1つの課題に対する打ち手の例

さて、別の視点を含めて、いろいろと深く考えていけば、複数の様々な課題が出てくると想定されます(例えば、客単価について特に何も考えていません)。

しかし、いったん、この「平日の昼間の稼働率の低さ」という課題や、この課題に至るまでの現状分析のみに限定して話を進め、打ち手を考えてみましょう。例として、2つの打ち手を示します。

まず、打ち手の方針①としては、課題と対応させて、平日の昼間の客数を上げることに集中することになります。このとき、それまでの現状分析において、時間的制約をクリアできる顧客の大半が「主婦」や「年配者」となっているので、この顧客層を攻略する方法を考えることになるはずです。

次に、打ち手の方針②として、あえてこれまでの現状分析に対して別の解釈を行い、ボリュームゾーンである「平日の夜」を攻略するのもありです。今回カラオケBOXは、このような場所貸しビジネスにおいても若干特殊な例だと思うのですが、最繁時間である「平日の夜」においても、まだ空いている部屋がある場合も多いです。

また、別の現状分析(特徴④)から、最も客単価が大きいと思われる時間帯でもあるので、稼働率を上げることによる売上への寄与が大きい時間帯と言えます。(余談ですが、「平日の夜」の客層は、価格感度が低いので、そもそものプライシングの変更や、付加サービスによって、客単価を上げやすい可能性もあります)

重要なのは上記の特徴や課題ではなく、どのように課題を想起するかにある

ここまでの解説では、業界・ビジネスの特徴をしっかりと把握することで、課題が見つかることを示すため、具体的に、課題の1つと、そこにたどり着くまでの現状分析を天下り的に提示しました。

しかし、上記を「暗記」したとしても、それは類題(場所貸しビジネス)に対してしか利用できず、他の問題への汎用性がありません。そして、そもそも今回のカラオケBOXの問題において、有用な課題が上記の1つのみであるとも考えにくいです。   学習すべき考え方は、もっと一般的に、「どのような思考をすれば、上記の課題にたどり着くことができるのか」にあるはずです。そうすれば、他のケース問題や他の課題を考えだす上で有効である汎用的な考え方が身につくはずです。  

有用な視点や軸は、暗記しておいてもうまく利用できない

さて、上記の特徴①~④には、様々な視点や考え方の軸が出てきます。例えば、「時間帯別」の軸、「コスト、特に固定費」の視点などです。また、「場所貸しビジネス」「稼働率」といった単語も出てきました。しかし、これらの軸や視点は、いったいどこから出てきたのでしょうか。

もちろん、「直観」「頭の良さ」などといった言葉で理由付けしてしまえば、説明としては簡単でしょう。しかし、仮に「頭の良い人」の場合を想像してほしいのですが、今回のカラオケBOXの解答では「時間帯別」「固定費」などといった軸や視点に言及するかもしれませんが、一方で、別のケース問題であれば、それに合わせて違った軸や視点をすぐに提示するはずです。

では、なぜ違った軸や視点を提示できるのでしょうか。あらかじめ、頭の中にあらゆる視点や軸が暗記されていたとしても、それらが今回の問題に合うか否かを一つずつ確認してしまうと、非常に時間がかかります。つまり、頭の中に視点や軸の“辞書”があったとしても、それだけでは不十分です。

有用な視点や軸を素早く想起するために有効な考え方とは?

さて、ここから、「汎用的な考え方」の解説に入ります。   このようなとき、必要な視点や軸を素早く考えつくには、「カラオケBOX」というビジネスについて具体的に考えてみることが有効です。

さて、この具体的に考えるときの方法は、大きく2つあります(※以下、抽出される特徴はダブりがあります)。

方法①: 業界の特徴を、他業界と比較しながら考える


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