有望なスタートアップ企業に投資して、成長を促し、企業価値が高まることで生じる金銭的リターンを回収するベンチャーキャピタル(VC)。
今回はそんなVCについて、Liigaの姉妹サービス・外資就活ドットコムの特集「就活生が知らない『VC』の正体(全6回)」の内容を基に、そのビジネスモデルや仕事内容、求められる人材像などを紹介します。
スタートアップ投資で稼ぐ、VCのビジネスモデルとは
VCのビジネスモデルは、将来有望なスタートアップに投資(株式を取得)を行い、投資先の企業価値が高まった後に、株式を売却して収益を得るというものが一般的です。
流れとしては、以下のようになります。
・出資を募り、ファンドを組成する(金融機関をはじめとした機関投資家、事業会社などが出資者)。
・スタートアップに資金を供給し、その対価として株式などを取得する。投資後は投資先企業の事業立ち上げや経営をサポート。
・投資先が大きく成長し、IPO(新規株式公開)などを行うタイミングで株式を売却。株式取得費と売却額の差分(キャピタルゲイン)に基づく、運用益を出資者に分配。
このような流れの中で、VCはファンドの運用手数料やキャピタルゲインの一部を報酬として受け取ります。
また、VCには独立系や金融機関系など、さまざまな種類があります。 上記の他にも、カーライル・グループやベインキャピタルなどの外資系ファンド企業や、ゴールドマン・サックスのアセットマネジメント部門などもスタートアップ投資を行っています(ゴールドマン・サックスのスタートアップ投資については、特集「就活生が知らない『VC』の正体」第6回で読むことができます)。
若手ベンチャーキャピタリストの業務内容とは
ではベンチャーキャピタリストは、どのような仕事をするのでしょうか。
VCの投資業務は一般的に、ソーシング、エグゼキューション、バリューアップ、イグジットの4つの過程を踏みます。
VCは、こうしたプロセスごとに分業するタイプ(分業型)と、1人のベンチャーキャピタリストが一気通貫で携わるタイプ(一気通貫型)の2種類に大別することができます。
その上で、投資銀行を経て現在は一気通貫型のVCで働く、Bさんの仕事内容を紹介します。
下の表は、Bさんのある1日のスケジュールです。
時差の関係で米国の投資先などとのミーティングで1日が始まり、社内メンバー、国内投資先、投資家とのミーティングなどを経て、19時半に退勤という流れになっています。
このスケジュールはあくまで一例ですが、投資銀行と異なり、時間に追われずに自身で調整できるため、Bさんは比較的ホワイトな環境だと感じるようです。
Bさんのより詳細な仕事内容や給与形態、働く上で感じる大変なことなどは、特集「就活生の知らない『VC』の正体」第5回で読むことができます。
VCに向いている人材や転職時に身につけておきたいスキルとは
ところで、VCはどのような人材を求めているのでしょうか。独立系VCのインキュベイトファンドで採用・人事に携わる壁谷俊則氏と、転職エージェントとしてVCへの入社を支援してきた渡邊光章氏のコメントを紹介します。
壁谷氏いわくVCに向いている人は、起業家が喜ぶことを考え、貢献する行動ができる人。「気が利く人」とも言い換えることができるといいます。加えて、部活動などでコツコツと努力を重ねてきた人も適性があるようです。その理由として、何かにじっくりと打ち込んできた経験と、結果が出るまで起業家を支え続けるというVCの業務特性がフィットすることを挙げています。
VCに転職するための経験・スキルについては、転職エージェントの視点に基づく渡邊光章氏の見解が参考になるはずです。
渡邊氏の私見によると、VCで活用できる経験・スキルは、大きく分けて10通りあるといいます。VCへの転職時に、これらの半分以上を身につけておくと高い評価をもらえる、というのが渡邊氏の持論です。
また、戦略コンサルや投資銀行の経験が歓迎条件に書かれることが多いのは、彼らが上に記した経験・スキルを持っていることが多いからだと、渡邉氏は述べています。
ここで注意したいのは、戦略コンサルや投資銀行の出身者がVCに多いことに関して、2人とも「バックグラウンドにこだわった採用をしているわけではなく、あくまで結果論である」と位置付けていることです。
ベンチャーキャピタリストのキャリアに通じた壁谷氏と渡邊氏へのインタビューは、特集「就活生の知らない『VC』の正体」第4回で読むことができます。
VCでのやりがいや苦労とは
VCは仕事の難度が高い分、働く中でやりがい、経験値、人脈など、さまざまなものを得られるとされています。GMO VenturePartnersでジェネラルパートナーを務める村松竜さんの経験談から、その一部を垣間見ることができます。
一方、VCの業務で大変なことは、LP(*1)からの資金調達だといいます。一般的な投資案件よりハイリスクになりがちなので、投資家を“口説いて”まとまった資金を集めるのは、簡単ではありません。
* VCが組成するファンドに出資する、リミテッドパートナー
さらには、将来性のある起業家とつながりを得る上での苦労もあるようです。仮に有望な起業家を見つけたとしても、彼らに自分のVCを選んでもらえるとは限らないからです。
村松さんへのインタビューは、特集「就活生の知らない『VC』の正体」第1回で読むことができます。
外資就活ドットコムの特集「就活生の知らない『VC』の正体」を基に、VCのビジネスモデルや仕事の中身、求められるスキルなどについて解説しました。
同特集の内容は、VC業界やファンド系企業の志望者だけでなく、スタートアップに関心がある人にとっても参考になるはずです。