2,000万円の節約?!社費で海外大MBA留学を勝ち取るために必要なこと
2020/10/20
#海外大MBAに行く
#新卒内定者必須コラム

はじめに

MBAを取得したいと考える人が増えてきています。

特に、これから就職活動を迎える人が気になるのは「社費でMBA留学と謳っている企業に入ったところで、本当にチャンスはあるのか」「社費で行くことにどんなメリットがあるのか」という部分かもしれません。

今回は、実際に日系企業で社費MBA留学の権利を獲得された方に、その選抜の実際や社費で留学することの利点についてお話しいただきました。

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2,000万円を浮かせた上で、自分の市場価値を高められる

「MBA」に憧れを抱く社会人は多いことでしょう。

事実、一流投資銀行や一流コンサルティングファームの部長クラス、マネージングディレクターの多くは、トップMBAホルダーです。一流外資企業へのキャリアチェンジ、あるいは独立をするうえでも、MBAの取得は有利に働くことでしょう。

しかし、MBAを取得することは簡単ではありません。高い英語力を持っていること(欧米トップ10のMBAともなれば、TOEFLで8割をとっていても「足切り要件」に引っかかってしまいます)、現地の生活費を入れると約2,000万円とも言われる高額な費用を捻出できること、が求められます。

さらに、会社を辞めて本格的にMBAを目指す場合には、試験勉強や合格後の数年間の機会損失も考慮する必要があります。数年間のキャリア上のブランクは、まかり間違えば自身のキャリアを傷つけてしまう可能性をも秘めています。

それでも、トップMBAにチャレンジする人が筆者の周りでは後を絶ちません。実際、筆者のFacebookには毎年誰かしらの「会社を辞めてMBA取得を目指す」報告があります。

トップMBAは果たしてそうしたリスクに見合うリターンがあるのでしょうか。

その前に、もしMBA留学のリターンはそのままに、コストやリスクだけを可能な限り排除できる方法があったとしたらどうでしょうか。

学費が不要で、キャリアに傷が付く心配もなく、MBA取得による市場価値の向上、キャリアの広がりだけを享受できるとしたら……。実はそんなおいしい話が現実にあるのです。それが「社費MBA留学」という制度です。

私は実際にこの制度を利用し、MBAを取得しました。今回は、いかにして社費MBAの選考を勝ち進んでいくか、そしてMBAを取得することで自分にどのようなリターンが返ってくるのか、についてお伝えします。

英語は話せて当たり前、そこから選考が始まる

TOEFL iBT100が最低ライン

新卒の採用要件にTOEIC800点以上、あるいは昇進のためにTOEIC730点以上、といった基準を設ける企業も増えました。

とはいえ、TOEICは基本的にリーディングとリスニングだけの試験なので、きちんと勉強すれば決して難しいスコアではありません。

一方、世界MBAランキングトップ10の常連であるような、一流MBAスクールの応募要項にはTOEFL iBT100~110点というハードルを設ける大学があります。TOEFLは、TOEICとは異なり、スピーキングやライティングを含む、トータルの英語力を測るテストです。

某英語スクールのネイティブ講師ですら、TOEFLスコアの平均点が103点であったという事実を踏まえると、英語初心者の日本人にとっては足切りをクリアするだけでも難しいレベルでしょう。

会社もトップMBAに合格できる社員を送りだしたい

ちなみに筆者の経験では、MBA受験に関する会社側のスタンスはこうでした。「社費留学の合格基準に語学力は含めないが、最低限の英語力は自己研鑽で身につけるものとし、帰国後、会社の発展に大いに役立てるものとする」。

つまり「基礎的な英語力については、そもそも身につけてあるべきであり、そのうえで一流MBAに合格できる可能性の高い社員を社費留学に選出する」ということです。英語力は応募の必要条件といえるということです。

実際に社費MBA留学を勝ち取った私も、学生時代には2度の留学を経験しており、英語は同僚と比べても卓越していたといえます。

50倍の倍率を勝ち抜く秘訣はとにかくアピール

英語力はなんとか及第点をとれたとして、そこからいよいよ選抜の開始です。社費留学生の具体的な選出方法をご説明します。

筆者が所属する企業では、毎年1回、3年目から5年目までの社員を対象に募集がかかり、自主応募ができるようになっています。おおよそ100名弱が応募し、合格者は毎年2~3名という狭き門です。

ステップとしては、募集開始→書類選考(これまでの経験、英語の資格・点数、自分が留学する事で何を学び、会社にどう役立てるのか等の記述)→一次面接→TOEFLのテストを毎月受験し、点数が上昇しているかのチェック→二次面接→選出、となります。

重要視されるのはやはり語学力と、この留学にかける熱意だと感じます。

こと熱意に関しては、面接時の直接アピールに勝るものはありません。

留学先やその他各種情報について調べ上げるのは当然のことです。それに加えて、会社の経営方針を把握して自分がいかに企業に貢献できるかをアピールしたり、他者と比較して差別化できる経験・スキルを分析したり、ロジックを組み立てて簡潔にプレゼンしたりすることも大切なことでしょう。

自分の姿を客観視できることが最大のメリット

こうした得たMBA、そのメリットが最も実感できるのは「転職」「独立」です。

「昇進」という面でも当然有利になることはありますが、MBAを取得した割には“昇級が1年早まる”程度のアドバンテージにとどまるので、お得感はあまりありません。しかも1年早まる程度であれば、仕事に邁進して実績をあげる努力をした方が周囲にも認めてもらいやすいとも言えるでしょう。

もちろん人事評価的には切り札になる可能性もありますが、役員になる事が確定するわけではありません。

「転職」面では、海外経験がある点、および社費で海外留学をさせてもらえた人材であるという点を高く評価されます。リテール営業から外資系会計コンサル、外資系保険会社などへの転職例は周りにも多くみられます。MBA取得や海外留学で得た経験、またビジネスに対応できる語学力を重要視する会社は多いのです。

「独立」面では、私の身近な先輩がリテール営業で成績を出し、海外赴任後に金融系のwebサービス会社を起こした例があります。海外で幅広い経験をしたことで、いつの間にかルーチン化した日々の業務をこなすだけになっていた自分、それを上手くこなせてしまっている自分に気づいたとのことでした。

自分の姿を客観的に見つめ直せること、海外経験やMBAを取得したことからくる自信、もMBA取得の利点と言えるかもしれません。

賠償金を請求されることも?気をつけたい古巣との関係

もっとも、社費留学制度を使っておいて留学中、もしくは帰国後すぐに退職を強行しては、所属している企業とトラブルになる可能性もあります。先輩の中には、費用の返還を要求された方もいると聞きました。

先に述べたように、企業が数千万のコストや、留学中の機会損失を負ってなお社員を留学させるのは、帰国後、幹部候補生として長く貢献してくれるだろうと期待しているからに他なりません。中には「帰国後5年間は退職できない」といった規定を定めている企業もあるくらいです。

それでもなお、退職するという決意をするのであれば「立つ鳥跡を濁さず」ということわざもあるとおり、社内の人との関係構築や転職理由の伝え方には注意したいところです。

ローリスク・ハイリターンな社費MBA留学

「社費MBA留学」のメリットは非常に大きいものです。数千万のコスト負担やキャリアが傷つくリスク無しに、かけがえのない経験と、培った語学力で自分の市場価値を飛躍的に上昇させてくれる、ローリスク・ハイリターンな制度です。

日系企業への就職に照準を定め、「社費MBA留学」を狙うというキャリアは、もしかすると非常に期待値の高い、お得なプランかもしれないと私は思っています。

おわりに

社費MBA取得への道のりが見えやすくなったでしょうか。社費MBAや留学の制度はどうか、会社選びの段階で1つの基準にしてみるといいかもしれませんね。

本記事は2017年10月に「外資就活ドットコム」に公開されたものとなっております。

コラム作成者
Liiga編集部
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