【AP市川×CDI占部】投資収益だけではなく、事業そのものを真剣に考え、価値を高めたプロジェクト
2019/11/21
#ファンドとは何か
#投資ファンド業界事情
#ファンドで必要なスキルとは

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1997年、日本初のバイアウト専用ファンドへのサービスをスタート。日本のプライベート・エクイティ投資の黎明期から市場を創出してきたアドバンテッジパートナーズは、難易度の高いプロジェクトにもチャレンジする事に起因してか、業界内でも人材レベルが群を抜いて高いことで知られている。アドバンテッジパートナーズの強さの源泉はどこにあるのか。様々な視点から論じてみる。今回は、外部パートナーとしてプロジェクトをともにした方の視点から、同社ならではの強みや特徴について掘り下げていく。

〈Profile〉
写真右/占部伸一郎(うらべ・しんいちろう)株式会社コーポレイト ディレクション パートナー 東京大学経済学部卒。Fringe81株式会社社外取締役を兼任。経済ニュースメディア「NewsPicks」プロピッカー。モバイル、インターネット、通信などのテレコムネット関係、アパレル、宝飾、小売などの流通小売分野、デベロッパー、プロパティマネジメントなどの不動産分野、電力などのエネルギー分野など幅広い分野において、中期計画の策定、新規事業の立上げ、中国などのアジア展開、事業再生、組織改革などに取り組んでいる。また、ハンズオン型での新規事業立上げや、投資会社との連携による事業のバリューアップ、インターネット領域を中心とする成長産業におけるベンチャー企業の成長支援の経験を数多く持つ。

同左/市川雄介(いちかわ・ゆうすけ)株式会社アドバンテッジパートナーズ パートナー 一橋大学法学部卒。大学卒業後、株式会社日本興業銀行(現 株式会社みずほ銀行)入行。在日外資系法人営業、デリバティブズのマーケティング、M&Aアドバイザリー業務に従事。2003年にアドバンテッジパートナーズに参画。日本海水、カネボウ(現 クラシエ)、東京スター銀行、メガネスーパー(現 ビジョナリーホールディングス)、イチボシ、ネットプロテクションズ、おいしいプロモーション、日本銘菓総本舗(第一号案件庫や)、マテリアルグループを担当。メガネスーパーでは上場企業の財務戦略担当取締役として、資本市場調達・IR戦略立案・追加的買収を実行。おいしいプロモーション、日本銘菓総本舗では複数ブランドを統合して運営する経営戦略を描いた。経済ニュースメディア「NewsPicks」プロピッカー。


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コスト削減ではなくプラス生む。“一アドバイザー”も一緒に考えるチームだった

――お二人でタッグを組んでプロジェクトを進行されたそうですが、どのようなプロジェクトだったのですか?

市川:2019年2月に株式会社マテリアルというPRエージェンシーに投資したのですが、投資前の事業デューデリジェンスを占部さんにお願いしました。占部さんとはNewsPicksを介してお会いしていまして、PRやマーケティング業界に関する知見もお持ちでしたし、お話しする中で信頼できる方だと感じたことがご相談した決め手です。

占部:ファンドさんや投資会社さんから依頼を受けて事業の見極めやその後の成長戦略作りなどで一緒にプロジェクトを進める機会は多くあります。

ファンドさんの究極の目的は預かったお金を投資で増やすこと。結果がすべてであるので、様々なスタンスの会社があるように見えます。我々はもちろんファンドさんに雇われるわけですが、根は「事業」のコンサルタントなので、結果として投資先の事業が良くなって欲しいですし、ファンドさん側が投資先の事業のことを真剣に考えておられるかどうかは常に見ています。

企業への投資を単なるお金儲けとして見ているのか、事業そのものを理解してバリューアップを目指しているのか。こちらとしても、サポートするのであれば後者の考え方を持っている方とチームを組みたいと思っています。

市川:投資先の企業をどう伸ばすかは、まさに弊社が大事にしているところです。マテリアルは、これまでもクライアントの4P(Product、Price、Place、Promotion)を分析して適切な提案をしていましたが、では自社の4Pはどうなんだと問い掛け、改めて棚卸をして、営業プロセスを見直しました。

これを通じて、BtoBビジネスに必須な、一人ひとりの営業パーソンの提案スキルアップまでサポート出来ればと計画しています。

PRは本来決まった定型プロダクトばかりを売る業界ではない筈なので、案件によって隣接業界とパートナーシップを組みながらソリューションを提供していく必要もあります。現在はそういったパートナー開拓も進めているところです。相乗効果が高い隣接業界のプレイヤーがいれば、追加的M&Aによって統合運営するのも選択肢だと思っています。

占部:プライベート・エクイティの投資にも様々な儲け方がありますが、伝統的には安定的なキャッシュフローが出ている企業を買収して財務レバレッジで儲けたり、コストカットで財務数字を改善していくパターンが多く、成長企業に投資してしっかりと事業を伸ばしていくというケースはあまり多くないという印象です。

しかし、本件に関しては、新しい価値を創りにいく姿勢があり、共感を覚えました。市川さんは色々な実績を持ちながら物腰も柔らかいし、この人と一緒に仕掛けを起こしにいくのはきっと楽しいんだろうなと感じましたね。

特に今回の案件は、PRという分かりにくい業界をきちんと理解した上で、コストカットではなくさらなる成長を生み出そうとしている。そうした考え方を持った人と協業できるのはやりがいがあることです。

また、我々を含めたアドバイザーに対しても、一緒に考えるチームというか、パートナーとして推進していく姿勢があったこともなかなか無いことでした。これまでにも様々な会社と何十件も投資案件を行ってきましたが、投資実行のプレスリリースの中に事業、財務、法務全てのアドバイザーの社名を入れ、合同で打ち上げもやるのは初めてでした。

市川:僕も毎回大きな規模で打ち上げをやるわけではないのですが、今回は定型的ではない、グロースキャピタルの投資案件でもありましたし、一筋縄にはいかない部分も多かった。その中で、それぞれのメンバーがしっかりと役割をまっとうして投資を実現できたので、「ワンチーム」でプロジェクトを進められたことに何かの形で報いたいと思ったんです。

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捉えづらいPR業界。圧倒的な量のインタビューで本質を見出した

――今回のプロジェクトで、大変だったのはどのようなことでしょうか?

占部:何と言ってもPRというとらえどころのない業界を解像度高く「見切る」ためにインタビューの量と質が求められた案件でした。

業界自体に確固たる定義がなく、様々なプレイヤーが関わる中で業界全体を俯瞰的に理解している人も世の中に存在しない。だからこそ多くの人に話を聞きながら我々なりの視点で全体像を把握していく必要がありました。

市川:業界全体を網羅的に把握している人もいないし、プレイヤー企業をすべて細かく理解している人もいない。こういう時はどうするのかと占部さんにお聞きしたら、まずはインタビューの量で担保しますと。

その中で本質を見つけ出すということでしたが、実際に出てきたアウトプットも、非常に本質的でした。細かい財務数字をジャッジする前に、会社としての特徴を正確に把握できていたのは大きかったと思います。

占部:インタビューを経て見えてきたのは、PR会社が本来持っている潜在能力からすると、世の中一般的にはまだまだ非常に狭く定型的な役割として捉えられているということ。

ネットによって個人の情報伝播力が高まっていく中で、モノを売ったり広めたりするためにPR会社がプレゼンスを発揮できるシーンは増えてくるはずだと確信しました。

また、対象会社が行ってきたプロジェクトの内容を見ても、その可能性を大いに感じさせるものでした。一方で、潜在的には相当大きいポテンシャルを秘めているということと同時に、人材の採用育成や、営業体制強化、商品開発など、それを阻害する要因も見えてきました。

市川:阻害要因を排除しつつ、新たな価値を生み出すために何をやるのか。それを考えて実行するのが、我々のミッションですね。

占部:投資してしばらくは御社の方が中に入って、徐々に任せていくという方針ですか?

市川:1年ぐらいは弊社から半常駐的に関与しますが、徐々にそれはなくして、経営メンバーをシフトしていくのが一般的です。今回の案件で言えば、新たなCFOにもジョインしてもらいましたし、あとは営業マネジメントの領域でエグゼクティブクラスが入ってくれれば任せていけますね。

占部:CFOも御社の人脈でお呼びした方ですよね。そうやって実際にオペレーションを任せられる人材を確保できるのも強みですよね。

市川:そうですね。どれだけ緻密な戦略を立案しても、実行できる人材がいないと意味がないですから。プライベート・エクイティのミッドキャップは中堅から中小と言われる企業規模が多いのですが、純粋にその規模の企業に転職するよりは、ファンドと一緒にやっていくと言った方が候補者のプールは圧倒的に増えるはずです。そういう意味でも我々が介在する価値は大きいと思います。

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本質的なバリューアップができないファンドは淘汰される

――これからの社会において、プライベート・エクイティファンドの担う役割はどのようなものになるとお考えですか?

占部:まず大きな視点で捉えると、今まで以上に存在感が大きくなることは間違いないと思っています。

日本は比較的この業界の成熟度合いは遅れていて、長らく事業売却に際して「身売り」だと言われるようなこともありましたし、再生ファンドに対するイメージも悪く、「ハゲタカファンド」と呼ばれたり、弱みに付け込んで会社を買ってリストラして高く売り抜けるんだろうとか思われているのが一般的でした。

一方で、ファンドを活用することで再生した、非連続な成長を遂げたと言われる成功例が積みあがり、業界でもノウハウが蓄積してきている中で、ようやく「投資ファンドへの売却」というのが、事業会社や創業オーナーにとって、一つの有力な選択肢になってきていると感じます。

市川:以前はファイナンスの知識だけで差別化できていたんです。私も2003年からこの会社に在籍していますが、当時は資産を売却しただけで相当価値が上がる会社もありました。

でも、この数年はそういったケースは見ていません。難しい経営改善にチャレンジしてこそ、プライベート・エクイティファンドとしての存在価値を発揮できる。おっしゃる通りノウハウもたまってきているので、事前に「この業界のこういう会社であれば、おそらくこれぐらい改善できるはずだ」という予測の精度も上がっています。

占部:そういう本質的なバリューアップができる会社はきっと伸びていくでしょうし、そうでないファンドは生き残っていけなくなっていくんでしょうね。

市川:もちろん予言者のようにすべてを当てられるわけではありませんが、チャレンジしながら学んでいくことが重要だと思います。実際の事業に入って悪戦苦闘しないと見えてこない部分も大きいですから。ある程度以上の案件数を、深く入り込んで実行する。質と量の両方が非常に重要ですね。

占部:世の中全体を見渡すとファンドの数も増えていますし、規模も拡大していますので、他社と同じことをやってもつまらないですよね。外部からの勝手な意見ですが、アドバンテッジさんにはぜひ、他社がやらないような案件に挑戦していただきたい。他の人には見えていない価値を見出して、ともに汗をかきながら伸ばしていくことができれば嬉しいですね。

市川:実際に6期連続赤字の企業に再生をテーマとして投資したこともありました。この企業再生には非常に苦労しましたが、経験したからこそできることは必ずあるはずですし、そういった期待にはぜひ応えていきたいと思っています。

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コラム作成者
Liiga編集部
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