安定志向だった私が28歳で「副業で売上3億円」を稼ぎ、起業できた理由
2019/12/05
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Liigaユーザーの皆様の中には、目安として30歳までに起業したいと考える方も少なくないと思います。しかし、「起業しても成功するのか?」「リスクを抑えつつ始めるにはどうしたらよいか?」と考える方もいるでしょう。

そこで今回は、副業で成功したことから起業へ踏み切った岡田さん(仮名)にインタビューしました。岡田さんは某外資系メーカーで働く傍ら、副業として自身の事業を始めた結果、なんと年間3億円の売上を生み出すことに成功。その結果起業に踏み切り、現在は年商10億円以上に成長しています。匿名という条件で話しづらい裏話も含めて、「副業を始めたきっかけ」「起業に成功するためのポイント」について聞きました。



【目次】
・こんなに早く起業する気はなかった。きっかけはMBA留学費を稼ぐための副業
・本業の会社と副業拠点を一日に何度も往復。大変だけど楽しさしかない
・起業後に直面した倒産危機。けれど、それが良かった
・まずは「得意分野」や「今の会社の人脈や情報」をベースに起業せよ

〈Profile〉
岡田 健洋(おかだ たけひろ)(仮名)

大学卒業後、某外資系メーカーに入社、営業職にて2年連続のトップセールスを経て、支社やサービスの立ち上げを経験。本業の傍らネット通販事業に関する副業をはじめ、社会人4年目に28歳で起業。
現在は年商10億円を突破し、経営者として活躍中。

こんなに早く起業する気はなかった。きっかけはMBA留学費を稼ぐための副業

ーー現在どのような事業を展開されているか教えていただけますか。

岡田ネット通販事業を展開しております。様々な人との出会いや偶然の出会いにも支えられ、事業は順調に拡大しており、今期の年商は10億円以上になっています。

ーーなぜ起業されたのですか。

岡田実は最初から起業するつもりはなく、きっかけは「MBA留学費を稼ぐための副業」でした。社会人になる前から会社を経営したい考えはありましたが、そのためにはより深い経営の知識が必要になると考え、MBA留学をしたいと思っていました。しかし、留学するには学費・生活費諸々含めて約2,000万円が必要ということを知り、それを副業で稼ぐつもりで始めたのです。

私は縁あった方からもアドバイスをいただき、OEMで良質な財布やカバンを安く作ることができる業者を探し、カスタマイズして自社ブランドとして売る、というビジネスを始めました。

このビジネスが初年度から想定以上にうまくいき、1年目に1億円ほどを売り上げ、2年目で売上3億円ほどに達しました。その結果、留学費を捻出することに成功しました。

それまで留学費という目標に向かってただただ走ってきたのですが、その目標を達成したとき、改めてこの副業がまさに経営の実践となっており、そして、まだまだこのビジネスには伸ばせる余地がある、ということに気づきました。

その結果、MBA留学には行かず、2016年の末に会社を退職し、副業を「本業」にすることに決めました。

ーー最初は、なぜ起業よりもMBA留学を志向されていたのですか。

岡田:元々私は“冒険”してきた人間ではなく、”安定したキャリア”を選んできた人間だったので、いきなり会社を辞めて起業するような勇気はありませんでした。 肩書や実績など、しっかり鎧を着て身を固めてからじゃないと動けなかったのです。だから、「会社にいながら副業をする」という石橋を叩く道を選びました。

ーーなぜ、副業がそんなにうまくいったのですか。

岡田:私がうまくいった理由は、主に3つあると思います。

まず第一に、徹底的に市場分析したことです。私は当時財布やカバンの市場について、誰よりも調べていました。だから「絶対勝てる」という自信がありました。

次に、強固なサプライチェーンを構築できたことです。元々知り合いだったパートナーと密につながることで、物販において重要な仕入れルートやささげ作業などを最適化することができました。

そして最後に、良いメンバーを集められたからです。創業メンバーは、優秀なことはもちろん、それぞれ好奇心旺盛でかつ勝つことに貪欲だったので、私が忙しくて手が回らないときはどんどん自走してくれました。

時には衝突することもありましたが、5年経った今でも一緒に働いています。

ーー副業開始直後は、どのくらいの売上だったのですか。

岡田:実は、副業開始直後から商品がヒットしました。最初にリリースした財布が、初日から一日50万円ほど売れ、初月で3,000万円ほど売り上げました。 売上が上がることはもちろんですが、自分たちの仮説があたったことが何よりもうれしかったです。

会社と副業拠点を一日に何度も往復。大変だけど楽しさしかない

ーー創業時のメンバーはどのように集めましたか。

岡田:起業は最初3人で始めましたが、2人とも私が本業で営業していた時に出会いました。

2人はそれぞれ自分のECショップも持っており、年齢や考え方も近かったのです。だから、彼らと一緒にセラーを経営したらうまくいくだろうと思ったので、起業に誘いました。

ーー最初の資金はどうされましたか。

岡田:資本金は自己資金で300万円、サラリーマン時代の給料の貯金から捻出しました。初年度はメンバー2人の役員報酬は月15万程度、私自身はしばらく無給に抑える時期もありました。

ーー会社のオフィスは、最初どうされていましたか。

岡田:起業当初は私の自宅を本拠地にしながらも、基本は各自リモートで仕事をしていました。途中から知り合いベースで採用し、6人体制になった時からレンタルオフィスを借りることにしました。ほぼ毎日、会社の昼休憩の時に抜けて顔を出していました。

ーー本業と副業の二重生活は、楽しめましたか。

岡田:楽しかったですが、大変でしたね。今でもよく覚えているのですが、朝は本業の会社の定例MTGで本社の幹部に私が詰められ、一方で同じ日のランチタイムに私が自分の会社の社員を詰める(笑)。そういう日々を繰り返していました。

ーー副業時代の一日のスケジュールは、どんな感じでしたか。

岡田:平日は、朝9:00から18:00まで本業の会社に出社。そして、19:00に副業先の事務所に出社し日が変わるまで、土日はほぼフルタイムで働いていました。この生活を1年半ぐらい続けていました。

ーーかなりのハードスケジュールですね。

岡田:やりたくてやっていたので、単純に楽しかったですよ。創業メンバーはみな「利益が上がる以上に、SEOの順位が上がるとすごく嬉しい」と感じるような、そういうオタク人種の集まりでした。

起業後に直面した倒産危機。けれど、それが良かった

ーー副業時代から売上3億円もあれば、起業されてからも業績は順調でしたか。

岡田:そんなことはありません。実は倒産の危機がありました。

ーーその理由について、詳しく教えていただけますか。

岡田:本業の会社を辞める直前の2017年、会社の年間売上が1億円から3億円に成長していた時ですが、売上を増やすために商品数を急増させていたことで、実は利益構造が悪化してていました。

全体的な売り上げは伸びたものの、一つ一つの商品の利益や在庫消費サイクルは減少しており、在庫管理コストも急増していました。こうしてキャッシュフローが急激に悪くなったのです。

毎日倒産を覚悟し、1日1日を生きながらえて安堵するような、すごく苦しい時期でした。

ーーなぜ、そのような状況が起きたのですか。

岡田:色々問題がありました。例えば、効率化を求め、組織を分業化したことが逆に自分たちの強みを失うことになってしまったと思います。

ーーどうやって、この危機を乗り越えましたか。

岡田:とにかく毎日深夜まで、延々と仲間たちと対策を練りました。 まず、当面の資金を作りました。役員報酬は全部カット、一時的に身内にお金を借りるなど、取り得る手段はすべて取ってどうにか資金を捻出しました。

次に、取り扱い商品数を一気に減らしました。例えば売上も利益も多い商品だけを残し、売上は多いが利益が少ない商品はストップしました。こうして、とにかくキャッシュフローを改善しました。

延々と地道にただただあるべき形を信じ、改善を続けることで、どうにかこの苦境を乗り越えることができたと感じています。

ーーかなり辛い危機でしたね。

岡田:はい、とてもつらい時期でした。しかし私は、起業後の早い時期にこのような濃い経験ができて、とてもよかったと思っています。

ーーなぜですか。

岡田:なぜなら、事業構造の改革に早く着手できたからです。当時、会社は間違った戦略を歩んでいました。売上だけが膨れ上がり、利益やキャッシュフローの構造が疎かになっていました。

2017年にこの危機を乗り越えた後、2018年にさらに大々的に事業構造を改革しました。その結果、2019年現在では、年間売上10億円に対しEBITDA(税引前利益に支払利息、減価償却費を加えて算出される利益)を数億円にすることができました。上場企業と同じ水準まで財務体質を回復することができたのです。

まずは「得意分野」や「今の会社の人脈や情報」をベースに起業せよ

ーー起業する上で、大切だと思うことはなんですか。

岡田全てセオリー通りに行うのではなく、自社なりのサプライチェーンとバリューチェーンを構築すること、です。例えば、セオリーでは自分たちが独自に海外に物流拠点を構築した方がいいケースでも、実際には文化の違いによるトラブルや管理コストの増加というデメリットがあります。だから、現実にはそうしない方がいいケースがあったりします。

資本政策も、他社と自社では状況も目標も違うので、セオリー通りにはいかないのです。例えば、弊社は現在上場を目指している訳ではないので、外部資本を増やさない方がよい状況にあります。だから投資家の資本は一切入ってなくて、全部銀行融資などのデットファイナンスで運営しています。

ーー起業を考えている方に、アドバイスはありますか。

岡田「自分自身の得意分野や、今の会社にいるからこそ築ける人脈や情報」をベースに、まずは社会的価値の大きさなどは気にせず、自分自身のやりたい事業をやったらいい、と思います。本業としてやるにせよ、副業としてやるにせよ同様です。

また、「サラリーマン」と「ビジネスマン」の違いについてよく意識して欲しいと思います。大企業だとサラリーマン的な仕事が多いと思うのですが、その仕事と事業がどのような顧客にどう価値を提供しているかを、明確に意識しながら仕事をすることが重要です。この意識がないと、履歴書上すごそうに見えても、実際出している価値は薄っぺらいという人間になってしまいます。

私の場合、元いた会社でもクライアントに寄り添い、色々話を聞いたうえで自分で考えて提案させていただいていたことが、副業・起業に繋がりました。そして実は今、元々私がやりたかったビジネスも準備を始めています。こうしたことから、私は最初の会社に入社してすごくよかったと考えています。

コラム作成者
Liiga編集部
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