偏差値55の平凡大学から外資系戦略コンサルに入社し、東大卒の同期より早く昇進できた意外な理由とは
2020/09/10

description

外資系戦略コンサルでの勤務に憧れを抱く人はたくさんいます。とはいえファームによっては、慶應義塾大学卒の人でさえ、学歴コンプレックスを抱く世界。

「自分は偏差値55の平凡大学出身だし、仮に転職できても太刀打ちできないかも……」と考える人がいても無理はありません。

しかし、希望を捨てる必要はありません。なぜなら、杉本英治さん(仮名)は偏差値55の大学出身者にもかかわらず、新卒で東大卒がひしめく戦略コンサルティングファームに入社し、東大卒や慶應卒の同期よりも早く昇進してきた人だからです。

今回はそんな杉本さんに、「偏差値55でも戦略コンサルに入社する方法」「偏差値55でも会社や上司から評価される方法」についてお聞きしました。

〈Profile〉
杉本 英治(仮名)
外資系戦略コンサルファーム シニアアソシエイト
地方私立大学を卒業後、新卒で外資系戦略コンサルファームに入社。4年の勤務ののち、事業会社での仕事に憧れて転職する。複数年の勤務を経て、より経験を積むために1社目とは別の外資系戦略コンサルファームに転職。現在に至る。



【目次】
・「慶應卒でも学歴コンプレックスに頭を抱える」外資系戦略コンサルに、偏差値55の大学出身者が新卒入社できた理由
・東大卒の同期より偏差値55の私が早く昇進した理由は、「人が嫌がる仕事を進んで引き受けたから」
・学歴が無くても戦略コンサルに入社するコツは事業会社で実績を残すこと!「戦略コンサルタントは事業会社での仕事にコンプレックスがある」

「慶應卒でも学歴コンプレックスに頭を抱える」外資系戦略コンサルに、偏差値55の大学出身者が新卒入社できた理由

ーーまずは杉本さんの経歴について教えてください。

杉本:地方の私立大学を出たあと、新卒で外資系戦略コンサルファームに入社しました。大学の偏差値は55でしたね。アナリストを2年、コンサルタントを2年経験し、マネジャーへの昇進が目前でした。しかしそのタイミングで、当初から目指していた事業会社に経営企画として転職することにしました。

複数年勤めたあと、コンサル業界に戻ってくる形で外資系戦略コンサルファームに移りました。現在はシニアアソシエイトとしてジュニアの人たちを引っ張っていくと同時に、マネージャーに上がるために自分自身のスキルアップに努めています。

ーー偏差値55の大学でも、新卒で外資系戦略コンサルファームに採用された成功要因はなんですか?

杉本:学生時代の経験が、コンサルという仕事と相性が良かったからだと思います。

無名の地方私立大学出身者の私は、学歴でハンデがある分、他の部分でアピールするしかありませんでしたから。

ーーどういった経験ですか?

杉本:海外留学経験です。といっても単なる語学留学ではなく、「経済格差」を体感するための留学です。

まずは私は昔からスポーツ少年だったので、現地の貧困層の子供たちのためにスポーツスクールを作る活動をしました。

現地にはボールもスパイクもありませんから、留学前にNGOの本部に乗り込んで「これからこういうプロジェクトをするから手を貸してくれ」と言って協力を取り付け、色々な人を巻き込んで実現しました。

他にも、留学先の経済を牛耳っているような外資系大企業の現地法人でインターンをしました。そこでコンサルティングの業務で使うスキルの基礎を身に付けました。

こうした、いわゆるアウェイ体験が、評価されたのではないかと思います。

ーー実際に入社してみて、学歴の差は感じましたか?

杉本:そこまで大きな差は感じませんでした。

確かに入社してすぐのころは、周りの同期が「Aさんはいい大学、もしくは自分と同じ大学を出ているから、このプロジェクトにアサインしてみよう」とマネージャーからの指名で抜てきされることはありましたね。

でも実際に働く中で個人の実力が明らかになってくると、学歴ではなく、実績で見てくれるようになりました。

ちなみに戦略コンサルの世界は高学歴者が多く、東大卒が当たり前の世界です。私が最初に入ったファームでは慶應卒の同期が学歴コンプレックスを抱えているほどでしたね(苦笑)。

東大卒の同期より偏差値55の私が早く昇進した理由は、「人が嫌がる仕事を進んで引き受けたから」

ーー昇進スピードは周りと比べてどうでしたか。

杉本:少し早い方だと思います。基本的にはアナリストを3年、コンサルタントを3年やってからマネージャーに上がるという会社だったのですが、私は最初の会社では、アナリストを1年早く終える形で新卒2年目に昇進しました。

ーー学歴のハンデにも負けず、結果を出せた秘訣(ひけつ)はどこにあったのでしょうか?

杉本:「人が嫌がる仕事も選り好みせずに手をあげること」です。私見ですが、高学歴で頭のいい人たちはプライドが高く、仕事を選り好みする傾向があります。

例えば同期を見ていても、自分のアサインされた案件が炎上しかけると「もういいや」と投げ出す人や、自分の評価者の目につくところ以外は手を抜いたりする人が少なくありませんでした。

私はそうした仕事に積極的に手をあげて、がむしゃらになって働きました。その姿を上司が見てくれていて、東大卒の同期達よりも1年早くコンサルタントに引き上げてくれたのだと思います。

ーー周りと差別化を図るために、「積極性」をアピールしたのですね。

杉本:その通りですが、炎上案件に手をあげるメリットは「上司にタフさをアピールできる」だけではないですよ。

コンサルの仕事における炎上案件というのは、「収拾がつかなくなっている」場合ももちろんありますが、それというよりは「そもそもクライアント求められる期待値が高くテーマが難しい」というものがほとんどなのです。だから、炎上案件に逃げずにしっかりと向き合えば単純にスキルアップにもつながるのです。

この意味でも人が嫌がる仕事に手をあげるのは大切だと思います。

ーーコンサルタントからマネージャーになる直前に、なぜ事業会社に転職したのですか?

杉本:そもそも事業会社でいつかは活躍したいと思っていたからです。アナリスト時代から、忙しい合間をぬって事業会社の経営者の講演会や、コミュニティーに参加して「いつかは……」と思っていました。4年働いたタイミングで行動に移したという形です。

学歴が無くても戦略コンサルに入社するコツは事業会社で実績を残すこと!「戦略コンサルタントは事業会社での仕事にコンプレックスがある」

ーー学歴にコンプレックスを抱えて、戦略コンサルへの挑戦をためらっている人たちに、アドバイスはありますか。

杉本:今事業会社にいるのなら、まずはそこでしっかりと実績を残すことをおすすめします。

なぜなら、実は戦略コンサルには事業会社へのコンプレックスを持っている人が少なくないからです。というのも、コンサルという仕事はあくまで客観的なアドバイスしかできず、一つ一つの事業に主体者として取り組むことができないからです。 私自身、最初の戦略コンサルファームから事業会社に転職したときにそれを痛感しました。コンサルの経験があるので、私はきれいな青写真を描くことはできました。パワポやエクセルの扱いも、事業会社の人たちに比べれば上手かもしれません。

しかし事業会社ではそうした小手先のテクニックよりも、事業について深く考え、責任をもって実行すること、結果を出すことに価値があります。事業会社では紙の上の数字を作るより、お客様の笑顔を作る方が大事なのです。

ーーそういった違いも、杉本さんが再度戦略コンサルに戻られた理由ですか。

杉本:私が事業会社からコンサル業界に戻ってきたのは、自分が事業会社の価値観の中で成果を出すにはまだまだ経験や知識が圧倒的に足りないと思ったからです。

それくらい、事業会社とコンサルファームの働き方には差があります。

ーーだからこそ、事業会社で実績を残すことが、コンサル業界に入った時に役に立つということですね。

杉本:おっしゃる通りです。今いる場所で、しっかりと事業と向き合って、色々な人を巻き込みながら仕事を進めた経験があれば、戦略コンサル業界に入る時、そして入ってから役に立つ可能性は十分あります。

実際に今いる外資系戦略コンサルファームでは、コンサル出身・投資銀行出身の人の中でも、事業会社出身の人が十分バリバリ活躍していますね。

ーー実際に戦略コンサルファームに入社してから、持っておくといいマインドセットはありますか?

杉本:「学歴の差を気にする必要は全くない」と「積極的に行動して結果を残せば、自然と周りは認めてくれる」の2つでしょうか。

ーー1つ目の「学歴の差を気にする必要は全くない」理由について、詳しく教えて下さい。

杉本:学歴が役に立つのは、せいぜいマイナス評価からゼロ評価への補正をしてくれるくらいです。

例えば「あいつは結果を出せていないが、高学歴なのだからポテンシャルはあるはずだ」と言われて、なんとか上司から見捨てられずに済んだ……といったケースです。

一方で、ゼロ評価からプラス評価に引き上げてくれるのは「個人が残した実績、結果」だけです。学歴ではプラス評価は獲得できません。

古色蒼然(そうぜん)とした価値観の会社ならともかく、ダイバーシティーを歓迎している会社が多いコンサル業界では、肌の色はもちろん、話す言語も、学歴も評価には影響しないのです。だから安心して、実績を積み上げることに集中していいと思いますよ。

ーーもう1つの「積極的に行動して結果を残せば、自然と周りは認めてくれる」というのは?

杉本:泥臭い努力をするということです。手前みそですが、先ほど申し上げたように人の嫌がる仕事に積極的に手をあげるのもアリです。

あるいは、クライアントから嫌われたり、敬遠されている上司が取ってこられないようなファクトをつかんでくるために時間と労力をかけてもいいでしょう。そうすれば、きっと誰かがその努力を見てくれていて、評価してくれます。

ともかく、学歴のハンデを理由に戦略コンサルへの挑戦をためらう必要は全くありませんよ。ぜひとも諦めずに頑張ってほしいですね。

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。