日系大手→スタートアップで仕事と家庭が両立|女性へ送るキャリア論
2020/10/20
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#新卒内定者必須コラム

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キャリアを積み上げてきた女性にとって、仕事と家庭の両立は大きな課題です。しかし、現実には結婚、出産、育児というイベントがハンデとなって、理想的なキャリアからドロップアウトしてしまう人が少なくありません。

今回は日系の大手金融機関からスタートアップに転職することで仕事と家庭の両立を実現した塚田美奈子さん(仮名)にご協力いただき、ご自身の経験をもとに理想のワークライフバランスを手に入れるためのコツについて伺いました。

〈Profile〉
塚田 美奈子(仮名)
金融系スタートアップ 創業メンバー
都内有名国立大学を卒業後、日系金融機関に新卒で就職。産休・育児休暇後、現職のスタートアップに参画。現在は創業メンバーとして同社の上場を目指している。


【目次】
・スタートアップ転職で実現できる”納得の「育児」と「仕事」の両立”
・「フルで働いてみてできなかったら調整すればいい」仕事と家庭の両立の極意はロールモデルから学んだ
・「女性はもっと貪欲になっていい」名著『LEAN IN』から学んだ女性としての働き方
・「ベンチャーにいきたい人もまずは大企業で基礎を」結婚・出産前のチャレンジとスキルアップが大切

スタートアップ 転職で実現できる”納得の「育児」と「仕事」の両立”

――まずは塚田さんのご経歴を教えてください。

塚田:新卒で日系の金融機関に就職して、不動産ファイナンス、公募増資やIPOなど様々な資金調達のアレンジメント業務に関わってきました。

結婚後は、お客さまに財務戦略や資金調達、M&Aの提案などをする部署に異動し、それからまもなくして子供を授かり、1年半の出産・育児休暇を取得しました。

休暇が明けて職場復帰をした後、以前からボランティアとして参画していた現職であるスタートアップに転職しました。

弊社は後継者のいない中小企業の事業承継の受け皿となることを目指して設立されました。社会問題化している事業承継問題の解決に資する、非常に社会的意義のある仕事だと感じています。

――日系金融機関からスタートアップに転職されたのはなぜですか?

塚田:前述のように社会的意義のある仕事をしたいという思いに加え、ずばり「時間や場所を自ら選べて柔軟な働き方ができる」からです。

――スタートアップ は「ガツガツ働くことを求められる」というイメージもあるので、意外です。

塚田:弊社では、やるべきことさえやっていれば、やり方は問われません。

たとえば、いつ働くかも自由です。子供が病気の時など、日中に仕事ができなければ、夜、子供が寝てから働けます。

また、育児で平日に働けない時は、土日に仕事をします。土日が休日である夫に子供の面倒をみてもらい、その間に集中して一気に仕事をします。

――リモートワークを活用しているのでしょうか?

塚田:そうですね。ただよくある新型コロナウイルスの影響で取り入れたリモートワーク制度を使って…というわけでなく、弊社は創業時からどこでも仕事ができる環境を整えてきました。

早くから制度があったので、今のような状況になっても、以前と変わらず同じクオリティーで仕事ができています。

――転職する際、未知の世界に挑戦することに不安はなかったのでしょうか?

塚田:挑戦する環境が整っているので、そういった不安はありませんでした。というのも現在、弊社には専門的なスキルを持っている幹部メンバーが6人います。

何かわからないことがあればいろいろな分野のプロフェッショナルからサポートを受けられるので、安心して挑戦することができています。

――大手の方がスタートアップより、時短勤務をはじめとした育児をしながら働ける環境が整っている印象があります。その点は実際にはいかがですか?

塚田:たしかに「制度が整っている大手の方が働きやすい」と感じる女性は多いと思います。しかし育児をするようになれば、どうしても仕事に支障が出てしまいます。

私は育児だけでなく、自分が納得できるレベルで仕事もしっかりやりたかった。だから限られた時間を有効活用できて、育児でも仕事でも最大のパフォーマンスを発揮できる現職がベストだと思ったのです。

――育児と仕事に追われる中で、時間を有効活用するコツはありますか?

塚田:ありきたりですが、自分の中で1日の時間割を決めて動くことです。

優先順位を決めて、重要なことからやること。自分以外の人がやれることは、頼ってお願いすること、でしょうか。

「フルで働いてみてできなかったら調整すればいい」仕事と家庭の両立の極意はロールモデルから学んだ

――金融機関時代に産休や育休を取得することについて、迷いや葛藤はありましたか?

塚田:それはありませんでした。新卒からずっと仕事一筋で、それまでまとまった休みを取ることも少なかったので、この機会に一気に休もうと割り切っていたので。むしろ、休暇中は育児の時間を楽しもう、と思うことができました。約1年半にわたるお休みでしたが、産休・育休前にしっかり働いたのがよかったのでしょう。

ただ、出産後に子育てに専念していた時には、子供がかわいくて幸せな一方で、物足りなさも感じていました。

復帰した後、仕事を通じて周りの人に感謝された時には大きな満足感があり「やっぱり、私には仕事が必要なんだ」と再確認できました。

――1年半という長い休暇の中で、「仕事の勘が失われるのでは?」という不安はありませんでしたか?

塚田:そういった不安はあまり感じませんでした。産休・育休後に復帰した先輩をたくさん見ていたので、多少のブランクがあっても大丈夫だろう、と思っていました。

――ロールモデルになる先輩が何人かいたということですね。

塚田:そうですね。仕事面と家庭面でそれぞれ、いろいろと学ばせてもらった先輩がいました。

仕事面で教えてもらった先輩は「やれるかどうかわからなくても、まずはやってみよう」という考え方がとても好きでした。今もこの考え方を実践しています。

子育てと仕事の両立に不安を感じていたときも、「まずはフルで働いてみて、できなかったら調整しようよ」と言ってもらえたのが、とてもありがたかったです。

ーー家庭の面ではいかがでしょうか。

塚田:家事と仕事を完璧にこなす先輩がいたので、その方に効率的な家事や子育てのやり方を教わりました。

たとえば、1週間分のおかずを作り置きしておくとか、家事はすべて朝にすませる、とか。レベルが高すぎて、なかなか真似できませんが、少しでも近づけたらいいな、と思っています。

「女性はもっと貪欲になっていい」名著『LEAN IN』から学んだ女性としての働き方

――職場の先輩のほかに仕事と家庭を両立させる働き方について、参考になったものはありますか?

塚田:産休中に読んだ『LEAN IN(リーン・イン) 女性、仕事、リーダーへの意欲』(シェリル・サンドバーグ著)は非常に参考になりました。

女性のキャリアについて書かれた書籍で、私にとっては転職を後押ししてくれる存在になったんです。世の中の働く女性にはぜひ読んでもらいたい1冊ですね。

――最も心に残っているのはどんな教えでしょうか?

塚田:女性は男性に比べると自信を持ちにくい、ということでしょうか。

ーーと言いますと?

塚田「男性は多少自信がなくてもアプライできるけど、女性は120%の確信がないとポジションにアプライしない」というような一節がありました。これを読んだときに、自分はもっと貪欲にやってよかったんじゃないか、と思いました。

弊社への転職のお誘いがあった時も、「自分にできるだろうか」とすごく悩みましたが、その一節が背中をしてくれました。

「ベンチャーにいきたい人もまずは大企業で基礎を」結婚・出産前のチャレンジとスキルアップが大切

――これから結婚や出産という人生のイベントを迎える女性ビジネスパーソンはどんな準備をすればいいでしょうか?

塚田結婚や出産の前にできる限りチャレンジしておこうよ、というのが一番ですね。パートナーができて子供ができると、時間を100%自分のためには使えなくなります。

ですから、海外勤務へのチャレンジや、MBA取得などといったスキルアップはなるべく若いうちにすませておくことがとても重要です。

――塚田さんは大企業とベンチャー両方をご経験されています。どちらを勧めますか?

塚田:個人的には、まず大企業で働いてみると良いと思います。サポートしてくれる上司や先輩がいたり、研修制度も整っているため、安定した環境で仕事の基礎を身につけ、スキルアップすることが可能です。

また、大企業ならではの意思決定の仕組みなどを知ることができるます。将来的にベンチャーで働くにしても、取引先は大企業の場合も多いため、大企業の仕組みを理解しておくことで仕事のやりやすさが違うと思います。

――現在のスタートアップではどのようなスキルを得られていると思いますか?

塚田:前職の金融機関ではファイナンス分野でキャリアを築いていました。しかし、現職ではさらにM&Aの知識や中小企業の経営ノウハウも必要です。

大手で身につけた仕事の基礎があるからこそ、それをベースに未知の世界を開拓する楽しみがあるとともに、大手在籍時よりも要求度の高いチャレンジができているのだと実感します。

――最後に塚田さんご自身の今後のお仕事やプライベートの展望について教えてください。

塚田:仕事では会社の上場を目指して、会社を成長させていきたいですね。チャンスがあれば、譲り受けた会社の経営にも関与していきたいと思っています。

プライベートでは、家族の時間を大切にして、子供の成長を見守っていければいいなと思います。

コラム作成者
Liiga編集部
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