「これほど人の人生に影響を及ぼすのか」~M&Aは、人と企業の未来を創造する~
2021/04/09

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日本初のインターネットM&A市場「SMART」を運営していることでも知られる、株式会社ストライク。M&A黎明(れいめい)期からマーケットをけん引してきた業界のパイオニアだ。設立から約20年で東証1部上場を果たし、現在も着実な成長を続けている。今回話を聞いたのは、創業者であり、現代表の荒井邦彦氏。非常に柔らかな表情と語り口調ながら、言葉の端々から“人と企業の未来を創造する”M&Aという仕事に対する誇りと責任を感じられた。M&Aに少しでも興味を持っている方には、ぜひご一読いただきたい。

〈Profile〉
荒井邦彦(あらい・くにひこ)
代表取締役社長
一橋大学商学部卒業後、太田昭和監査法人(現EY新日本有限責任監査法人)に公認会計士として入社。仕事の中で出合ったM&Aのダイナミックさに惹かれ、この領域での起業を決意する。1997年に株式会社ストライクを設立し、1999年には日本初のインターネットM&A市場「SMART」をリリース。2016年6月に東証マザーズに株式上場、2017年に東証1部へ市場変更し、現在に至る。

涙ながらに「ありがとう」と言われた時に、私の人生も動き始めた

――創業のきっかけや当時の思いを聞かせてください。

荒井:幼いころから会社を経営してみたいという思いがあり、小学校の卒業文集にも将来の夢は経営者だと書きました。ただ、大学在学中に起業する度胸はなく、公認会計士の資格を取って監査法人に就職しました。

運が良かったのは、担当するクライアントに創業経営者が多かったことです。会計士は基本的に上場企業の監査が仕事ですから、顧客は歴史ある大企業がほとんどです。その中で、私はたまたまこれから上場しようとしている企業など、成長意欲の高い顧客を数多く担当させていただきました。

そのうちの1社が、非常に積極的にM&Aを活用しておられました。1990年代半ばごろでしたから、今と違ってM&Aを経営戦略に組み込んでいる会社はほとんどありませんでした。しかし、売り手企業、買い手企業がM&Aを通じて信じられないほどのスピードでダイナミックに変革していく姿を見て、「これは面白い」と思いました。ぜひこの領域で起業したいと思い、1997年にストライクを設立しています。

――設立20年で東証1部に上場されましたが、経営は最初から順調だったのでしょうか。

荒井:当初はかなり苦労しましたよ。私は営業をやったことがなかったので、どこにいけばお客さまがいるかも分からない。どれだけ知識があったとしても、お客さまがいないことには実力を発揮する機会がありません。創業してすぐに、大きな壁にぶつかりました。

――その壁はどうやって乗り越えたのですか?

荒井:運良く、世の中にインターネットが広がっていく時期と重なったんです。アメリカにはすでにM&Aの売り案件がずらりと並んでいるサイトがあって、これなら私でもできるんじゃないかと思い、見よう見まねでWebサイトを立ち上げました。今風にいうと、会社のEC(電子商取引)サイトですね。

インターネットの普及と同時にM&Aも少しずつ市場に認知されてきて、「会社を売りたいが、どこに相談していいか分からない」という方から、少しずつお問い合わせいただくようになりました。日本初のオンラインM&A市場として誕生した「SMART」は、現在も当社の主力サービスの一つです。もし私に営業経験があったなら、ストライクは今のような会社にはなっていないでしょうね。

――創業当時の思い出深い案件などはありますか?

荒井:やはり思い出深いのは最初のお客さまです。売り手側の社長は当時60歳でしたが、お体を悪くされていました。息子さんは別の会社に就職しているし、専務にも代表就任の意思はない。20人ほどの社員さんの雇用を守るためにも、会社を任せられる人を探したいということでした。

買い手を見つけるまでには苦労もありましたが、最終的には同じエリアで同業を営なまれている会社さんとご縁があり、無事に成約して現在までしっかり存続されています。この案件を担当させていただいたことで、私自身の考え方やスタンスに、大きな変化がありました。

――どのような変化があったのですか?

荒井:先ほども申し上げた通り、私が起業したのは「M&Aって面白そう」という単純な動機です。経済的なスケールが大きくやりがいもある。でも、それはお客さまにはまったく関係のない話ですよね。そこに気づかせていただきました。

売り手側の社長は命に関わる病気を患われていたので、交渉の場には必ずご夫人も同席されていました。社長も不安だったと思いますが、おそらくご夫人の不安はそれ以上だったはずです。「会社を残されてもどうすればいいか分からない」という気持ちだったでしょう。

ご自宅で契約書類への調印を終え、買い手側の経営陣が帰られた後、ご夫人が涙ながらに何度も「本当にありがとうございます」と言ってくださいました。情けない話ですが、M&Aの仲介という仕事はこれほど人の人生に影響を及ぼすのかと、初めて実感したのがその時です。

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M&Aの本質をひもとくと、人間の本質にたどり着く

――自分のためではなく、お客さまのためという視点が大切なのですね。

荒井:基本的にはそのとおりです。ただ、お客様のためという視点はもちろん重要ですが、コンサルタント自身にスキルを向上させたい、という自己実現の欲求がないと仕事の質が上がらず、結局はお客様の役に立てなくなるという面もあります。

――創業したころと比較して、M&Aマーケットの変化をどのように捉えていますか?

荒井:M&Aという行為に対する認識は大きく変わりました。かつては少数の企業が活用しているだけでしたが、現在では多くの企業の経営戦略の選択肢の一つとして活用されています。ただ、個人的にはM&Aの本質はこれからも大きくは変わらないだろうと考えています。

――それはどういうことでしょうか。

荒井:M&Aの本質は、人間の本質や習性と非常に近いと思います。猫には猫の、アリにはアリの習性があるように、人間にも人間の習性がある。人間の習性とは、群れを作ることです。

人間はどう頑張っても走ったらチーターに勝てないし、森でゴリラに遭ったときに戦っても勝てるわけがない。人間は野生動物としては極めて弱い存在なのです。そんな私たちがなぜ万物の霊長と呼ばれているかといえば、群れを作って協力しながら社会を築いてきたからです。

会社は、まさにその本質を体現している存在です。1つの目標に向かって全員で力を合わせて前進していく群れです。M&Aの本質とは、そうやって協力しながら成り立っている群れ同士が一緒になって、さらに大きなことが実現できるようにすることなのです。これがM&Aの本質であり、人間が人間である限りこの流れがなくなることはないでしょう。

――今後もマーケットは活発になっていくということですね。

荒井:おっしゃる通りです。我々の提供価値は変わっていないのですが、市場環境が活発化することで注目度も上がっていますし、もうかりそうだということで新規参入される企業も多くあります。ただ、話題性があるとか儲かるとかだけでは仕事に魅力がないですよね。私としては、もっと魅力的な、世の中にとって意味のある仕事をしたいと思っています。

――魅力的な仕事というのは?

荒井:具体的な事例をお話しすると、当社は新型コロナウイルス禍のさなかに京都・貴船の料理旅館の事業承継に関わる売却案件を手掛け、無事に成立しました。

コロナ禍で外食産業も旅行業界も厳しい状況ですが、地元の企業が買い手として手を挙げてくださって、京の伝統を残すことができました。

しかし、同じ時期に同じ京都の別の料理旅館さんが廃業されたという報道をみました。幕末に桂小五郎がよく通っていたという歴史と伝統があるお店です。「もしM&Aを模索していればこの料理旅館を残せたかもしれない」と思うと残念な気持ちで胸が痛くなりました。世の中の人たちにはまだまだM&Aを知ってもらう必要がある。我々はもっと努力をしていなかないといけない、と身が引き締まる思いがします。 歴史と伝統を守る、後世に残すべき事業を残していくということは、我々の重要な使命なのです。

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ベンチャー企業のM&Aを活発にすれば、日本にも新たな産業が生まれるはずだ

――貴社のM&A案件は、事業承継が大半なのでしょうか?

荒井:割合でいうと約半分といったところです。事業承継は非常に社会的意義の高い仕事ですから、今後も注力していきます。後継者がいなければ最後は廃業せざるを得ません。廃業してしまえば、従業員は職場を失い、顧客は必要な商品を買えなくなってしまいます。我々が介在することで、そうしたマイナスをなくすことができるので、大きなやりがいを感じられる仕事です。

他方でベンチャー企業のM&Aにも力を入れています。

――これもまた面白そうな仕事ですね。

荒井:そうですね。日本では新しい産業が生まれていないとよく言われますが、私は「企業の新陳代謝」が活発ではないことが一因だと考えています。具体的には起業をもっと活発にする必要があると考えています。 では、なぜ起業が活発にならないかといえば、見込まれるリターンが少なすぎるからです。 起業はハイリスクであるからこそ、ハイリターンでなければ誰も挑戦したいとは思いません。しかし現在の日本では、ハイリターンを得るチャンスが限られています。

起業に対するリターンとしては上場によるキャピタルゲインが想定されますが、新規上場は年間100社ぐらいなのでかなりハードルが高い。その結果、起業のハードルも上がってしまっているのです。

そこで有効なのがM&Aです。たとえば、起業から2年でどこかの上場企業が2億円で会社を買ってくれたとすると、それは大きなリターンですよね。この2億円でまた新しいことをやろうという意欲も湧いてくるでしょう。

こうした前向きなM&Aを活発にできれば、もっと多くの起業家が生まれるようになり、思いもよらない新事業が日本からも誕生するようになるのではないでしょうか。

――そうした未来を達成するために求める人物像を教えてください。

荒井:よくある誤解が、「専門性の高い仕事なので会計士や銀行出身じゃないと務まらないのではないか」ということです。

もちろんプロフェッショナルとして、株価の考え方や適合しやすい企業の見極め方といった技能やスキルを身につけていくことは重要です。ただ、これは入社してから十分に補うことができます。若い方に求めたいのは、むしろ「自分の力で世の中を少しずつでも良い方向に変えていきたい」という心の持ちようです。

自分はM&Aの仲介で生きていくんだという覚悟。自らの選択でクライアントやそこで働く社員の方々、そのご家族の未来、さらにはそのクライアントの先にいる顧客の未来までもが変わるんだという責任感。技能は教えられますが、こうした覚悟や意識はなかなか教育では変わりません。

M&Aの世界に少しでも興味を持っていただけたなら、ぜひ一度会いに来てください。当社は幅広いバックグラウンドを持った社員が集っていますし、女性コンサルタントも多く活躍しています。まずは気を楽にしてお越しいただき、少しずつプロフェッショナルへの階段を上っていってもらえるとうれしいですね。

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コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。