トップエージェントが語る、戦コン・M&A仲介“真の面接対策”とは?【Wayout 石井 康裕氏インタビュー】
2021/07/07

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外資系戦略コンサルファーム、高年収で有名なM&A仲介の面接対策というと、テクニカルな話に終始することも少なくありません。しかし実のところ、そうした表面上の対策だけではオファーにつながらないことも多いのだとか。

そう話すのは、Liigaで2021年5月現在平均口コミ星4.5(74件)、「選考対策・レジュメの添削」では全体で1位の高評価を受けているエージェント石井 康裕さん(Wayout Strategic Partners 代表取締役社長)です。

今回は石井さんに戦略コンサルファーム、M&Aアドバイザリーを目指す人が一番大切にするべきことから始まり、ケース対策の肝や「いつか戦コン・M&A仲介に」と考えている人が“今”できることなどについてお話しいただきました。

〈Profile〉
石井 康裕
Wayout Strategic Partners 代表取締役社長 新卒で事業会社に入社。M&Aアドバイザリー、戦略コンサルタントを経て2019年に独立。Liigaでは2021年5月現在平均口コミ星4.5(74件)、「選考対策・レジュメの添削」では全体で1位の高評価を受けている。


【目次】
・「動機が“不純”なうちは動かない方がいい」M&A仲介・戦コン志望者が一番大切にすべきこと
・「ケース面接には、本質的なレベルまで踏み込んだ対策を」口コミNo. 1エージェントが語るケース対策のポイント
・キャリアコンサルとして心掛けているのは「情報の正確性・対策の精度」
・「青臭く志を抱き、泥臭く努力と工夫をして」M&A仲介・戦コンに行くために“今”できることとは?

「動機が“不純”なうちは動かない方がいい」M&A仲介・戦コン志望者が一番大切にすべきこと

――戦略コンサルファーム、M&Aアドバイザリーの志望者が一番大切にするべきなのは、やはりケース面接対策なのでしょうか?

石井:もちろんケース面接対策も大切ですが、前提になるのは志の高さだと思います。

――どうしてですか?

石井:戦略コンサルの仕事は企業の経営課題を解決することです。そのためどんな問題を解決したいとか、中小企業M&A仲介だったらなぜ日本の中小企業を助けたいのかとか、最初の志が高くしっかりしていないと入社してからが大変だと思います。

コンサルやM&A仲介といった仕事は、何の原価もかからない、本当に人の頭と手足だけで価値を生み出す仕事です。だから労働量も多いし、ライバルも多い。そのため最初の動機が不純だと内定を得ることも難しいですし、例え入社できたとしても壁にぶち当たった時にくじけてしまうんです。

――不純な動機、というのは例えばどんなものですか?

石井:「コンサルって響きがカッコいい」「何となくモテそう」「給料が上がる」「その後のキャリアの幅が広がる」「優秀な人材のいる環境で働ける」などですね。自分が担当する候補者がそういった動機を挙げてきたら、はっきりと「その動機だと面接突破は難しいです」とお伝えします。

――「キャリアの幅が広がる」などは一見すると不純には思えませんが……。

石井その人のキャリアの幅を広げるために会社が存在する訳ではありません。勉強する、スキルを高めたいという思いは持っていても良いですが、会社は学校ではありませんから志望理由としては適切ではないと考えます。。もし学歴も職歴もよく似た候補者がいて、どこで違いが出るかと言えばやっぱりヒューマンスキルや、志の高さ、熱量とその方向性から、”この人と働きたい、この人を育てたい”と思う方を採用すると思います。

だから私はしっかりとした動機が見つからないうちは、動かない方が良いとさえ思っています

――「試しにここを受けてみよう」というのもNGですか?

石井:そういうやり方があることは否定しませんが、Wayout Strategic Partnersでは推奨しませんし、それであれば別のエージェントを使う方が良いとお断りすることが多いです。というのも、転職活動は受験とは違うからです。

――どういうことでしょうか?

石井:受験は基本的に一定以上の点数を取れば合格できます。でも転職活動は、思考力などを見るケース面接、志望動機やキャリアビジョンなどが問われるビヘイビア面接に加えて、企業側がその時欲しい人材セグメントや面接官との相性といったファクターも影響してきます。

だから仮に志望度が低いところを練習で受けても、いきなり書類で落とされることもあるでしょうし、書類が通ったとしてもビヘイビア面接でまともな回答ができない。結果、たいていの人は落ちてしまい、その後の本命を受ける時に自信を失ってしまう。だから良い方に作用するケースは少ないと思うんです。

――企業からしたら採用できないし、候補者もオファーもらえないし、双方が不幸になるわけですね。

石井:そうです。だからそういった動機でファームを受けることはしない方が良い。

――では不純ではない動機というのは、どんなものなのでしょうか?

石井:例えば戦略コンサルファームの志望動機だと、明確な課題意識があって、それを解決するために働きたいというのが王道ですね。

具体的にどいういうことかというとこれまでも今の会社で業界及び経営レベルの問題意識を持ちその問題にアプローチしてきたが、立場やリソースの問題で解決できなかった。だから土俵を変える必要がある、それが出来るのは御社であると考えている、という大筋のロジックは面接官として腹落ち感のある志望動機のひとつです。

自分のキャリアや価値観、原体験を整理したうえで、こうした道筋に矛盾なく落とし込んでいく必要があります。

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「ケース面接には、本質的なレベルまで踏み込んだ対策を」口コミNo. 1エージェントが語るケース対策のポイント

――では志を高く持っていれば、ケース面接は型通りの対策で十分なのでしょうか?

石井:そうでもありません。例えばいわゆるケース面接対策本の多くはまず、売上=単価×数量、単価=商品1つあたりの平均単価×平均買上点数、数量=既存顧客+新規顧客……といった要素分析を行なっていきます。

ここまでは悪くないんですが、次の段階で「じゃあこのパラメータを全部上げていきましょう」という話をしがちです。これでは対策としては不十分なんです。

――どうしてですか?

石井戦略コンサルやM&Aアドバイザリーのクライアントは、そんな提言では納得してくれないからです。経営理論や戦略理論といったロジックを踏まえ、その業界に働く力やKSFは何かを考えながら論点を絞り込んだ上で、「だからこのパラメータを上げないといけない。具体的な施策は・・」という提言をする必要がある。

――「単価が低いので、単価を上げましょう」というアウトプットだと「どうして?」ということになるから、きちんと納得できる形でアウトプットするわけですね。

石井:そうです。目の前の具体的な問題や現象に飛びついていきなりアイデア大会のように打ち手の羅列に終始するのではなく、いったん問題を抽象化することで物事の本質を捉えるところにコンサルタントの介在価値がありますから。その上で、本質的かつ具体的な施策を提言する。ケース面接には本来このレベルまで踏み込んだ対策が必要なんです。

――石井さんはLiigaに登録いただいているエージェントのうち、「選考対策・レジュメの添削」で全体1位(2021年5月現在)の口コミ評価を得ていますが、それはこうした対策を実践しているからですか?

石井:そうですね、こうした話をZoomを使ってホワイトボードに書き込みながらお話させて頂いてます。一人ひとり思考のどこに問題があるのかを考えながらアドバイスすることを心掛けておりますのでその部分に価値を感じていただいているのかもしれません。

これは宣伝になってしまうのですが(笑)、2022年の春に、今お話ししたようなケース対策にビヘイビア対策を加えた面接対策本をWayout Strategic Partnersとして出版予定です。

具体的な内容はまだすり合わせている最中なのですが、元戦略コンサルかつ現役エージェントとして内定を取った方、取れなかった方を見てきたである私たちだからこそ書ける、突っ込んだ内容の面接対策本にするつもりです。

キャリアコンサルとして心掛けているのは「情報の正確性・対策の精度」

――石井さんは平均口コミでも星4.5の評価を得ていますが、キャリアコンサルとしてどんなことを心掛けているのですか?

石井情報の正確性と対策の精度ですね。これは私が転職活動をしていた時に感じた不満や不安などがもとになっています。

――詳しく教えてください。

石井:まず、エージェントによって言っていることがコロコロ変わるんです。例えばAさんは「あなたの年齢ではこの会社は無理です」と言っていたのに、Bさんには「絶対にいけますよ!」と言われたり。結局何が正しいか分からないまま暗中模索の転職活動でした。

だから私は1人のエージェントがクライアント企業と候補者の両方を見るRA/CA両面型(一気通貫型)のキャリアコンサルティング形態を採用するとともに、ビジネススクール時代の人間関係等を通じて生の情報を収集・提供しています。

――具体的にどういった方とのつながりがあるのでしょうか?

石井:「世界の有力コンサルタント25人」にも選出された元BCGの内田和成先生には、修士論文執筆のために直接ご指導いただいていましたし、うちの副社長はマッキンゼーで実際に働いていました。

その他、MBAのアルムナイがほぼ全てと言っていいほどのファームで働いていますから、MBBのマネージャークラスに直接コンタクトを取ることができます。だから情報の正確性が高いと自負しています。

――対策の精度というのはどういうことでしょう?

石井:私が過去に戦略コンサルファームで働いたことがないエージェントの対策を受けた時、どうしても「本当にこのアウトプットで大丈夫かな?」という不安がつきまといましたし、実際考え方が的外れと感じるケースも少なくありませんでした。

一方、私は実際にEYのStrategyチームにいましたし、面接官の経験もあります。そこにキャリアコンサルタントとして蓄積したノウハウを掛け合わせるので、候補者に応じたアドバイスもできます。だから精度の高い対策ができる、というわけです。

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「青臭く志を抱き、泥臭く努力と工夫をして」戦コン・M&A仲介に行くために“今”できることとは?

――石井さんのようなエージェントにサポートを受ける他に、候補者や「いつか戦コン・M&A仲介に行きたい」と思っている人が、普段の実務の中でやっておくべきことはありますか?

石井青臭く高い志や夢を抱きながらも、現職に集中して泥臭く頑張ることですかね。志は冒頭で話したように、タフなコンサルやM&A仲介の環境を耐え抜くための屋台骨のようなものですが、泥臭い努力や工夫も同じような役割を果たしてくれます。

――どういうことでしょうか?

石井:コンサルやM&A仲介の仕事は、外から見るときれいなパワポを作って、カッコよくプレゼンして……というイメージがあるかもしれませんが、実際は現場に行ってリサーチしたり、インタビューしたり、ワークショップでみんなの意見をポストイットに書き出してまとめていったりといった、泥臭い仕事が大半です。

しかもそれが、マネージャーとかシニアマネージャークラスになって、外部に対してソリューションを提案する仕事ができるまで、ずっと続きます。だから入るまでに泥臭い経験をしておかないとハードワークに耐えられないんです。若いうちこそ泥臭くなんでも挑戦する気概が欲しいですね。

――逆に言えば、泥臭い経験をしていないと長続きしないと思われて、オファーももらえないのでしょうか?

石井:オファーを貰えないことはないかもしれませんが、泥臭くやり抜いた実績は肯定されます。担当した仕事をこれでもかと言うレベルでやり抜き高い実績を出したことをきちんとアピールできれば、「それならうちでも頑張ってくれそうだ」と思ってもらえます

だから小器用にやって近道をしようとするのではなく、愚直に、青臭く、泥臭く今の仕事に向き合って欲しいですね。

コラム作成者
Liiga編集部
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