マッキンゼー元コンサルタントが語る、キャリア選択の正しい悩み方 #02
2017/12/13
#戦略コンサルにつながるキャリア
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はじめに

プロフェッショナルの進路選択へのアプローチ、そしてキャリアメークへの決断はどうだったのか――

元マッキンゼーコンサルタント・松井氏のインタビュー後編をお送りします。マッキンゼーで学んだことから、政策秘書として成し遂げたいことまで、深く掘り下げていきます。

前編はこちら↓ マッキンゼー元コンサルタントが語る、キャリア選択の正しい悩み方 前編

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常に自分の出せる価値を問い続けながら、ハードに働く

-マッキンゼーで学んだことにはどういったものがありますか?

マッキンゼーでたくさんのことを経験しましたが、学んだ事としては以下の3つがあります。

1.Client First

これは、マッキンゼーに根付いた理念です。しっかりと「クライアントは誰か?」を常に見据えながら、バリューを出す。

仕事をしていると、ついつい目の前の上司がクライアントと勘違いしてしまいがちですが、そうではなくてお客様が本当に求めることは何かを考えなければ、本当に良い解決方法は出て来ません。

たとえば政策秘書でいうと、議員個人にくっついていて、議員のために働いている印象を持つ人が多いかもしれませんが、税金で給料をいただいている以上、僕のクライアントは主権者の皆様であり、誤解を恐れずに言うと株主は有権者の皆様です。

この気持ちを常に大事にしていないと、判断を間違うことがあります。

2.ファクトベースで考えること

コンサルタントは一般に、若い世代が多いです。そして、クライアントはマネジメント層ですから、自分よりも遥かに経験値の高い方に対して価値ある提言をせねばなりません。

そのための基本は「ファクト=事実」をおさえる、ということです。ファクトに基づいた意見は、権威や役職や経験に依存せず、説得力があります。

政治の世界でも同じことです。政治家としてのキャリアも長く、「大臣」という権力を持つ者に対して、経験の浅い政治家が意見し、また彼らを動かすためには、ファクトをしっかり押さえることが大事だと思います。

そこがしっかりしていないと、決して自分より強い権力者に太刀打ちすることはできないと思います。

3.プロフェッショナルな働き方

この文章を読んでいる方は、ぼんやりと理解されていると思いますが、コンサルタントは「プロフェッショナル」な職業です。特定の組織に属するのではなく、自らの技量や能力を用いて食べていく職業です。

では、プロフェッショナルとはいったい何なのでしょうか?「Professional」の動詞形である「Profess」とは、「宣言する」という意味があります。

つまり「自分はこれができます」と公に宣言し、そのことで価値を出していこうとする職業がプロフェッショナルです。医師もそうですよね。「私は病気を治せます」と宣言し、国や組織を問わずに人の命を助けてまわっている医師はたくさんいます。

ただ、コンサルタントはプロフェッショナルではありますが、弁護士や医師、そして政策担当秘書のように、資格に守られているわけではありません。

だから、常に「何ができるの?」と問われ続けます。逆説的ですが、そう問われ続けることが、コンサルタントを強くするのです。

コンサルタントの働き方は、とてもハードです。

3日3晩ずっと働き続けた結果、座りすぎでお尻の皮がビリビリと剥がれて血が噴き出てきて、それ以来座布団を愛用するようになったこともありましたし、常に妥協の無い働き方を要求されるので、プレッシャーも強かったです。

しかも、「なぜマッキンゼーの人は年棒1億円でも辞めるのか」という本がヒットしたりしたせいで、妙に高給取りのように言われて困るのですが、実は給料もいうほど高くはありません。

コンサルタントは「フィービジネス」であって、投資でお金をドーンと増やす仕事ではありません。基本は「○か月、何人でこれだけ働きますので、XX円となります」というビジネスですから、そんなにガッポリ儲かるはずがないのです。

時給換算するとマクドナルド以下・・・とか言う人もいますが、さすがにそんなはずはないので安心してください。高給取りと言う人も、バイト並みと言う人も、どちらももっと数字を使って考える癖をつけた方がいいですね(笑)

あと、コンサルタントは外部の人間だから、「責任をとらない立場で、レポートを書いているだけだ!」と批判する人もいるのですが、その人はコンサルタントの仕事を全く知らないのだろうなぁと思います。

コンサルタントはみんな「EPR(Engaged Performance Review)」というあらかじめ設定された評価基準に基づいて、クライアント、チームメンバー、マネジャーから360度評価を受けます。

常に仕事の内容は評価されるし、評価が低かった場合はUp or Outという厳しい原則に従って、会社を去ることになります。

僕は、6年半コンサルタントとして働きましたが、レポートを出して終わり・・・という楽ちんな仕事は一つたりともありませんでしたよ。

コンサルタントの方法論を永田町に導入したい

-なぜ、政治の世界に入られたのですか。

コラム作成者
Liiga編集部
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