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ハーバードMBA留学記(2): 戦え、「純ジャパ」-。英語とバックグラウンドの高すぎる壁を越えて

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夏休みを過ごしたアフリカからボストンに戻り、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)での2年生(Elective Curriculum、通称EC)が始まりました。季節はすっかり秋、すでに寒くなり始めており、「もうすぐあの恐ろしい極寒がやってくる…」と迫り来る冬を毎日リマインドされる日々です。

前回は、自分の体験に基づきながらも、なるべく客観的にHBSの概要や特色、そこで得られることを書きましたが、今回はより主観的に私自身の「Transformative(変化・変革をもたらす)」な経験について、率直かつ赤裸々に書いてみたいと思います。

私はHBSによくいる「バイリンガルで、大学時代に経済学や経営学を専攻し、外資系コンサルや投資銀行で慣らしている」人(もしかしたら読者の方にも多いかもしれませんね)とは真逆のバックグラウンドを持っています。そんな私にとって、この1年間は「2つの大きな壁」との戦いの日々でした。

〈Profile〉
才木貞治(さいき・さだはる)
京都大学卒。大手広告会社の東京本社に入社後、6年間営業を担当。その後、3年間インド・バンガロールに赴任を経験。現在はHBSにてMBA取得を目指し奮闘中。ソーシャルインパクトとアフリカビジネスに想いを馳せる、おっさん思春期真っ只中の30代。

ネイティブレベルでない学生は超少数。英語の“総合格闘技”に圧倒される毎日

1つ目の壁は、なんといっても「英語力」です。

私は、日本で生まれ育ったいわゆる「純ジャパ」です。日本の文法・読み書き偏重型の英語教育を受け、大学時代に2セメスターだけカナダへ交換留学をしましたが、新卒での入社先は日系企業でした。したがって、MBA留学前の直近3年はインドに駐在し英語だけの環境にはなんとか慣れていたものの、正直言ってネイティブや帰国子女、英語で教育を受けてきた各国からの同級生たちと比べたら、英語力に雲泥の差があります。

しかし、HBSのケースメソッドで生き残っていくには、なによりもとにかく英語力が不可欠になります。一口に英語力と言いますが、もう少し具体的には「読む・話す・聞く・書く」の4技能すべてが求められます。1年生(Required Curriculum、通称RC)の授業は1日2-3コマあるため、1ケース平均10-15ページとすると、それだけで読んで理解しなければならない英語の分量は、1日あたり合計30ページくらいになります。私は読むこと自体が日本語でも苦手なため、本当に苦労しました。

読んで理解するだけならまだいいのですが、HBSで求められるのは「授業で発言すること」です(授業での発言点「Class Participation」が成績評価の半分を占めるため。前回記事参照)。そのためには、それらケースを読んで内容を理解する「リーディング力」や自分の意見をきちんと教授とクラスメイトに理解してもらえるような「スピーキング力」だけでなく、的確な「タイミング」で発言することも必要となります。

そのタイミングをつかむために一番重要かもしれないのが、「リスニング力」です。ネイティブの、しかもその中でも学業でもビジネスでもハイパフォーマーと言われてここまできた、(ひとくくりで言いたくはないですがあえて言ってしまえば)いわば「エリート」たちのスピーディなディスカッションに食らいついていき、ディスカッションの流れに沿って的確なタイミングで自分の発言を放り込まねばなりません。これにはかなり瞬発力を要します。

さらに、期末試験では前回述べた通り、時間内でケースを読んで分析し、1500 wordsや2000 wordsのエッセイを書く「ライティング力」が求められるわけです。「読む・話す・聞く・書く」が高度な次元で求められる、まさに非ネイティブ英語話者にとっては、英語の総合格闘技状態です。

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この英語力の苦労をさらに厳しくする事実として、「“本当の”International Student比率」があります。HBSの公式発表にはたとえばClass of 2020(2020年卒生)はInternational(つまりアメリカ国籍でない人)の割合は37%を占めるとありますが、実はこれ、必ずしも実情を示しているとはいえません。

実際はアメリカ国籍でなくともアメリカにずっと住んでアメリカで教育を受けた人、その他の英語圏(イギリス、カナダ、オーストラリアなど)からの学生、帰国子女、高校からアメリカ、大学からアメリカ、仕事でアメリカ・・・等々といった、いわゆる「ほぼネイティブレベル」な人たちが37%の中に驚くほどたくさん含まれており、私のように本当にMBAで初めてアメリカに移住した学生は、おそらく全体の10%未満ではないかと思われます。

そんな状況ですから、圧倒的な英語弱者である私は、「日本語だったらなぁ・・・もっとうまく言えるのに。もっと健康的な生活が送れるのに」と何度涙を呑んだかわからないわけです。

畑違いをイチから耕す―。非MBA的バックグラウンドによる“2発目のパンチ”

2つ目の壁は「Academic/Professionalのバックグラウンド」です。私は大学時代、いわゆる教養学部のようなところで、好きなことを自由に学んでいました。当時、経済や経営に全く興味がなかった私は、マクロ経済学もミクロ経済学も、会計学もファイナンスも、ビジネススクールに入るまで全くもって学んだ経験がありませんでした。

そして大学卒業後は日系広告代理店に入社し、営業としてクライアントと対面しながらプロジェクト全体をマネジメントしていくような仕事をしてきました。したがってHBSで学ぶことは、広告代理店の経験が活きたMarketingという科目のPromotionと呼ばれる1モジュールを除いて、ほぼすべての内容が新しく知ることでした。

周りはというと、これはHBSのウェブサイトにも出ていることですが、コンサル、金融、IT系の出身者だけで、なんと全学年の約6割。当然、軍隊やNPO、事業会社などから来た人もいますが、個人的に目を引いたのは「コンサル・金融・IT」の多さでした。900人以上同級生がいるわけですが、自分以外で直近の職種が広告代理店の人にはいまだに会ったことがありません。特に会計やファイナンスのような事前知識があるかないかで大きく差が出るハードスキル系科目については、準備にかかる時間や内容理解に大きな違いが出るのが分かっていただけるかと思います。

この2つの壁のうち、1つだけ、つまり「英語はほぼネイティブだが、バックグラウンドはマイノリティ」という人や「英語では苦労するものの、バックグラウンドが金融系」といった人は、まだ余裕も生まれやすいのですが、私の場合はどちらも持っていない“ダブルパンチ”を食らっている状況だったため、ついていくのは容易ではありませんでした。

大事なのは打席に立ち、バットを振り続けること。勇気をもって「サバイバル」しよう

では、どうやって生き残ってきたか。心掛けたのは、とにかくまず「自分で努力をすること」、そしてそれ以上に「自分の努力だけでダメな場合は人を頼ること」です。まず前者をトライして、「あ、これはダメそうだな」と思った場合、当たり前ですが、それをそのまま放置していたら本当にダメになってしまいます。「何か手はないかと考え、策を打つ」ことが求められます。

これはビジネスでも同じだと思います。私の場合は、幸い同じ日本人の同期に恵まれ、彼らと自主的にスタディグループを立ち上げ、勉強を教え合う場に参加することができました。そこで苦労を共にした同期は一生の仲間と言える存在です。

それでもダブルパンチの私は、朝8時から15時まで学校、その後は毎日夜中の1-2時まで勉強する、というような日々が続きました。1年生の後期には少し要領も分かり、土日にケースを読み貯めるなどの技も使いましたが、それでも読むの自体が遅い私の生活はあまり変わらなかったように思います。しかし、辛い時は同じセクションの留学生仲間や日本人同期と励まし合って乗り切りました。

もう一つ、生き残る上で大切なのは「とにかくバットを振るマインドセット」です。仮にケースの準備ができ、理解することができても、発言をしなければ評価につながりません。この「90人近くいるクラスメイトの前で英語で自分の考えを表現する」ということは、多くのアメリカ人学生にとっても、緊張を伴い勇気がいることだそうです。まして、日本でInput重視型の教育を受け、たとえばディベートやプレゼンなどOutputに対する教育を受けてこなかった私にとっては、なかなかハードルが高いものだと分かっていただけるかと思います。これを乗り越えるには「深いことを言おう、カッコつけよう」という気持ちを捨て去り、「簡単なことでも、たとえ間違えていても良いから、とにかく手を挙げ発言をする」というマインドセットに切り替えることが必要でした。

野球に例えると、ルールは勉強していても実際にプレーしたことがなければ、いきなりヒットやホームランを打てる訳がありません。まず試合に参加すること、そして打席に立ってとにかくバットを振ることが大事だと、痛感しました。

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これはなかなか勇気が要ることですし、人によっては恥ずかしいと感じるかもしれません。しかし、ビジネスにおいても、時にプライドを捨てることが求められます。「プライドを保ち、皆の前で恥をかかないように、カッコつけて発言しないこと」と「恥をかいたとしても、勇気を出してトライをし、発言すること」という2つの選択肢があった場合、どちらのOutcomeが大きいかは明白です。前者は0点ですが、後者は何かしらプラスのスコアが付くはずです。今思えば、ここでも実際のビジネスの世界に近いマインドセットが求められていたのだなと感じます。

このような汗と涙のHBS1年目は、一見「無理だ!」と思えることになんとか立ち向かい、生き残っていくような「サバイバル生活」でもあり、同時にそのサバイバルにだんだんと慣れ、少しずつ余裕を生み出していけるようになる自分の成長に驚く「Transformative Experience」でもありました。

【「ハーバードMBA留学記」シリーズ】 第1回「世界一ハードな経営幹部養成学校の内幕」

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