マッキンゼーと総合商社を経て創立3年のHRベンチャーへ。「思い」の強さが生んだ転職
2020/10/14
#ポスト戦略コンサルの研究
#コンサルを出てやりたいことを見つける
#ベンチャーに飛び込みました

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マッキンゼー・アンド・カンパニー、総合商社を経験した後、創立3年のHRベンチャーへ。そんな河井龍太郎さんの選択を“異色”だと感じる人もいるかもしれない。だがそのキャリアチェンジは、確固たるビジョンに基づいたものだった。典型的なエリートキャリアから外れベンチャーに飛び込んだ河井さんに、大胆な選択を促したビジョンや、新型コロナウイルス流行下での転職活動について聞いた。

〈Profile〉
河井 龍太郎(かわい・りゅうたろう)
株式会社HERP セールス兼カスタマーサクセス
東京大学経済学部卒業。2016年4月に新卒でマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。製造業などでのコンサルティングを経験し、2018年8月より総合商社の事業部で経営企画を担当。マッキンゼー復帰を経て、2020年8月にHERPへ参画。

マッキンゼーを出たのは、「強い思いでミッションに挑む人」と働くため

――新卒でマッキンゼーへ入社した理由を教えてください。

河井:インターンで出会った人たちに衝撃を受けたからです。

学生時代の私は商社を志望していて、「1社に腰を据えて長く働こう」と考える、どちらかというと保守的なキャリア観の持ち主でした。マッキンゼーの短期インターンに参加したのは興味本位の軽い気持ちから。ところが、そこで出会った先輩社員が本当に魅力的だったんです。

そのインターンでは、学生たちが与えられた課題に取り組みます。数日考え続けても答えが見えない難しい課題です。そこへ先輩社員が入ってきて、ものの数分で解決してしまう。プロフェッショナルの問題解決力を目の当たりにした瞬間でした。

――マッキンゼーに加えて一度総合商社での仕事も経験されていますね。

河井:商社では事業部の経営企画メンバーとして働き、食料輸出入などに関わりました。「国民生活を支える」といったある種の使命感を覚えつつ、大企業ならではのスケールの大きさを肌で感じられたことは、貴重な経験になりました。 description

――マッキンゼーに一度戻った後、2020年8月にこれまでの経歴から考えると“異色”ともいえるHERPに移るわけですが、きっかけは何だったのでしょう。

河井:どんな人と仕事をしているときに自分は楽しいと感じ、高いパフォーマンスを発揮できるのか。それをじっくり考える機会があったんです。その中で、コンサルティングで関わったクライアント側の人たちや、総合商社の現場でともに働いた仲間のように、「強い思いを抱いて大きなミッションに挑む人」とともに働きたいのだと気付きました。

――どこに行けばそれができるかを、意識するようになったわけですね。

河井:はい。そこで、新型コロナの問題が深刻化する少し前の時期に、異分野や異業種のさまざまな人たちと会い、話を聞かせてもらいました。そうして世界を広げながら、自分が中長期でどんな人生を歩みたいと思っているのかを整理し「人の選択肢を増やせる世の中にしたい」というビジョンを持つようになったんです。

――「人の選択肢を増やす」とは。

河井:私自身、これまでの人生では「目の前にある選択肢の中で一番しっくりくるもの」を選んできました。消極的に決めた場面もありましたが、しかし取れる選択肢が多かったであろう恵まれた立場にいたと思います。私は、もっと多くの人々に、検討しうる多様な選択肢を提供できる社会であるべきだと思っています。もちろん、どの選択肢を取るかは人それぞれですが、そんな社会を事業を通じて実現したいんです。その思いで自らの今後のストーリーを考えました。

「人の選択肢を増やす」ことにつながるのであれば、領域や企業規模にはこだわらない。そう考えているときに紹介されたのがHERPでした。

CEOの面接はオンライン。それでも、思いの強さは「ひしひしと伝わってきた」

――HERPに転職する際の決め手は何だったのでしょうか。ほかにも候補となる企業はありましたか。

河井:実はHERPのほかに、もう1社から内定をいただいていました。HERPに入社を決めた理由は、自分が感じていた課題意識にビジョンが合致していたからです。もう1社も、事業の成長性やプロダクトの革新性が魅力的だったのですが、最終的には自分のやりたいことを実現できそうなHERPを選択しました。

――事業の成長性よりも強い魅力がHERPにはあったと。

河井:そうですね。HERPは採用領域で新しい価値観を提供しようとしています。コンサルタントとして常に感じていたのは、企業が事業を成長させる上で「人の力」が極めて重要だということです。また個人のキャリアも、採用活動や結果どの企業に入社するかに大きな影響を受けます。なので、私の中で人の選択肢を増やせる世の中にすることと、採用の価値観を変えることはつながっているんです。

HERPが掲げる「スクラム採用」(*)のコンセプトにも共感しています。候補者が志望する企業の“中の人”たちを知って選考を受けることは大切だし、企業側でもたくさんの社員が候補者を知り、理解した上で採用できるようにすべきだと思っています。

――コロナの影響で直接会ってじっくり話すことがままならない中、どのようにHERPのことを理解していったのでしょうか。

河井:トライアル入社期間の課題やCEOの庄田(一郎氏)による面接など、選考プロセスはすべてオンラインで進められました。内定承諾のときに初めて対面したんです。

オンラインであっても、庄田が抱く採用領域への問題意識はひしひしと伝わってきました。それは、トライアル課題へのフィードバックでも同じでしたね。ビジョンへの思いの強さが随所に感じられたんです。 *HERPが提唱する現場主導型の採用方式

事業戦略や経営企画ではなく、セールスやカスタマーサクセスで「現場感覚を研ぎ澄ませたい」

――コンサルタントとしての視点では、HERPの強みや課題をどのように分析しましたか。

河井:HERPの強みは、スクラム採用という明確なコンセプトを掲げ、その思想を反映したプロダクトも提供していることです。採用管理ツールとして展開するだけでなく、コミュニケーションツールとしての要素も持たせ、その価値を追求していることも競合との明らかな違いでしょう。採用担当者のためというよりも、現場のための採用管理ツールというプロダクトは極めてユニークなポジショニングです。

採用は、世の中の変化にかかわらず企業の根幹部分であり、組織の力を維持・向上する上で不可欠なものです。この領域で思いの詰まったユニークなプロダクトや事業を開発していることが、HERPの競争力の源になっています。

一方で課題を挙げるとすれば、採用のやり方を抜本的に変えようとするコンセプトについて、クライアントの理解を得るには粘り強いコミュニケーションが必要とされること。すぐに日本中に波及して花開くものでもない。だからこそ、長期的な視点でビジネススキームを構築していく必要があります。

加えてHERPはまだ設立4年目で、構成員も若い。まだまだ発展途上の段階です。でも、だからこそ自分のようなキャリアの人間が入り、大企業や大型プロジェクトでの経験を生かして貢献できることが、たくさんあると考えています。

――具体的には、どのような形で価値を発揮していきたいと考えていますか。

河井:クライアントの採用活動をより良い形へ変えていくために、現状のプロダクトの価値を高め、必要な新規プロダクトを検討していく。そんな事業責任者としての活動をしていきたいと考えています。ゆくゆくは新規事業開発に携わり、コンサル時代に覚えた市場のとらえ方や、強み・弱みの整理、分析の仕方などを活用していきたいですね。

そのためには、「どんなものが求められているか」を把握することが不可欠です。クライアントが求めていることを理解できなければ、事業責任者としての判断軸を得られません。ニーズをつかむ上で必須なのが、実戦経験です。だからこそセールスやカスタマーサクセスという、最前線でクライアントの声に触れられるポジションを選びました。

――河井さんのようにコンサルタントの経験があると、「事業会社に転職するなら事業戦略や経営企画の面から関わりたい」と考える人が多いのではないでしょうか。

河井:確かにそうかもしれません。もちろん私も、ゆくゆくは事業戦略や経営企画の領域でHERPに貢献したいと考えています。でも今は、現場で感覚を研ぎ澄まさなければいけないという思いが強いです。

マッキンゼーでは私はトップマネジメントへ提案する立場にいました。トップの目線で考え、ときに大胆な提案をする仕事は刺激的です。

一方で現場の目線を持っていると、戦略などを考える際も、現場にいる一人一人の顔が思い浮かぶことになります。

どちらも良し悪しがありますが、私が今やりたいのは後者のような気がするんです。 description

数字まみれだと思っていたコンサルの世界で得た最大の学びは、「感情」の力

――現場感や一人一人の思いを大事にしているということですね。そうした考え方をするようになる契機があったのでしょうか。

河井:ありました。マッキンゼー時代、ある企業のコスト削減プロジェクトを担当した時のことです。クライアントの窓口は調達担当の方。ここではAさんとしますね。コストを抑えて利益を伸ばす。シンプルなミッションにAさんは強い思いを持ち、全力で取り組んでいました。

ところがその企業は伝統的に品質へのこだわりが強く、社内では「調達費用を下げること=品質を犠牲にすること」といった意見が大勢で、調達部門は決して恵まれた立ち位置にいるとはいえない状況でした。

――強い思いを持っていても、すぐに認められるとは限らないわけですね。

河井:そうですね。プロジェクト期間として与えられたのは2カ月です。最初の1〜2週間で各種の分析を進め、逐一報告をしながら、Aさんとの関係性を築いていきました。なぜ調達費用の削減にここまで意欲を燃やしているのか、調達の仕事の意義をどう考えているのか。そんな会話を繰り返しながら、私自身もAさんの課題認識に強く共鳴するようになっていきました。

それからは「調達費用を下げても品質は犠牲にならない」ことを、根拠とともに社内へ伝え、具体的なアクションプランに落とし込み、長期的な実行フェーズへとつなげていきました。私は外部コンサルタントの立場でしたが、それまでくすぶっていたAさんの思いを引き出しながら、感化もされて、いつしかクライアントとコンサルタントではなく「1つのチーム」として動いている感覚を持つようになったんです。

結果的にプロジェクトはしっかりと成果を出し、調達部門の存在感が社内で高まりました。「現場で思いを持って行動した人が最終的に認められる」という成功体験は、私にとって大きな財産となりました。プロジェクト解散時にAさんからかけていただいた言葉も印象的でしたね。

――どんな言葉をかけられたんですか。

河井:「この2カ月、河井さんには本当に助けてもらった。今後の人生で何か困ったときには何でも相談してほしい」と。

そうして人に心から感謝してもらった経験が、私自身のビジョンにつながり、HERPという新たなキャリアの選択につながりました。

物事の成否を最後に左右するのは「思い」、つまり感情です。人間は意思決定の多くを感情に従ってするもの。数字まみれだと思っていたコンサルタントの世界で私が得た最大の学びです。その学びを研ぎ澄ませていけるHERPの現場を楽しみたいと思っています。 description

コラム作成者
Liiga編集部
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