内定に近づく職務経歴書の書き方〜コンサル⇨COO転職を例に〜
2021/11/19
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description 現在コンサルタントとして活躍中の方の中には、ベンチャー企業のCOOになることを考えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。挑戦的な環境に身を置けるのみならず、経営陣の1人としての経験を積むことができ、将来的にはプロ経営者になる道も見えてきます。

実際に、拡大期のベンチャー企業においても、グローバル化やデジタル化をはじめとした事業変革の波が及び、経営判断が求められる機会が少なくありません。そのため、さまざまな経験を積んでいるコンサルタントをはじめとした外部プロフェッショナル人材の採用に力を入れているケースは多いです。

本記事をお読みいただくことで、コンサルからCOOに転職することのメリット、また転職の際に重要になる職務経歴書でどのような経験をアピールするべきなのかについて、お分かりいただけると思います。


T型スキルセットとロジカルシンキング。COO必須の能力はコンサルの十八番

コンサルからCOOに転職する方が多い理由としては、コンサルの経験やそこで培われた能力が、COO業務に生かせる場面が多いためです。 ここでは、COOの業務と、そこで生かせるコンサルタントの能力について説明していきます。

COO業務とは

COOとはChief Operation Officerの略であり、最高執行責任者を意味します。役割としては新規事業の立ち上げや事業拡大などを担当し、日々の業務で実際に利益を出していくことが求められます。
その業務は多岐に渡り、事業に関わるビジネスのさまざまな領域で意思決定を行う必要があります。その幅広さがわかる一例として、組織設計を挙げてみましょう。
ベンチャー企業における組織設計とは、組織規模が大きくなる会社内で展開されている事業を理解し、その適切な形を常に設定することになります。
例えば、企業規模が拡大していく中で相互作用やコミュニケーションが煩雑化している問題が存在するとします。そのような場面において、COOは事業間のシナジーを生むコミュニケーションを適切に行うため、部署・役職を検討します。言い換えれば、日々の業務を通して利益を上げるため、組織を全体最適になるよう設計していくことが業務です。

これはほんの一例です。COOは日々の業務の中で、経営判断を次々と下していくことになります。

COO業務に生きるコンサルの能力

それでは上記のような業務を進めるにあたり、コンサルでの経験や、培われてきた能力はどのように生かせるのでしょうか。
創業期や拡大期など、そのベンチャー企業のフェーズに大きく左右されますが、拡大期においては以下の能力が挙げられます。

ロジカルシンキング
「ロジカルシンキング」は説明するまでもなく、コンサルタントが身につけてきた最大の能力と言えるでしょう。
しかし、そのロジカルシンキングに基づいて生み出されたアイデアが実現できるか、それを考える力は、コンサルタントよりCOOに重要視されるものです。また、コンサルタント時代と違い、社内のリソースが限られていること、自社のビジネスとして展開するという点が大きな相違点です。

あるべき企業体制を描くために、同時に、事業や企業の抱える問題点を明らかにするためにも重要な能力です。

幅広い領域をカバーする知見
上記のように、COOはビジネスに関わるさまざまな意思決定をすることになります。その手段はサプライチェーン設計や営業、マーケティングや組織設計など多岐にわたります。それら幅広い領域を理解していることは、COOとして必須の能力であると言えるでしょう。
一方で、専門領域を持っていることも重要になります。事業企画やITなど、その専門領域は転職先企業の事業内容やフェーズによっても異なりますが、何かしらの強みがある方が、企業を牽引する力に繋がります。
コンサルタントは業務の特徴としてさまざまな業界や領域のプロジェクトに参画することが多く、幅広い経験や知識を得ることができます。また、年次を重ねる中でプロジェクトリーダーとして関わった案件などから、自身の専門分野を定めていくこともできます。
そのため、コンサルタントは幅広い知識とともに専門領域を持つT型のスキルセットを身につけていることが多く、COOとして活躍できる可能性が高いと言えます。

求められているのは成功体験の再現。成果、再現性は職務経歴書の絶対条件

COO転職において、コンサルタントの経験や経歴は大きな強みとなります。 では、その経歴や経験をアピールする書類である職務経歴書は、どのように書けば良いのでしょうか。盛り込むべき内容やそのアピールの仕方について説明していきます。

職務経歴書の重要性

そもそもなぜ、職務経歴書が重要なのでしょうか。内容について解説する前に、その重要性を確認することから始めましょう。
前提として、職務経歴書は書類選考にのみ用いられるわけではありません。採用担当者は書類選考の際にそれら書面を確認するのみならず、面接の際にも使用されます。つまり、何度も目を通される文章であるため、選考を通して非常に重要になります。

コンサル⇨COO転職で気をつけると良いこと

それでは実際に、何に気をつけて職務経歴書を書けば良いのでしょうか。ただご自身の経験した内容を記述するのみでは差別化につながりません。
COOとして活躍できることをアピールするため、何よりも重要視することは事業成果を明確にすることです。
クライアントの状況を詳細に記すのは当然ですが、当時の職位や成果などを数値を用いて明確に説明するようにしてください。
また、再現性も重視してください。一度挙げた実績が他の業務でも横展開できることを示すことで、事業に責任を負うCOOとしての評価を得ることにつながります。
また、これだけではご自身のCANを示すのみにとどまります。エージェントの方の中には、WILLを示すことを推奨している方もいらっしゃいます。これまで行ってきた業務から、これからはどのような業務に関わりたいのかまでを分かりやすく示すことで、意欲のアピールや、ミスマッチ回避につながります。

職務経歴書の具体例

それでは職務経歴書の実例を以下に示しますので、上記のポイントを確認してみてください。
【1. 職務経歴概要】 20xx年3月〇〇大学院▲▲研究科を卒業後、同年4月にABCDコンサルティング入社。入社後は、多様な業界のクライアントに対し、多様なケースのプロジェクトを経験
[経験した業界]
金融(ファンド含む)・製薬・消費材・商社・通信・機械など
プロジェクト分類:ビジネスDD・マーケティング高度化(KPI管理)・コスト削減・新規事業立案など

【2. 職務経歴詳細】
職位:マネージャー
期間:20aa年7月~現在
課題の論点設計・アプローチ手法の検討・ワークプラン作成の上、チームを率いて原則クライアント先に常駐しながらプロジェクト運営を実施
プロジェクト終盤には経営層に継続提案も行い、多くのケースで継続案件獲得

職位:コンサルタント(2年)
期間:20bb年7月~20cc年6月 
上位者の指示の下、情報収集・資料作成・プレゼン等を実施

職位:アナリスト
期間:20dd年4月~20ee年6月 
(同上)

主なプロジェクト(抜粋)時系列
①PEファンド向けビジネスDD
期間:(20bb年1月~20cc年2月)
【内容・成果】
対象企業は家電業界の中規模の会社。競合企業の1社が近年急激に収益改善している環境下で、当事業におけるKSFを導出するとともに、足元のコスト改善幅の推計ならびに今後のポテンシャルを試算し、シナリオ別(ベース・悲観・楽観)のプロジェクションモデルを策定
【自身の役割】
10名を束ねるマネージャーロールを担当。論点整理・初期仮説・アプローチ手法・ワークプランを検討の上、メンバーに共有。その後、プロジェクションモデルの設計方針や簡易消費者調査の設計方針等も管轄しつつ、定例会でのクライアントへのプレゼン・質疑応答などもメインで対応 (ディール完了後には、その後のPMIプロジェクトの提案依頼も受領)
※このように、成果を述べる際にはそのプロジェクトの内容を守秘義務に触れない範囲で明確に記述してください。当時の役職やクライアント、チームメンバーの構成はもちろん、用いたリサーチ・分析手法などの手段についても記述することで経験と能力を余すことなく伝えられます。

家庭用電気製品企業向けマーケティング高度化(KPI設定含む)
期間:(2017年6月~現在)
【内容・成果】
クライアントは某業界でトップシェアを争う企業。多様なブランドを保有。プロジェクトでは、各ブランドの来期の事業プラン策定に伴走した上で、予算(KGI)達成に向けたKPIをブランドごとに設定。期中の形骸化を避けるため、企画系部署とともに、月次レビュー資料におけるフォーマットを変更の上、振り返られる(PDCAが回る)仕組みを導入
【自身の役割】
マネージャーとしてプロジェクト全体統括を行った。
このプロジェクトでは全体統括にとどまったが、将来的には自身で主要ブランドを担当したいと考えている。
◎ここでかつての経験(CAN)から将来携わってみたい内容(WILL)をアピールしています。上述のように、意欲が伝えられるほか、ミスマッチ回避にもつながります。

中堅化学製品メーカーにおけるコスト削減(全社)
期間:(2016年5月~2016年7月)
【内容と成果】
クライアントは豊富な商品をもつ中堅化学製品メーカー。足元の業績は好調だが、研究開発中のパイプラインが先細りであるため、今後の収益減に備えて全社的にコスト改革を実施し、筋肉質な経営を目指す。プロジェクトでは、R&D・生産・営業・本社(間接材・間接業務)の分類で、現場インタビュー・ベンチマーク比較分析などを通じてコスト削減ポテンシャルを算出し、次期中計期間内の削減ポテンシャルとして、35~64億円を特定

【自身の役割】
マネージャーロールとしてプロジェクト全体統括を実施。上記の各分類ごとにいるジュニアコンサルタントに対し、検討方針を伝えるとともに各種フィードバックを実施しながら報告資料をまとめあげ、プレゼンを実施
※この職務経歴書では複数プロジェクトについて詳細に明記し、マネージャーロールとしてチームマネジメント能力を発揮してきたことを述べています。これはCOOとして重要な能力なうえ、その力を生かした上記の業務の再現性の高さを伝えることにもつながります。


コンサル出身者より商社マン?活躍するためにはベンチャー企業のフェーズを見極めよ

ここまでは、コンサル経験者がCOOに転職することのメリット、そして経歴のアピール方法について説明してきました。 今やコンサルタントのキャリアプランのひとつとなっているCOOへの転職ですが、そのタイミングはどのように計るべきなのでしょうか。

上述されたスキルセットを得るには、PLを経験することが大事と考えられます。事業を上流から下流まで自身で把握する経験、チームをマネジメントする経験はCOO転職において非常に武器になります。

ただ、COOへの転職においては自身のタイミングのみならず、該当企業のフェーズを知っていることが大切です。それによって企業が求める人材像・スキルセットが大きく異なるためです。創業期などで顧客獲得が最重要視されるタイミングでは、コンサル出身COOよりも、営業能力に長けた総合商社出身COOが求められていることも多々あります。 詳しくはこちらをご覧ください。 「創業期CxOに向くのは金融・コンサル人材より商社マン」佐俣アンリ氏に聞く~理想のベンチャー経営チーム~ 
また、ベンチャー企業におけるそういった情報は、多くの情報が公開されている大企業の情報に比べて見えづらいのが事実です。そのため、ご自身の希望にそった企業が存在するのか、情報をエージェントなどから得ることが得策と言えるでしょう。

情報不足によるミスマッチを防ぐ。エージェントなしでのCOO転職は困難

以上のように、コンサルからベンチャー企業へと転職する際には情報収集が欠かせません。多くの情報公開が義務付けられている大企業とは異なり、ベンチャー企業の内部情報を得ることは難しいでしょう。 そのため、転職においてはエージェントの活用が欠かせません。 本記事では、コンサルからCOOに転職する際に重要な情報を豊富に持つエージェントを紹介させていただきます。

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おわりに

今回は、コンサルからCOOへの転職において職務経歴書を執筆する際に注意する点についてまとめました。 職務経歴書においてどのようにアピールするべきか、理解が深まったでしょうか。 上述した通り、職務経歴書は選考を通して目を通されることになるとても重要な文章です。Liigaでは他職種・職位における職務経歴書に関する記事を掲載予定です。そちらも参考にしていただいて納得のいく文章を書き上げ、ぜひ内定を掴み取ってください。

コラム作成者
Liiga編集部
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