「論理性だけでは人は動かない〜野村総合研究所が求めるコンサルタントとは〜」金融出身者が語るコンサルティング業界 #02
2018/03/06
#戦略コンサルへの転職体験記
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#総合コンサルタントへの転職体験記
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はじめに

今回は戦略コンサルタントの採用を積極的に行なっている、株式会社野村総合研究所・南島安平氏へのインタビュー、第2回です。

第1回では、南島氏が「変化」を感じられる仕事を求めてコンサルティング業界へ転職された経緯や、野村総合研究所への入社の決め手についてお伝えしました。

その続きとなる第2回では、コンサルタントとして働く中で南島氏が感じる仕事のやりがいや難しさについて語って頂きました。

ぜひご覧ください。

第1回はこちら

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顧客への価値提供を最重要視する野村総合研究所のフラットな文化

―コンサルタントとして働き始められてからの率直な感想を伺えますか。

プロジェクトを前に進めるために役職や年次に関係なく闊達な議論を交わすNRIの文化には驚かされました。

企業によっては「何を発言するか」ではなく「誰が発言するか」ということの方が重視されることも多いのではないでしょうか。上席の考えに違和感があっても、自分はまだ若手だからと口を閉ざしてしまった経験は私自身にもあります。

しかし、コンサルタントは新人もベテランも一様に、1人のコンサルタントとして顧客に対してどのような価値を提供できるかが重視されます。この理念を建前ではなく実現させている環境は率直にすごいなと思いました。

―NRIのフラットな文化を感じた具体的なシーンを教えていただけますか。

卑近な例かもしれませんが、会社によっては特に上席の役職者のことを「○○部長」といった具合に役職名を伴って呼ぶことも多いと思います。しかし、NRIではたとえ役員に対してであっても「さん」付けで呼ぶことが通例です。

また、前職では上位の役職者が話しかけてきた際は、立ち上がって対応することが普通でしたが、NRIでそのようなことをすればかえって驚かれてしまう場合もあります。

こうした些細なやり取りの積み重ねが、互いを尊重し合い、一丸となって顧客に価値を提供しようとする組織の文化につながっているのだと思います。

早く成長するためには早く失敗するしかない

―なるほど。たしかにフラットで議論がしやすそうな環境ですね。でも初めから価値ある提言ができるものなのでしょうか

初めは全然だめでした(笑)。今も常に出来ているとは到底言えないのですが、これは数をこなすしかないと考えています。

大規模なプロジェクトの場合、プロジェクト内のタスクが切り出されて、1つのタスクをミニプロジェクトのような形で運営することがあります。新人であってもこのタスクを主導するタスクリーダーに任命されます。

タスクリーダーとして顧客の直接の窓口を担いながら、メンバーを引っ張って仕事をする経験は数え切れない失敗をする反面、同じ数だけの成長機会を得ることにつながります。

自分の全力を尽くして考えた内容を真剣勝負の場で顧客に披露する経験は、特に若手のうちは得がたいものだと思います。こうした経験を積み重ねることでしか、価値ある提言ができるようにはならないのではないかと考えます。

論理性は大切だが、論理性だけで人は動かない

―顧客に対して価値のある提言を行うことは一朝一夕ではないことがわかりました。他にコンサルタントならでは難しさを感じる点を教えてください。

コンサルタントはあくまで顧客を支援することまでしかできず、変化を起こすため、最終的には顧客自身に動いてもらわなければなりません。そのためには論理的な提言が不可欠ですが、論理性だけでは人を納得させることはできても、動かすまではできないのだと学びました。

どんなに優れたアイディアも実現しなければただの画餅です。アイディアの実現にあたっては必ずといってよいほど地味で泥臭い部分が生じます。そうした部分の存在をきちんと理解し行動することで初めて、人を巻き込み、組織や事業を動かすことが出来るのだと思います。

―人を動かして変化を生じさせるためには、論理性以外の要素も必要になるということでしょうか。

その通りです。論理性の一本やりでは通用しません。顧客として向き合う存在が人間である以上、その人の立場や関係者間のバランスを考慮した上で、立てたロジックをどう通していくかまで考えて行動しなければなりません。

プロジェクトを通じた社会貢献

―なるほど。転職されてからそろそろ4年が経つと伺いました。今後目指されるキャリア像を伺えますか。

「顧客から最初に声をかけられる」コンサルタントになることです。現在は他のメンバーが獲得した仕事に加わることが多く、対外的にNRIの南島と認知され、直接声をかけて頂ける存在にはなれていません。

―南島さんに先ず相談をしてきてくれる顧客を作りたいということですね。

はい。また、仕事を通じて世の中に貢献していきたいと考えています。自分の力を尽くして起こした変化が、いずれ世の中の誰かの役に立つ形に波及することが理想です。

―これまで経験されたプロジェクトの中で、そうした経験をされる機会はありましたか。

ある法改正に関連して、官公庁から法令の下部に位置するガイドライン改正の検討を行うプロジェクトを受注しました。プロジェクトの検討結果が実際のガイドラインやそれにぶら下がる事業者団体の指針に反映されたときは、自分の仕事が世の中に変化を与えたと非常に感慨深く感じました。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

今回は失敗を重ねながらもコンサルタントとして成長していく南島氏の様子や成長を支える野村総合研究所の文化について語って頂きました。

特に「成長するために早く失敗するしかない」や「ロジックだけは人は動かない」といった南島氏の学びに共感される方も多いのではないでしょうか。

さて、最終回となる次回は異業種への転職にフォーカスをあてて、南島氏が感じた苦労や考え方の変化について語って頂いています。

ぜひご覧下さい。

第3回はこちら

コラム作成者
Liiga編集部
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