「経営企画が新規事業に取り組んだほうがうまくいく」。部門マネージャーが語る、新規事業を6カ月で黒字にできた理由
2020/07/02
#ITベンチャー仕事の実態
#コンサルを出てやりたいことを見つける

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「商品を売る最強の集団」を掲げ、増収増益を15期続けるイングリウッドが人材業界に参入した。その新規事業は、わずか6カ月間という短期間で黒字化を実現した。短期黒字化の理由はどこにあるのか。この事業の責任者で、経営企画室マネージャーでもある岸本裕史氏に話を聞いた。

〈Profile〉
岸本裕史(きしもと・ゆうじ)株式会社イングリウッド 経営企画室 マネージャー
早稲田大学大学院修了後、ディー・エヌ・エーに入社。モバゲー全盛期のソーシャルゲーム開発部にてディレクター、プロデューサーとして、国内外向けゲーム開発に携わる。2015年経営企画部に異動し、経営会議の管理やM&Aなどを幅広く経験。その後、医療系ベンチャーに移り、新規事業の立ち上げなどを手掛ける。執行役員を経て、2019年にイングリウッドに参画。

新規事業はすべて、「単年黒字化」が必須条件

――岸本さんは、立ち上げから6カ月で黒字になった事業の責任者と伺いました。その事業内容を教えてください。

岸本:まずイングリウッドについてご説明しておきます。イングリウッドは、2005年の創業以来、EC販売、ECコンサル、デジタルマーケティング、AIシステム開発などの事業を積み上げながら15期連続の増収増益という結果を生み続けてきた「商品を売る最強の集団」です。

私が責任者をしている新規事業は「ビズデジ」という事業で、イングリウッドに入社後、すぐに取り組みました。ビズデジは、総合的なITビジネススキルを短期間で学べる学習カリキュラムです。さらに独自開発のAIを用いたマッチングシステムによる人材紹介サービスも併設するという特徴を持っています。

事業構想からすべて、私が担当していますが、入社前の社長との面談中にこのアイデアで盛り上がり、私がコンセプトをまとめて入社と同時に事業立ち上げに入りました。

――そもそもなぜ、新規事業として学習機能と人材紹介を組み合わせた事業を始めたのでしょうか。そのビジョンもあわせて教えてください。

岸本:ビズデジのビジョンは至ってシンプルで、「人手不足が確実視されているIT業界全体の生産性を上げたい」というものです。教育によって一人ひとりの生産性があがり、人材紹介によって適材適所に配置され、自己実現が可能となれば、IT業界全体の生産性向上が実現するでしょう。

研修によって個人を強くしたいわけではなく、ビジネスは“一人ではできない”ということを実感してもらいたいと考えていて、ビズデジにもその考えは反映されています。自己分析に加え、ビジネス全体を客観視、俯瞰する力を備えた人材が増えていけば自ずと業界全体が良くなっていくはずだと考えています。

ビズデジは、“IT人材を創出する研修事業“という側面から見ると、プログラミングスクール等、世の中に類似したものが多くある、いわゆる「流行りのサービス」に見えるかもしれません。

ですが、研修の専門家ではなく、デジタルマーケティングやECといったITビジネスの現場で実績をあげているイングリウッド社内のリソースを使い、プログラミングといった特化した知識やセオリーを教えるだけでなく、ビジネスで必要な幅広い領域に対してその実践まで体系的にフォローするスキームを持つサービスは他にないと思います。

人材紹介事業は、研修事業とは切り離して運営しています。ですが、ビズデジの研修を受けたキャリアアドバイザー(CA)が、ビズデジ受講者でなくとも、紹介対象企業のビジネスの仕組みや財務分析、仕事の内容理解を中心に、転職者をサポートします。いわゆる自己分析支援より専門知識が必要なアドバイスですので、長期的にはCAの教育コスト負担が重くなる構造となっています。

社内で立ち上げる新規事業はすべて、単年黒字化が必須条件と決めていますので、コストの掛かるやり方を選択したのは一見すると筋が悪そうです。ですが、最初から手厚くコストをかけて運用したほうが、初期から継続できる健全な事業であるかを冷静に、素早く見極められると考えました。

私は、この事業を立ち上げるためにイングリウッドへの入社を決めたといっても過言ではありません。おかげさまで、このビズデジは立ち上げからわずか6カ月間で黒字化できました。

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新規事業への協力要請に、現場から「もっとこうしたら?」と返ってくる土壌

――短期間で黒字化できた要因をどのように捉えていますか。

岸本:まず、ビジネススキルを学ぶスクールは、これまでイングリウッド内で実施してきた社内研修がベースとなっています。社外向けにアップグレードする際、私なりに、新たな知見を導入していますが、講師陣などは社内研修と同じです。だから立ち上がりが早いのです。

スクール市場を調査すると、収益性とマーケティングが問題になっていることがわかります。この2つの課題を解決するために、イングリウッドの培ってきたマーケティングノウハウをフル活用しつつ、収益性という観点で優れたビジネススキームである人材紹介事業を同時に立ち上げました。

もちろん、イングリウッドという会社の組織の強さとして、全社として挑戦に協力的なことも短期黒字化の要因です。普通だったら、経営企画から「新規事業に協力してほしい」と言われたら「目の前の仕事に追加されて面倒だな」と感じるケースも多いかと思います。

ですが、そんな声など一切なく、逆に現場からは「その新規事業はどのくらいの数字目標で、それをどのように達成するのか? もっとこうしたら良いのではないか?」と質問・意見が寄せられるほど意欲的です。

それはビズデジのベースとなった社内研修を通じて、社員全員が会計・ファイナンスの一定の知識と事業に対する興味を醸成しているからこそ生まれた反応だと思っています。ベースとなる知識がそろった状態で議論をすれば理解を得ることができますし、非常にスピード感もあります。良い指摘を多様な視点でもらい、どんどんサービス内容をブラッシュアップすることができます。

私自身の力というよりは、良い土壌があるイングリウッドだからこそ、良いコンセプトさえ挙げて投げかければ、質も高くてきちんと利益を出せる事業を生み出すことができるのです。

コスト部門の経営企画が黒字化する事業を生み出すインパクト

――イングリウッドに入る前は、ディー・エヌ・エー、医療系ベンチャーを経験しています。イングリウッドにつながる経験について教えてください。

岸本:新卒でディー・エヌ・エーに入社しました。ソーシャルゲームの自社開発はもちろん、他社との共同開発、アプリやWEB、国内・海外両方の開発拠点を利用した開発など、ITを使ったビジネスをやるなら経験したほうが良いだろうと考えられる要素は全て経験しました。

ディー・エヌ・エーがソーシャルゲーム以外の収益の柱を模索していた時期に、経営企画の部署に異動しました。経営企画という立場だったからこそ、新規事業立ち上げや様々な領域への投資といった新たな取り組みを俯瞰して見ることができたと思います。

ディー・エヌ・エーのような規模の会社になると、当然のことながらガバナンスを担う経営企画と、現場で事業を推進する事業部門には、それぞれの役割があります。ITスタートアップのように、たくさんの新しい事業が生み出される環境では、その両面をきちんと把握し、統合的判断をすることがより大事になっていくと感じるようになりました。

その方法として、私は、世の中的にはあまり見ない方法ではありますが、経営企画部門が事業に取り組んだほうが、実は上手くいくのではないかという仮説を持っていました。

もちろん各社の組織設計によるとは思いますが、経営企画のミッションは企業価値の最大化、と定義できると思います。その手段は単純化すれば2つしかなく、フリーキャッシュフローの最大化と割引率の低減です。経営企画の立場からすれば、割引率の低減は資金調達手段の見直しや将来の事業見通しの透明化で実現することになり、これが一般的に「経営企画の仕事」とされることが多いと思います。

もう1つの方法である、フリーキャッシュフローの最大化は、既存事業を伸ばす、M&Aを実施する、新規事業を立ち上げるという3つの手段で実現しますが、経営企画は既存事業の支援(予実管理等)とM&Aに携わることはあっても、新規事業を担うことは少ないように思います。そこに違和感を覚えていました。

事業部門からすると、評価もPL(損益計算書)観点が強い中で、既存利益を一時的に悪化させて新規に取り組むのは不自然な面もあり、逆にコスト部門である経営企画のほうが、そこで黒字を出すインパクトもあります。「現実的には難しいが実現すれば面白い」というアイデアを持っていました。

――その「違和感」を解消するために、医療系ベンチャーに移ったのですね。

岸本:スタートアップ段階にあって20人程度の規模の会社であれば、それが可能かと思い医療系ベンチャーに転職しました。その企業では、プロトタイプのある新規事業に取り組みました。非上場企業でリソースの少ない中、自分の実力もまだ本当の意味での「ゼロからイチ」を生み出すには不足していると自覚していたので、この事業の立ち上げは、とても良い経験となりました。

部分的にはガバナンス体制や、事業全体の管理にも視点をもって事業を立ち上げ、一定の成果も出せたと思っていますが、自分の思い描いていた「経営企画観点での新規事業づくり」を実現することはできませんでした。

その後自分が描く理想のハイブリッド、すなわち真の意味で経営企画という立場で新規事業に携わりたいと思い入社したのがイングリウッドでした。知人を介して社長と知り合い、イングリウッドではすでに経営企画が新規事業への取り組みを担う構想があるという話を聞き、興味を持ちました。

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イングリウッドの経営企画に求められる、現場を動かす力と事業構想力

――実際に、入社してみていかがでしたか?

岸本:イングリウッドの新規事業は経営企画が主導する以上、リソースを言い訳にできません。もちろん既存事業のリソースを一部借りる必要があるタイミングでは、経営企画として現場を動かす力も試されます。既存事業の利益を損なわず、きちんと新規のキャッシュフローを生む事業構想を作らなければなりません。

その点では、イングリウッドの経営企画はとても魅力的な環境と感じました。全社で事業部支援をきちんと行い、事業価値の向上にも力を入れています。市場の情報を詳しく掌握しているので、新規事業の種を発見しやすく、事業部のリレーションも作りやすい。こういった体制であれば新規事業は生まれやすいのではないかと思いましたし、それをフル活用したのが「ビズデジ」の立ち上げです。

――イングリウッドにジョインすることの価値や意義を教えてください。

岸本:先が見通せない時代といわれていますが、本当に見通せないのかどうかは、自らが限界まで突き進んでみなければ実感はできません。そういった社会の残酷さに立ち向かいたいのであれば、イングリウッドに入社するのが最適ですね。

たくさんの問題が世界中で起きているときに、イングリウッドで新規事業立ち上げを経験することで、スキルとしての冷静さや俯瞰で物事を見る技能を身につけることができます。ビジネスに入り込んで熱狂できる。イングリウッドではそんな環境がそろっていると思います。

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コラム作成者
Liiga編集部
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