コロナ対策を徹底しながら社員の出社を許可する日系企業も多い中、外資系企業にはリモートワークを徹底しているところも少なくありません。新卒1年目の猿田信彦さん(仮名)が勤める外資系コンサルティングファームもその一つです。
Liigaでは、現在内定者向けの連載記事「社会人1年目インタビュー」をスタートしました。今回は猿田さんにインタビューを行い、コロナ禍の外資コンサル1年目の働き方、仕事の楽しさやキャリアビジョン、そして働き始めたからこそわかる「内定期間にやっておけばよかったこと」についてお伺いしました。
・「世の中のイメージよりはホワイト」外資系コンサル1年目の働き方
・「学びながらお給料がもらえる」「コンサル不況に備えてデータサイエンスの勉強中」入社1年目で感じる外資系コンサルの楽しさと、思い描く将来の展望
・「卒論後の休みボケのまま入社したのは失敗だった」今だからわかる内定期間にやっておけばよかったこと
「世の中のイメージよりはホワイト」外資系コンサル1年目の働き方
――現在はどのようなお仕事をされていますか?
猿田:基本的にはプロジェクトごとに担当する業界のリサーチやインタビューの設計など、一般的なアソシエイトの仕事をしています。
――平均的な1日のスケジュールを教えてください。
猿田:今はテレワークがメインなので、8時から動いている人もいれば10時に起きるという人もいて、始業時間はバラバラです。余裕がある時は12時から昼休みに入りますが、余裕がない時はさっと昼食を済ませて13時からのミーティングに向けての準備をします。
夜は暇なら18〜19時に仕事が終わりますが、忙しい時は25時くらいまでフル稼働している時もある、という感じですね。でも、世の中のイメージよりはホワイトです。
――テレワークがメインとのことですが、出社しないことによるデメリットは感じますか?
猿田:やはりコミュニケーションのとりにくさは感じます。実は私、上司と一度も会ったことがないんです。そういう相手とチャットや電話をするとなると、いくら密にやりとりをしてもどこか手探りのコミュニケーションになります。
普段から顔を合わせて、食事に行ったりするような相手なら、もっと楽にコミュニケーションが取れるだろうなと思う場面はたくさんありますよ。
――同期の人とも顔を合わせる機会はないのでしょうか?
猿田:入社してからほとんど会っていません。内定期間の時は会社からの召集で2ヶ月に1回トレーニングがあったり、個人的に飲みに行ったりしていましたが、入社後はめっきりなくなりました。
「学びながらお給料がもらえる」「コンサル不況に備えてデータサイエンスの勉強中」入社1年目で感じる外資系コンサルの楽しさと、思い描く将来の展望
――お仕事は楽しいですか?
猿田:すごく楽しいですよ。この仕事をしていると、普通なら知り得なかったことや、世の中のトレンドに直に触れることができます。
中には「こんなの知っていてもなんの役にも立たない」みたいなオタッキーな情報もありますが、そういう情報にこそ面白さがあったりもするんです。
――入社してから、成長を感じるところはありますか?
猿田:ハードスキルの面では、パワポの作成スキルやリサーチ力、インタビュースキルやプレゼン力は確実に成長したと思います。なんせ入社当時はゼロに等しいスキルでしたから。
――ソフトスキルでの成長は感じますか?
猿田:難しいことでも妥協せずに取り組む力はつきました。というのも、何度か「適当にやると後で痛い目に遭う」ということを身を持って学んだんです。そのなかで仕事に対して真剣に取り組む姿勢が身についていったのだと思います。
――同期で活躍している人には、どんな特徴がありますか?
猿田:細かいスキルではなく、人間性やプロフェッショナリティ、度胸がある人が活躍しています。
――例えばどんな場面でそういったことを感じますか?
猿田:シニアの方と仕事をするときも、変な忖度をせずに自分の意見を、きっちり筋道を立てて話しているのを見た時などですね。
私は性格上つい忖度をしてしまうのですが、もっと頑張って自分の意見を言えるようにならないといけないと感じています。
――忖度する人は、外資系コンサルでは求められないのでしょうか?
猿田:少なくとも新卒1年目には求められていないと思います。会社が新卒1年目に圧倒的な成果や専門性を求めているはずがないからです。それよりも必要なのは、積極的な姿勢やタフなメンタルだと思いますね。
――仕事内容にせよ、労働時間にせよ、他の業界に比べてハードな業界ですが、今の仕事に給料は見合っていると思いますか?
猿田:逆にもらいすぎているのではと思っています。自分はまだ学ばせてもらってばかりの立場。自分が何か貢献して、しっかりと価値を出せているとは感じていません。だから給与明細を見るたびに「こんな金額をもらえるほど貢献できていないのにな……」と違和感を覚えています。
早く仕事に自信を持って、「自分はもっと高い給料をもらうべき人材だ」と思えるようになりたいですね。
――将来のキャリアプランについて教えてください。
猿田:実はあまり将来については考えていません。他にやりたいことがなければ一生コンサルでいいとさえ思っています。ただ、コンサル不況に備えてデータサイエンスの勉強はしています。
――どうしてデータサイエンスなのですか?
猿田:理由は2つあります。一つは大学時代からの研究テーマだということ、もう一つはデータサイエンティストが今後必要とされる仕事だということです。
「一生コンサルでいい」と言っても、どこかでコンサルが必要とされない時代が来るかもしれません。その時に備えて、何かしら準備しておいた方がいいと考えて、趣味代わりに勉強しています。
「卒論後の休みボケのまま入社したのは失敗だった」今だからわかる内定期間にやっておけばよかったこと
――内定期間はどのように過ごしていましたか?
猿田:長期インターンをしたあと、大学の研究に大半の時間を使っていました。長期インターンをしなければ、けっこう暇な期間でしたね。
――長期インターン先はどのような企業でしたか?
猿田:M&Aアドバイザリーです。投資銀行から独立して、一人で会社を立ち上げた人がいて、その人のリサーチアシスタントとして手伝わせてもらっていました。
――長期インターンはどうでしたか?
猿田:今の仕事と同様、知的好奇心を刺激される素晴らしい体験ができました。メインの仕事はマーケット調査や調査報告書の作成だったのですが、一般の人が見たら何の役にも立たないような情報を一生懸命調べていく作業は本当に楽しかったです。
――長期インターンも含め、内定期間に意識して身につけたスキルなどはありますか?
猿田:財務や経営の知識、ミクロ・マクロ経済の知識ですね。私はずっと理系だったので、社会・経済のことはほとんど勉強してきませんでした。新聞にもニュースにも興味がなかった。
このままではマズいと思い、一般的な常識レベルを上げておこうという意識を持って勉強していました。
――逆に内定期間にやっておけばよかったと思うことはありますか?
猿田:入社前まで脳みそを動かし続けておくべきだったと思います。卒論が終わった後の休みボケのまま入社したのは失敗でした。
――どういうことでしょうか?
猿田:卒論が2月上旬に終わり、解放感から4月から始まる仕事のことをよそに完全にスイッチを切ってしまい、そのまま入社を迎えてしまった。
だから入社後に頭を切り替えて、社会人モードにしていくのが大変でした。もしやり直せるなら、遊びながらでも日常的に脳みそを使う機会を増やしておきたかったですね。
――例えばどうすれば日常的に頭を使う機会が増えるのでしょうか?
猿田:喫茶店でおしゃべりしている時に「このお店の売り上げはどれくらいかな?」と考えてみるのもいいでしょうし、下町の小さな喫茶店とスターバックスの違いはどこにあるのかと考えてもいいでしょう。
――フェルミ推定ですね。
猿田:そうです。フレームワーク以外にも、友達が怒っていたら「どうして怒らせてしまったんだろう?」と真剣に考えてみる。「新宿から大手町まで30分で行くにはどうすればいいか」という戦略的思考の練習をしてみる。こういったことも、脳みそを使うきっかけになります。
――最後に、現役の内定者に「これだけはやっておけ」というアドバイスをお願いします。
猿田:色々と言いましたが、勉強でも趣味でも何でもいいので、時間がないとできないようなことに優先的に時間を使っておくといいのではと思います。
たいていの新卒1年目はたくさんの「新しいこと」に忙殺されて、自分の時間を確保するのが難しくなります。だから仕事が始まってしまう前に、今しかできないことを楽しんでおくことをおすすめします。