ママのMBA(3) 子連れ夫婦でともにHBS生。勉強と家事・育児を両立するには?
2021/03/12
#海外大MBAに行く

description

前回の記事では、新型コロナウイルスの流行もあり、予想以上に大変だったハーバードビジネススクール(HBS)の授業や学校活動についてお話ししました。

今回は、子連れ夫婦で勉強と家事・育児に追われる、このハードな生活をどう乗り切っているのかご紹介したいと思います。共働きカップルや将来その計画をされている方々の参考になれば幸いです。

〈Profile〉
坂井華奈子(さかい・かなこ)
東京大学経済学部経営学科卒業。外資系コンサルティングファームの東京支社に入社後、主にヘルスケア・消費財関連のプロジェクトに従事。入社3年目に第1子を出産。その後2年間の育休中にMBA受験をし、現在夫とともにハーバードビジネススクール(HBS)に在学中。子持ち夫婦でのHBS学生は他にいない中、育児・勉学・キャリアについて日々思いを巡らせている。ビジネスにおける女性の活躍促進に関する熱い気持ちを発信中。2020年9月より、女性向けメンターマッチングサービスを開始。
▶女性向けメンターマッチングサービス【rolemy】: https://www.rolemy.jp/
▶Twitter:@KanamamaH
▶Blog:kanamom.com

※記事の内容は全て個人の見解であり、所属する組織・部門等を代表するものではありません。


【目次】
・勉強、家事、育児、就職活動にクラブ活動……。綱渡り生活の実情
・コロナ下で逆に柔軟になったことも。シッターさんや電化製品はどんどん使う
・‟家事・育児を半々”にこだわらない。そのときお互いにとって何が大事かを見極め助け合う
・まとめ

勉強、家事、育児、就職活動にクラブ活動……。綱渡り生活の実情

子連れの共働き夫婦にとって最も大きい課題の一つが、家事・育児をどう分担し、どのようにして仕事を両立するかという点だろう。

私達夫婦は、共にHBSの学生だ。かつ当時2歳の息子を連れて留学したため、家事・育児・勉学・就職活動・クラブ活動など「さまざまなボールを常にジャグリングしているような生活」を送ることになった。

だが、その生活スタイルも入学当初と現在では変化してきている。今回は、そこにどんな“成長”があったかをご紹介したいと思う。

description ※HBS1年目のタイムスケジュール

入学して1年目、HBSは学生全員が全く同じスケジュールで必修科目を履修する。午前8時からはDiscussion Groupという少人数での勉強会が必須だった。

保育園も8時に始まるため、どうするか悩んだ結果、それぞれのDiscussion Groupのメンバーに相談した。その結果、私のグループは開始時間を10分遅くしてくれることになったので、私が息子を保育園に送ることになった。

授業は1コマ80分×1日2~3コマ。授業間には20分の休憩と、2コマ目と3コマ目の間にはランチの時間もしっかり設けられている。遅刻や途中で席を外すことが許されていないので、基本的に日中はスケジュール通りに過ごす。

授業後は、夫婦それぞれ自分のクラブ活動やその他イベントなどに参加。

18時に夫が保育園のお迎えに行く間に、私が夕食を作る。その後、夕食(息子に食べさせなければいけないため落ち着いた食事とはいかない)、お風呂、と慌ただしく時間が過ぎていく。

寝かしつける30分くらい前になると、ようやく落ち着いて息子に向き合える時間ができる。そして息子の就寝後、翌日の授業の準備、就活関連のタスクなどやるべきことをこなすという日々だった。

私と夫が就寝するのはほぼ毎日0時を過ぎていた。

コロナ下で逆に柔軟になったことも。シッターさんや電化製品はどんどん使う

第1回の記事でも書いた通り、留学前から、夫とは家事・育児などは全て半々でやっていくことの必要性とその覚悟について話をしていた。実際にボストンに来てからは、それよりもさらに一歩進んだ会話ができるようになった気がしている。

そんな中、2年生になって大きく変わった部分が2点あった。

  1. Group discussionや必修科目が終わり、選択科目を受講するようになったため夫との授業のタイミングがずれるようになったこと
  2. コロナの影響で保育園に息子を預かってもらえる時間が短くなったこと

1年目よりもフレキシブルな対応が必要になり、夫婦で何度も話し合いを重ね、できたのが、下記のスタイルだ。

description

保育園の時間が短くなったことで、お迎えが授業と重なってしまうことがでてきた。履修の際にお互いの授業のタイミングをうまくずらし、どちらかがお迎えに行けるよう工夫することでこの点はクリア。

2人とも授業がある日は、オンラインで後から見られる授業は夜に見るようにし、15時にはお迎えに。オンライン授業はマイナス面もあるが、柔軟に時間のやりくりができる点は子供のいる学生にとってプラス面も大きい。

保育時間の短縮により、今までよりも予習などに割ける時間が減ったのはストレスが大きかったが、子供と過ごせるのは今しかないと捉え、楽しんで過ごすようにしている。

他の学生の子供達も同様に早めに帰宅するため、キャンパス内でコロナ感染に気を付けながら子供同士を遊ばせつつ、親は授業や就活、その他世間話などに花を咲かせている。他の親御さん達と以前より仲良くなることができたのはコロナ下で数少ないよかったことの一つだ。

育児に関してはできるだけ自分達でできることはしているが、試験前、課題の多い時期などは同じく子供がいる同級生のお宅とベビーシッターをシェアし負担を減らすなど、うまくバランスを取りながら過ごしている。

またコロナにより家にいる時間が圧倒的に増えたことで、夫も以前より料理をするようになり、今では夕食の準備は夫の担当に。朝食は各自簡単に済ませ、ランチは余裕がある方が準備もしくは各自で調達する形なので、コロナによって家での食事の回数が増えたものの、家事の負担が急激に増えることはなく、2人でうまく分担している。

食材は全て1週間に1度まとめてネットスーパーで注文。買い物に行ってコロナに感染するリスクもなく、買い物をする時間も削減できて、なくてはならないサービスとなっている。

掃除ロボットを購入したり、洗濯物も乾燥機を使用、食洗器もフルに活用したりと、とにかく効率的に家事をできるよう努めている。オンライン授業が多く、家にいる時間が長いので、合間に家事を終わらせることができるのも私達一家にとってはありがたいことだった。

‟家事・育児を半々”にこだわらない。そのときお互いにとって何が大事かを見極め助け合う

description

留学前は、家事・育児をどう「半々」にするかを話していたが、ここに来てからは、互いのキャリアを考えた時に、今、どちらが家事・育児以外のことに時間を使うべきなのかを話した上で、分担を決めている。

例えば、1年生と2年生の間の夏休み中、夫がフルタイムのオファーをかけてインターンをしていた間は、彼の頑張り時だと判断し、私が家事・育児を多めに担当した。

逆に、夏休み明け、私自身が新しいサービスを立ち上げようとしていた際は、家事・育児はほぼ全て夫がこなしてくれた。

もちろん子供のいなかったころに比べ、使える時間は限られているので、やりたいことの優先順位を明確につける必要があり、その中で上位に位置するものだけをやることになる。

お互いに自分のやりたいことにしっかりと優先順位をつけ、それぞれの「頑張り時」を一緒に考え、片方の頑張り時にはもう片方がサポートするという形を取るようにする。そのことで、育児をしながらもやりたいことができる状態を実現できている

まとめ

前回の記事でお伝えしたようにHBSはとにかく色々な機会にあふれている。限られた時間をどのように使うのかは、HBSでの経験を最大化するために最も重要なことの一つだ。

そこに育児が加わることで、さらにタイムマネジメントは難しくなった。それでも、全てアウトソースするのではなく自分たちの時間を育児にもしっかり使いたいという希望があった。それをかなえつつ、やりたいこともできたという経験は私達家族にとって大きな自信となった。

もちろん育児・家事と勉強は、不確定要素の大きさや精神的なプレッシャーなどかなり違う面がある。しかし、ここでの経験を生かし、卒業後も私達家族としてありたい姿を常に考えながら、家族全員で支え合っていきたいと思っている。 description

コラム作成者
Liiga編集部
Liigaは、「外資就活ドットコム」の姉妹サイトであり、現役プロフェッショナルのキャリア形成を支援するプラットフォームです。 独自の企画取材を通して、プロフェッショナルが必要とする情報をお伝えします。