USCPA取得後のキャリアの選択肢は?転職先や狙えるポジション
2023/12/02
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USCPAがあれば、監査法人に限らずさまざまな業界への転職や昇進のチャンスが広がります。ここではUSCPAを取得した場合にどのようなキャリアの選択肢が考えられるのか、転職先や働き方について詳しく解説します。

多様なキャリアに活かせるUSCPA

米国公認会計士の資格であるUSCPA。

取得すれば「高い英語力」「会計に関する国際的知識」の証明になるだけでなく、ITや法、ファイナンスに関する知識があることも証明できます。そのため活躍の場は監査法人や会計事務所に限らず、コンサルティングファームや事業会社などさまざまです。

特に近年は外資系に限らずクロスボーダー案件を扱う監査法人や企業が増えており、USCPA取得者が積極的に採用されるケースも少なくありません。

監査法人以外で勤めるケースも多い

USCPAを取得する人は、会計のエキスパートを目指す人ばかりではありません。

アビタスUSCPAプログラムで講師を務める伊藤勝幸氏によると、会計事務所などで監査職に従事しているUSCPA取得者は全体の4割程度だといいます。

さらに監査法人に転職するケースでも、「実務経験を積んだ後はその知識やスキルを活かして事業会社などに転職」といった人も多いようです。

※参考:Liiga掲載コラム(最短9ヶ月で修了。会計事務所・コンサル転職につながる資格を取得する。市場価値を高めるための必修知識「意思決定のためのファイナンス」~アビタスのトップ講師が基礎から解説)

USCPA取得者が目指せるキャリア

冒頭でご紹介したように、USCPA取得者が活躍できる場は多数あり、取得後のキャリアの選択肢も以下のように多様です。

  • 海外で働く(現地採用や海外赴任)
  • 外資系企業で働く
  • 日本企業の海外事業部などで働く
  • 会計のエキスパートになる
  • 自ら企業経営に携わる

USCPAを取得すれば、その英語力と国際的な会計知識を活かしてグローバルな仕事ができるようになります。またファイナンスに関する知識を有する点から昇進して経営層に加わったり、スタートアップ企業のCFOやCxOになったりする人もいます。

中長期的な計画の想定も

取得後にさまざまなキャリアの選択肢を描けるUSCPAですが、企業やポジションによっては監査の実務経験を求められるケースがあります。取得したからと言ってすぐ希望の職に就けるとは限らないので、取得の前には5〜10年の長期的なキャリアプランを描くことも重要です。

コンサルティングファーム勤務 A氏

(現在極めたいと思っているスキルは)ファイナンスですね。もともと会計には興味があったのもあり、週15時間ほどUSCPAの勉強をしています。勉強はわりと楽しくやっています(笑)

(中略)上司に聞くところによると、パートナーという経営層の職位にまでいけば、他の事業会社でのCFOとしてのキャリアがあるようなので、今のところはそれを考えています。最終的には経営の立場に回り、自分の裁量で予算をまわして利益を生みたいですね。

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USCPA取得者が目指せる主な転職先

USCPAを取得した場合、転職先としては以下のような職場が考えられます。

会計の知識を活かせる監査法人や会計事務所、FAS、投資銀行などはハードワークを求められる傾向があります。ただし、その分だけ年収が高く「30代で1,000万超え」といったケースも少なくありません。

また外資系企業でも採用の機会が多い他、総合商社などの人気企業に転職できる可能性もあります。

監査法人

会計のスペシャリストを目指す場合や、実務経験を積みたい場合は監査法人への転職が有力です。近年は慢性的な人手不足に悩まされており、採用の可能性は充分にあります。

特に四大監査法人(Big4)をはじめとする大手はグローバル案件が多く、USCPA取得者を歓迎する傾向があります。国際的な監査基準に基づいて英語の財務諸表を作成できるのは、大きな強みです。

実務経験がない場合も、20代〜30代前半なら転職の可能性があります。またコンサル経験者はアドバイザリー部門で重宝される傾向があるため、比較的転職しやすいでしょう。

ただし監査法人の中で高い職位を目指すなら、最終的には公認会計士の資格取得が必要です。

【関連記事】BIG4と呼ばれる4大監査法人は他と何が違うのか

会計事務所・税理士法人

会計のスペシャリストを目指すなら、会計事務所や税理士法人で働く選択肢もあります。

大手・中堅会計事務所は国際税務を取り扱っているケースが多く、USCPA取得者は重宝されます。また税理士法人では、移転価格アドバイザリー部門で活躍する人が多いです。

ただし会計事務所や税理士法人では、税理士が業務の中心を担います。税理士だけが行える独占業務もあるので、出世を目指すなら税理士資格の取得も検討すると良いでしょう。

また「スキルアップのために数年会計事務所で働き、その後事業会社に転職」といったキャリアプランも一つの選択肢です。

FAS

FASは「Financial Advisory Service」の略称で、財務に関するアドバイスやサポートを行う企業です。主に企業のM&Aに関わるアドバイザリーサービスを提供しています。

戦略の立案・策定からM&A完了後のPMIまで一気通貫で企業を支援するため、M&A関連の業務に関しては幅広い知識と経験を身に付けることができます。

FASでもクロスボーダー案件を扱うことが増えており、高い英語力と国際的な会計知識を持ち合わせたUSCPA取得者は重宝される傾向があります。特に投資銀行(IBD)やコンサルティングファームでの勤務経験があると、転職で有利になりやすいです。

【関連記事】FASとは何かも詳しく解説!FASから投資銀行へ転職する方法

投資銀行(IBD)

USCPAを取得すれば、金融機関への転職も視野に入ります。その中でも人気が高いのが、投資銀行(IBD)です。業務内容はFASと似ていますが、証券会社の免許を有しているため資金調達に長けています。FASより大型案件やグローバル案件を抱えていることが多く、全体的に年収も高いです。

資金調達やM&Aを行う上で財務諸表を読みこなす必要があり、こうした中でUSCPAを有することは一つの強みと言えます。ただし転職のハードルは非常に高く、USCPAの取得に加えてM&Aの専門知識や証券関連の業務経験・知識が必要です。

エーテン・アソシエイツ・ジャパン 河田格氏

(IBDに転職するなら)面接の段階で、面接官から突っ込んだ質問をされても答えられるくらいの知見は必要です。バリュエーションやモデリングの経験があれば何の問題もありませんが、経験がない場合は勉強してもらうことになります。

(中略)日本の会計士が取れるならベスト、それが難しければUSCPA(米国公認会計士)くらいは取っておくと転職活動を有利に勧められますね。

※このインタビューの全文はこちら

コンサルティングファーム

コンサルティングファームにも、Big4を母体とする会計系のファームなどが存在します。外資系ファームも多いので、英語力や会計の知識は重宝されます。

ただしコンサルティングファームへの転職では、資格以上にポテンシャル重視の傾向があります。

特に必要なのは論理的思考力で、採用試験では与えられた課題について検討し、その場で回答する「ケース面接」が行われます。そのため事前にケース面接の対策をしっかり行いましょう。

【関連記事】「BIG3やBIG4って?」外資系・戦略系のコンサル大手一覧(特徴・年収・入社方法)

外資系事業会社

事業会社でもUSCPAの資格は重宝され、特に経理や財務系部門での活躍が期待されます。海外で長く生活したい場合は、現地採用を検討しても良いでしょう。

事業会社への転職は、管理職の経験といった点で40代以上でも可能性があります。特に外資系においてはUSCPAの認知度が高く、日本企業より年齢に対する考え方も柔軟なため、狙い目です。

日系事業会社

日本企業でも、USCPAを高く評価する企業は多くあります。特に大手はクロスボーダー案件を扱う機会が多く、就職先・転職先として人気の高い総合商社なども視野に入ります。

日本企業では、海外事業部や経理系の部門で働くことがある他、経営企画部門に配属されることも多いようです。また英語力を活かして海外赴任となるケースもあります。

USCPA取得とキャリア形成に関するQ&A

ここではUSCPAの取得や、その後のキャリアに関するよくある質問に回答しています。

Q. 公認会計士とUSCPAはどっちがおすすめ?

同じ会計士の資格でも、日本では公認会計士のみに認められている独占業務があります。公認会計士は試験の難易度も非常に高く、「国内における会計のスペシャリスト」という点ではUSCPAより立場が上と言えます。

しかしグローバルな場面では、会計の国際基準を熟知しているUSCPAが重宝されます。海外の企業と取引する場合などには、USCPAを取得している方が有利でしょう。

Q. 実務未経験でも転職はできる?

監査法人などで会計の専門業務に携わりたい場合、実務未経験で転職できるのは30代前半までが目安と考えましょう。

事業会社などで会計以外の業務に携わるのであれば、必ずしも実務経験は必要ありません。しかしながら、「ただ資格を持っていればいい」という訳でもないので、注意が必要です。選考では資格の取得過程で得た知識や、これまでのキャリアで得た経験(海外勤務など)などをしっかりアピールしてください。

Q. USCPAがあれば年収は上がる?

USCPAの取得によって、高年収の企業への転職や、昇進が期待できます。監査法人や会計事務所、FASといった監査や会計に関わる業種は、高年収であるケースが多いです。またコンサルティングファームなども、職位が上がればかなりの高年収を望めます。

例えばBig4系のFASに勤めた場合、マネージャーになれば年収は1,000万円以上あるでしょう。マネージャー職に就くまでの年数は、入社からおよそ6〜8年程度です。

ハイクラス転職を目指すならLiigaの活用を

USCPAを取得すれば、社内での昇進に限らず、キャリアの選択肢を広げることができます。監査法人やコンサルティングファームなどへの転職で、キャリアアップも望めるでしょう。

Liigaはハイクラス転職を支援する総合ポータルサイトで、監査法人や投資銀行、コンサルティングファームなどの求人情報を数多く扱っています。これらの業界への転職を得意とする転職エージェントの口コミ情報なども公開していますので、ぜひ転職活動に活用してください。

コラム作成者
Liiga編集部
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