keyboard_arrow_left投稿一覧

商社でグローバル人材になれるのか?

「グローバル人材」の必要性が叫ばれて久しい。 国内市場が縮小に向かいアジア市場を中心とした成長を取り込む必要性が明確な中、当然の論調。 グローバルに仕事を行っているとされる商社で働くことは、グローバル人材を目指すための有効な選択肢となりうるものか考えてみたい。 (配属分野等における個別論はあるが、主だった事業分野での勤務者を前提としたい) ・結論として世に一般に言われている型通りの「グローバル人材」を目指すのならば最適ではないと考える。 まず、「グローバル人材」の定義とし一般な要件は次の3つが主なもの ①語学能力に長けている(英語を中心としたメジャー外国語を有し、 ②異なる環境においても業務遂行能力を発揮し、 ③異文化理解能力を持つ。 これら3つを有していることで、国を問わず働くことができると言われている。 (話はそれるが、個人的にはこの論調には非常に疑問を感じる。 どこでも働くことができるということは、替えが利くコモディティであることの裏返しに他ならない。 グローバル企業が各国でビジネスを行う上で、使いやすい人間の要件だと感じている。 実際には外資系企業の従業員でも日本におけるローカルスタッフとしての実態が強い場合も多いであろう。 ソフトスキル面でさらに秀でたものがなければ、必要とされ続けることはできない) ・では、商社に目を向けてみれば、上述の①、③を磨くことは一定範囲において可能だと思う。 しかし、②に関して言えば、専門性を磨くことは難しく、社内組織も分断化されている都合上、 得られる知識は限定的になりがちである。また、配属分野でのニッチな知識の深堀りが 求められ、エビ一筋10年造詣が深いといった形になりがちで汎用性の高い知識・スキルは磨きにくい。 従いハードスキル面では、「グローバある人材」を目指すには適していないとの立場である。 商社の役割は日本というマザーマケットを徹底的に理解した上で、 ー国内企業の海外進出 ー海外からの国内企業への希少材の持ち込み における問題解決を手助けしていくことに他ならない。 その際、商社が活かすリソースは ー海外各地に張っている人員・キーパーソンとのコネクション ー長年のビジネス経験の蓄積による現地の商慣習・リスクへの深い理解 ー高い資金調達力・銀行との特殊な関係を裏付けとした、ファイナンシング・サービス など。日本文化や業界知識などを踏まえた上で、利害調整をしていくソフトスキルこそが求められる。 その結果、業界では名の知れた存在になっていくケースもある。 その意味でコモディティとしての「グルーバル人材」にはなりがたいものの、ニッチ分野における 日本と海外をつなぐ名黒子にはなりうる。全く別のキャリア戦略にならざるを得ない。

プロフィール

このユーザーの他の記事