デベロッパー入社に資格は必要?難易度付きおすすめ資格一覧!
2023/12/28
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デベロッパーは就職・転職どちらにおいても人気で、入社の難易度も高いです。ここではデベロッパーの仕事内容や採用の傾向とともに、採用で有利になるためのおすすめ資格を解説しています。

デベロッパー志望者におすすめの資格一覧

デベロッパーへの入社に必須の資格はありませんが、あれば自己PRの材料になったり、ライバルと差を付けられたりします。

デベロッパーに関わりのある資格としては以下のようなものがありますので、取得を検討してみましょう。

資格名 取得難易度
宅地建物取引士(宅建士) ★★★
再開発プランナー/コーディネーター ★★★★
不動産証券化協会認定マスター ★★★
土地家屋調査士 ★★★★★
不動産鑑定士 ★★★★★
管理業務主任者 ★★★
マンション管理士 ★★★★
TOEIC(800点以上) ★★★~
行政書士 ★★★★
司法書士 ★★★★★

不動産資格の中でも、宅建士は中小デベロッパーを中心に採用で優遇されることが多いです。また、TOEICは新卒採用や大手デベロッパーの中途採用で有利に働く傾向があります。

デベロッパーへの入社難易度と資格の効果、上記資格の取得条件などは後の章で詳しく解説しています。

そもそもデベロッパーとは

デベロッパーとは、土地や街の開発を行う事業者を指します。オフィスビルや商業ビル、アウトレット、マンション、住宅地などの開発を行う他、大手では街全体の開発にも携わります。また開発した建物の管理や運用も、仕事の一部です。

三井不動産や三菱地所をはじめとする大手デベロッパーは、平均年収が1,000万円前後など高収入のことが多いです。また労働環境の整ったホワイト企業も多く、就職・転職先として非常に人気があります。

【関連記事】大手デベロッパー11社一覧(売上高、平均年収、勤続年数、特徴)

大手総合デベロッパー勤務 木津雅紀氏

(環境は)とてつもなくホワイトだと思います。理不尽なことはなく、風通しが非常にいいです。

(中略)浪人や留年をせずに新卒で入っていたら30歳手前となる、7〜8年目には年収1,000万円を超えるという感じです。(自社では)8年目になれば確実に1,000万円のラインは超えますね。

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主な仕事内容

デベロッパーの仕事は、大まかに以下の4種類です。

  • 用地の取得
  • 企画・開発
  • 販売
  • 管理

用地取得は、デベロッパーの中でも花形と言われる業務です。開発に適した土地を探し、地権者と交渉して土地を取得します。土地や不動産に関する知識に加えて、コミュニケーション能力やコスト管理能力なども必要です。

企画・開発では建物や街の構想を考えたり、建築の管理を行ったりします。ここでも委託先の設計士やゼネコン業者とのコミュニケーションが欠かせず、コストやスケジュール面でのマネジメント能力も必要です。また開発に関する専門知識がなければ、周囲からの信頼も得られません。

販売ではテナントの誘致や住宅の売却を、管理では建物の管理・運用を行います。

Q. デベロッパーとゼネコンの違いは?

ゼネコンは総合建設業者のことで、デベロッパーの開発計画をもとに建設を担います。建設においてはデベロッパーが「委託側」、ゼネコンが「受注側」という関係です。

ただし最近ではゼネコンが開発計画を立てるなど、業務が重なっていることもあります。

デベロッパー入社の難易度と資格の効果

デベロッパーの入社難易度は全体的に高いと言われますが、採用傾向は大手と中小で大きく異なります。また両者では取得すべき資格の傾向も異なるため、志望先に合わせて対策を検討しましょう。

大手は難易度が高く、新卒採用が中心

三井不動産や三菱地所などの大手は入社の難易度が非常に高く、中には学歴を重視するデベロッパーもあります。また採用は総合職での新卒採用が中心です。ただし、現在は中途採用も拡大傾向にあると言われています。

大手は専門知識よりも、地頭の良さやコミュニケーション能力といったポテンシャルを重視する傾向が強いです。また大手では海外事業に注力しているデベロッパーも多いので、不動産資格よりもTOEICのような語学系の資格が優遇されることが少なくありません。

大手総合デベロッパー勤務 木津雅紀氏

(転職してくる人は)新卒と同じで、本当に色々な人がいますよ。外資系コンサルファームから来た人、外資系投資銀行にいた人、同業他社から来た人もいます。

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中小は宅建士取得者などを優遇する傾向

中小デベロッパーは、大手に比べて採用の難易度が易しいです。中途採用の数も多く、特に営業職などは未経験者でも応募しやすいです。

他方で、中小デベロッパーでは求人票に「宅建士優遇」などと記載しているケースも多くあります。そのため未経験でも、宅建士をはじめとする不動産資格を取得しておくのがおすすめです。

資格は「補強材料」

冒頭でもご紹介したように、デベロッパー入社に必須の資格はありません。また大手ではポテンシャルを重視する傾向があり、宅建士などを取得しても、特別有利にならないケースも考えられます。

ただし、「ないよりあった方が良い」のは確かです。自己PRの材料やライバルと差をつける要素として、不動産資格や語学系・金融系資格の取得をお勧めします。さらに「宅建士+管理業務主任者」のように複数の資格を取得すれば、よりライバルとの差別化を図れます。

「事前に取得すれば楽」という声も多い

デベロッパーでは、入社後に宅建士などの資格を取得させられるケースが多いです。詳しい取得方法は次の章で記載していますが、新しい環境で働きながら資格取得を目指すのは、決して楽ではありません。そのため「時間があるなら入社前に取得しておいた方が楽」という声も多いです。

「採用の補強材料になり、入社後も楽をできれば一石二鳥」と考えて資格取得を目指しましょう。

デベロッパー志望者におすすめの不動産資格7つ

ここでは、デベロッパー志望者に取得をお勧めする不動産資格をご紹介します。難易度が非常に高い資格もあるので、勉強に充てられる時間も考えて取得を検討しましょう。

①宅地建物取引士(宅建士、難易度★★★)

宅建士は、宅地建物取引業法に基づいた基づいた国家資格です。以下のように、宅建士のみが行える独占業務が3つあります。

  • 契約締結前の重要事項の説明
  • 重要事項説明書への記名と押印
  • 37条書面(契約書)への記名と押印

デベロッパーを含む宅地建物取引業者は、「各事業所等の業務従事者5人に対して1人以上」の宅建士の配置が義務付けられています。そのためデベロッパー勤務において、宅建士は最も基本的な資格と言えます。

受験資格は特になく、試験は四択のマークシート方式です。学習時間の目安は約300時間で、半年〜1年程度での取得を目指すと良いでしょう。合格率は15〜17%程度です。

なお、合格後は2年の実務経験または実務講習の受講を経て、各都道府県に登録を行います。

②再開発プランナー/コーディネーター(難易度★★★★)

再開発プランナー及び再開発コーディネーターは、再開発系で唯一の資格です。都市開発を担う大手デベロッパーでは、同資格を有している人が多いと言われます。

再開発プランナーの試験は、筆記試験(四択+記述式)と実務経験審査(書類審査・面接審査)から成ります。筆記試験は20歳以上であれば誰でも受検できますが、その後の実務経験審査では3年以上の実務経験が必要です。

筆記試験の合格率は30%程度と高いものの、取得に実務経験が必要なことから、受験者は不動産業界経験者が多いと推測されます。

再開発プランナーの資格を有し、且つ5年以上の実務経験があると、再開発コーディネーターの資格を取得できます。

③不動産証券化協会認定マスター(難易度★★★)

不動産と金融分野に関する専門知識を証明する、2006年に登場したばかりの資格です。特に不動産投資運用業で役立つとされています。

取得には、以下のように養成講座の受講と試験への合格が必要です。

【取得手順】

  1. マスター養成講座(Course1)をWebで約5ヶ月受講
  2. Course1修了試験を受験
  3. マスター養成講座(Course29を受講
  4. 認定審査を受験

なお手順4の認定審査に合格しても、不動産または金融での実務経験が2年以上ないと「マスター」として認定されません。ただし実務経験がない段階でも、「アソシエイト」の認定を受けることができます。

学習時間の目安は100〜150時間程度。内容は簡単でないものの、養成講座の受講という形で学習の仕組みが整っているので、取得そのものは特別難しくありません。

④土地家屋調査士(難易度★★★★★)

不動産の登記を目的とした調査・測量と登記ができる国家資格です。デベロッパーでは、用地取得の際に土地のさまざまな情報を法務局に提出する必要があり、こうした場合に土地家屋調査士の資格が役立ちます。また境界紛争の解決手段である「筆界特定」の代理業務も独占的に行えます。

試験は筆記試験と口述試験から成り、受験資格は特にありません。ただし合格率はわずか10%前後と難易度が高く、学習時間の目安は1,000時間と言われています。取得には1年半〜2年程度かかると考えた方が良いでしょう。

⑤不動産鑑定士(難易度★★★★★)

登記に関する「調査・測量」を行う土地家屋調査士に対して、不動産鑑定士は不動産の「価値」を見定めるための国家資格です。不動産の鑑定を行う他、不動産の分析やコンサルティング業務を担うこともできます。

弁護士、公認会計士とともに「三大国家資格」と称されるほど難易度が高く、試験も短答式(マークシート)、論文式、実務修習の3段階となっています。短答式の合格率は30%前後、その後に受験できる論文式試験の合格率は15%程度です。さらにその後、1〜2年間の実務修習を受講します。

最終的な学習時間は約3,000時間と言われ、取得には多くの時間と労力を要します。

⑥管理業務主任者(難易度★★★)

マンションを扱うデベロッパーに入社したいなら、管理業務主任者や後述のマンション管理士の資格取得をお勧めします。ともにマンション管理に関する国家資格で、どちらかを先に取得すると、もう一方の試験を一部免除で受験できます。

管理業務主任者は、管理委託契約時の重要事項の説明や、組合に対する管理状況の報告などを行います。試験の合格率は20%弱です。後述のマンション管理士と比べれば難易度が易しいので、ダブルライセンスを目指すなら、管理業務主任者を先に取得した方が良いでしょう。

学習時間の目安は300時間程度です。宅建士と同様、登録には2年の実務経験が必要ですが、登録実務講習の受講で代替することも可能です。

⑦マンション管理士(難易度★★★★)

マンション管理士は、マンションのトラブル解決をサポートできる資格です。マンションの管理組合や住民からの相談に対してアドバイスを行うことができます。

試験の合格率は10%前後と低く、難易度が高いです。出題範囲が広いだけでなく、法律に関する出題が多いので、学習に苦労をする人が少なくありません。合格に必要な学習時間の目安は、概ね500時間程度と言われています。

デベロッパー志望者におすすめのその他の資格3つ

不動産系以外の資格として取得をお勧めするのは、以下の3つです。特にTOEICは、大手デベロッパーを中心にハイスコアを目指すと良いでしょう。

①TOEIC(800点以上、難易度★★★~)

大手を中心に、海外事業に力を入れているデベロッパーは多いです。こうしたデベロッパーでは、採用にあたって語学力で足切りをしたり、不動産の知識がなくても語学力で採用したりするケースがあります。

資格として使えるようになるのは、一般にTOEIC800点相当以上の成績の場合です。学習時間はスタート時点で有している語学力にもよりますが、英語初心者(TOEIC350点程度)では1,000時間ほどかかる人もいます。

②行政書士(難易度★★★★)

行政書士は、国や地方自治体などの官公署に提出する書類を作成したり、提出手続きを代行したりできる国家資格です。不動産売買では契約書の作成ができる他、宅建業などの開業に伴う書類作成や申請の代行、建設業者が毎年行う経営状況分析や経営事項審査の代行などが可能です。

受験資格は特にありませんが、合格率は10%前後と低いです。合格に必要な学習時間の目安は800時間程度と言われています。

③司法書士(難易度★★★★★)

登記業務や供託業務などを独占的に行うことができる国家資格です。業務の中には不動産登記も含まれ、不動産売買では売り手と買い手に代わって名義変更などを行います。

行政書士とも一部遂行できる業務が重なっていますが、司法書士の方が取得の難易度が高いです。試験の合格率はわずか3〜5%程度で、合格に必要な学習時間の目安は3,000時間ほどと言われています。

難しければ簿記やFPの挑戦も

ここまでご紹介してきた資格は、どれも取得が簡単とは言えません。「デベロッパー以外にも興味のある職種がある」「時間がない中で、少しでも知識や資格を得ておきたい」という人は、日商簿記やFP(ファイナンシャルプランナー)などの試験に挑戦しても良いでしょう。

デベロッパーではコスト管理も重要なため、こうしたお金に関する知識は入社後も役立ちます。

資格以外で取るべき対策は?

先述したように、デベロッパーは大手と中小で採用の傾向が大きく異なります。そのため、まずは双方の採用傾向を細かく知り、各デベロッパーの実際の採用情報を確認しましょう。

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