「週5勤務は40代まで」「引退は考えない」 20代IT系ビジネス職のキャリア観

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「40代後半になるまでには、週5日、フルタイムで働かなくても、生活が成り立つようにしていきたい」。ITに強いコンサルティングファームに所属する24歳の入江誠(仮名)さんは、自身の将来展望をこう描く。一方、別の外資IT企業に勤める工藤純(仮名)さんは、勤務形態を柔軟に変えつつ、「一生働きたい」とする。

ビジネスパーソンの「引退論」を掘り下げる特集「あなたはいつまで働くのか」。第6回では再び、異なる考え方を持つ20代Liiga会員2人のキャリア観を紹介する。【斎藤公也】



 

弁護士資格の取得目指す。経営スキルも併せ持って独立へ

〈Profile 1〉
入江誠(仮名)
大学卒業後、総合コンサルティングファームに入社。現在24歳。

――将来、何歳くらいまで働きたいですか。

入江:40代後半だと思います。

――なぜ、40代後半なのでしょうか。

入江:まず、働くというのは「フルタイム」で働くという意味でお話をしています。40代後半になるまでには、週5日、フルタイムで働かなくても、生活が成り立つようにしていきたいと考えています。

――お考えの計画などあるのでしょうか。

<入江さんの想定タイムライン>
24歳 現在
26歳まで:司法試験に合格
27歳まで:戦略コンサルティングファームに転職
30歳ごろ:司法修習を受け、法曹界に転向
35歳ごろ:経営スキルと弁護士資格を用いて独立
以降40代後半まで 徐々に稼働を落としながら「週5日フルタイム」で働かなくても生活できるようにする

入江:現在の人生設計では、司法試験にパスして、弁護士の道に進もうと考えています。将来起業するにあたって、最も安定的に仕事を獲得できて、かつある程度セオリーが確定しているものというのは、弁護士業務だと考えているからです。

弁護士間の競争が激しくなっているといわれていますが、経営視点を持って努力していけば、十分に食べていける仕事だと思います。そして、40代後半になるまでの段階で雇用自体に依存しない、独立という働き方ができればいいかと考えています。

――なぜ弁護士なのでしょうか。

入江:クライアントなどの信用を生むためです。ソフトスキルよりも完全なハードスキルとしての法曹資格は社会的信用を持っているのではないかと思います。コンサルティングファームに勤務していて感じるのは、スキルの定義がとても曖昧で、その情報は会社名で語るしかない、ということです。そうなれば、起業した時、名前も知られていない企業名で戦っていくしかなく、信用は生まれにくいと考えています。

――コンサルティングファームに入社したのはなぜでしょうか。就職をしないで、資格試験の勉強をするという方向もあったかと思います。

入江:独立という話にもつながってきますが、現在、コンサルタントが独立して手掛ける案件で多いのは、システム系の案件です。途中からシステムを学ぶのではなく、新卒である程度IT系のスキルを習得できるファームに入ることによって、学ぶ機会が増えると考えました。法律とITのスキルの掛け算ができている人材は、珍しいです。これができれば、自分の尖った強みになるのではないかと思います。

戦略コンサルティングファームへの転職を計画に入れているのは、より経営的な視点を身に付けるためです。

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「自分のため」という邪念を抱かない段階にいきたい

――改めて、40代後半までにフルタイム勤務をやめる理由は何ですか。

入江:会社で、それくらいの年齢の方を見ていると、向上心が減退してくる年頃なのではないかと感じます。また退職年齢が上がっているなか、自分のなかである程度のラインを設定しないと、きりがない状態になっていくのではないかと思います。そのラインまでに、スキル向上のために仕事をして、能力を高めるフェーズを終えて、仕事自体が目的化するような段階に入りたいです。

――仕事自体が目的化する、というのは、どういう意味ですか。

入江:仕事自体が楽しめるようになることです。また、自分のためではなく、本当に人のためだけに働く、という意味もあります。例えば、「クライアントファースト」は、自分のために働くという要素がなくなったときに、初めて実現できるのではないかと思います。自分のスキル習得のためにならない仕事はやりたくない、という邪念を抱かなくて済む段階になれば、クライアントの利益につながることが多いのではないかと考えています。

その上で、週5日働くと仕事が嫌だなという気持ちになるかもしれないと思うので、仕事をする日を決めたほうが真剣に向き合えます。週2日に減らしても、独立しているのであれば途中でマージンを抜かれないので、生活水準が保てるくらいの収益を得られると思います。変な物欲が湧かなければ、生活はできるでしょう。 description

働くことは、「魂を高める」ためのプロセスだ

〈Profile 2〉
工藤純(仮名)
大学卒業後、外資系IT企業に入社。営業を担当。現在29歳。

――いつまで働きたいと考えていますか。

工藤:一生働きたいと考えています。

――なぜ、そのように考えるようになったのでしょうか。

工藤:働き始めて3年目くらいの時に、ふと、自分は何のために仕事をしているのか、何のために生きているのか、というような疑問が湧いてきました。大学卒業後、入社した会社でがむしゃらに働いていましたが、転職を考え始めたことが、そのような疑問を抱いた要因の一つかもしれません。

その答えを見つけようと、いろいろ調べていたら、京セラ創業者の稲盛和夫さんの著書を見つけました。そのなかで、稲盛さんは「人生とは心を高めるプロセスである」とお書きになっていました。

その言葉がスッとふに落ちまして、悩んでいたことが、ばかばかしくなりました。働くということは、魂を高めるためのプロセスだ、と割り切って考えたら、また明日からとりあえず働こうと思えるようになりました。

そういうふうに考えると、人生を通して価値を提供したり、社会に貢献したりするという気持ちも湧いてきたため、一生働き続けたいと考えました。これは、実家が事業を営み、高齢の親が働いていることも影響しているかもしれません。

――一生働き続けずに、リタイアする方が多いです。

工藤:一生働き続けることと、やめることを比べたときに、やめることのほうが圧倒的に楽だし、簡単だと思います。一生働くためには、働けるだけの環境があり、自分が価値を提供できていないといけないからです。

65歳くらいまで働く方が多いと思いますが、それは、そもそも雇用されている前提の考え方だと思います。農業でもいいですし、レストランを運営するのもいい。自分がやりたいことは、65歳以降でもできます。

――年齢に応じて環境や自分の能力が変化するため、今と同じような働き方を続けられるわけではないと思いますが、いかがでしょうか。

工藤:20代で体力があり、家庭も持っていなければ、がむしゃらに働くこともできます。ですが、家庭を持てば、時間の使い方も変わります。女性であれば、出産や育児といった人生のイベントもあります。働き続けるためには、体力や外的要因の変化にあわせて、自主的に働き方を変えていかなければならないと思います。

働き方を変えるときでも、時間軸を意識することが重要だと思います。「バックキャスティング」といって、未来の目標となる状態を想定し、そこを起点に今何をすべきかを考える方法がありますが、これで人生を考えると、意外と時間がないことがわかります。 description

40歳で資産1億円。そのためにも副業で「夢中になれること」をする

<工藤さんの想定タイムライン>
29歳(現在):副業で事業にチャレンジする
30歳:結婚する。副業では、事業の数をこなして、収益が上げられそうなものを見つける
31歳:育児(本業休職中)/副業を本格化させる準備
32歳:本業復帰
33歳:総資産合計5,000万円
35歳: 本業で部長に昇進 or 独立
40歳:総資産合計1億円
以降、形態を柔軟に変えながら生涯働く

――副業で事業を立ち上げるという計画ですか。

工藤:まずは、1人で始められることをやってみたいと思います。やるとすれば、自分が夢中になれることです。

新型コロナウイルスの影響で働き方が変わり、リモートでも仕事ができるようになりました。仕事を依頼する側も、これまでは場所という制約の中で依頼先を選定していましたが、これからはその業務に最も夢中になっていて、純粋に高い成果を上げている方を選ぶようになると思います。

そういう意味で、自分は何がしたいのか、人生で大事なものは何か、好きなものは何かを徹底的に考え、あらゆることに挑戦していかないと、生き残っていけないのではないかと考えています。

また、リモートワークをするようになって、見て、聞いて、感じて習得というような学習機会が減りました。副業によって、経験を積み、「自分の中の密度」を上げていかなければならないと考えるようになりました。

――副業をするのは、「40歳で総資産1億円」という目標をかなえるためでもありますか。

工藤:そうですね。収入源を増やしておく必要はあるかと思います。就職活動をしている時に、学生で起業し、商社に勤務しながら運営して、売却した方に出会いました。世の中にはすごい人たちがたくさんいる、自分は何で遊んでいたんだろうと、その時に感じました。遅ればせながら、自分もそういうことにチャレンジをしていきたいと思います。

――工藤さんにとって働く意義は何ですか。

工藤:短期的な働く意義は、自分の実力のベースを高めることです。今スキルを身に付けていかないと、自分の近くの人すら幸せにすることができないと考えています。中期的には、周りの人を幸せにすることです。周りの人というのは、自分の家族、両親、一緒に働いている人たちです。

長期的には、社会に貢献し、一人でも多くのQOL(Quality Of Life)を高めていくことです。私は人との出会いで、自分のQOLを高めてもらったことがあるので、自分もそういうことができたらいいなと思います。


【連載記事一覧】
【特集ページ】あなたはいつまで働くのか(全8回)
(1)生涯現役? それとも早期リタイア? 「キャリアの終わり」を考える
(2)大事なのはいかに幸せに死ぬか―。「一生遊べる」資産保有者が、働く理由
(3)働き続けないと「ださくなる」。食うに困らなくなった人には、世界をもっと変えてほしい
(4)「45歳で区切り」「母のように生涯働く」 VC、コンサル在籍20代が語る“キャリアの終わり”
(5)始まる前に終わりを語る。就活生は「引退」をどう意識しているか
(6)「週5勤務は40代まで」「引退は考えない」 20代IT系ビジネス職のキャリア観
(7)「“もう一つの人生”を送れる」。アーリーリタイアした40代が眺める、会社員時代には見えなかった景色
(8)「自分だけのために働くのは“卒業”しよう」。元マッキンゼーの起業家は社会のために“働き続ける”


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date_range 2020-12-07

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