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金融歴30年-。計150億円調達を主導するゴールドマン出身50代CFOの底力 外資投資銀行→CxO転職の光と影Vol.6 FiNC Technologies・小泉泰郎CFO

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2017年以降、ヘルスケアAI(人工知能)などを手掛ける創業数年のベンチャー企業が続けざまに4度、累計では150億円超になる資金調達を発表し、注目を浴びている。その名は、FiNC Technologies。調達規模、そしてNEC、SOMPOホールディングス、三菱地所といった調達先のそうそうたる顔ぶれからは、期待値の高さに加え、財務戦略の強力さもうかがえる。同戦略を指揮するのが、ゴールドマン・サックス(GS)に約15年勤めた後、2015年にFiNC Technologies(当時はFiNC)に参画した小泉泰郎CFO。日本興業銀行(興銀=現みずほ銀行)時代も合わせ30年近くの金融歴を持つ元重鎮バンカーは、事業創出の難しさに直面しつつも、豊富な経験に裏打ちされた“強さ”を見せつけている。

〈Profile〉
小泉 泰郎(こいずみ・やすろう)
株式会社FiNC Technologies 取締役 CFO
東京大学経済学部卒業 ダートマス大学エイモス・タック経営大学院経営学修士(MBA)
1986年4月に株式会社日本興業銀行へ入行、在籍中の約2年間、上記MBA留学を経験する。2003年8月にゴールドマン・サックス証券株式会社へ転職。投資銀行部門にて資本市場本部共同本部長、公共セクターインフラユーティリティーセクター本部長、汎アジアキャピタルコミッティー委員などを歴任した後、2014年7月に退職。 2015年7月にFiNC(現FiNC Technologies)へ入社し、代表取締役副社長CFO兼CSOに就任。2020年1月から現職。

「断られるかも…けど、あたってみよう」“ダメもと”で始まった調達ラッシュ

「資金調達するなら、どこにお金を出してもらいたいだろうか?」51歳でFiNC Technologiesに入社した小泉氏はある日、幹部10人ほどを集め唐突にこう尋ねた。ベンチャーにとって調達先の名は、ブランディングにもつながる重要事項。居合わせた面々は、思い思いに自らの希望を述べる。「あの会社からお金を出してもらえたら、かっこいい」「あの会社と一緒に何かやりたい」-。金融系のほか、自動車や電機のメーカー、メガベンチャー、はたまた海外の巨大IT企業など…ホワイトボード上にはそうそうたる企業の名が50社ほど、調達先候補として並んだ。

「上手くいくか断られるか分からないけど、これらの会社からあたってみよう」。小泉氏のこの号令で、怒涛の“調達劇”は幕を開けた。

まず2017年1月、カゴメ、第一生命保険、トヨタ自動車、三井住友銀行を主要株主とするファンドなどから計20億円強を調達したと発表。その後、同年8月のNECとの資本提携、2018年9月の資生堂や中部電力などを新規引受先とした第三者割当増資など、財務強化関連のニュースを次々と発し、2020年3月現在、累計調達額は150億円超に達する。攻めの財務戦略は連続起業家の堀江貴文氏をも「すごい調達額。。」(2018年9月20日、Twitterより)と驚かせた。

「私や乗松(文夫氏=現会長)など、年のいった経営メンバーの存在が、信用力につながっているのかもしれない」と小泉氏は笑う。「それに、我々が目指すのは、あらゆる人々を健康にするという、世の中にとって“良いこと”。『それはやめときなよ』なんて言う人は基本的にいない」。社会貢献に直結するだけに、協力を得やすいビジネスではあるという。

だがヘルスケア分野は社会貢献性が高い半面、「どう利益を出し企業体として責任を果たしていくか」に関して厳しい目で見られる。そうした条件下での資金集めについて、「調達は溝口(勇児氏=創業者で現非常勤取締役)、南野(充則氏=現CEO)などと協力してやってきた」と小泉氏は控えめに話すものの、興銀で約13年、GSで約15年の経験が存分に生かされていることは、想像に難くない。

“違い”を生んでいるものは、何か。

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中長期視点と意思決定の量と質…元金融・元コンサルでも“本物”でなければベンチャーCxOで通用しない

「要は、ステークホルダーとどれだけ深くコミュニケーションをできるか」と小泉氏は言い切る。「GSの根底に流れているのは、中長期で価値を生む『Long Term Greedy(ロングターム・グリーディー)』の精神。この考え方がしっかり染みついているからこそ、良いコミュニケーションができているのかもしれない。当社がやっている“良いこと”を中長期的に続ける姿勢をしっかり伝えられれば、投資側はたいてい『やってみなはれ』と応じてくれる」という。

無論、金融にただ長居したから、そのコミュニケーション力が身についたわけではない。「大事なのは、金融にどれだけ本気で取り組み、ハイレベルな仕事をしてきたか。僕自身、興銀、GSで“死ぬほど”働いてきた」と振り返る。

GS時代は資本市場本部と公共セクターインフラユーティリティーセクターの本部長ポストを兼任。プロダクトとカバレッジの両サイドから事業を推進したほか、在籍期の最後の数年は汎アジア地域の「キャピタルコミッティー」「ファイナンスコミッティー」の委員となり広範な意思決定に携わった。「コミッティーの委員になると、膨大な英語の資料を毎日読み、絶えず重い意思決定に関わることになる。その量と質で、“違い”は出ると思う」と胸を張る。

だからというわけではないが、同じく外資金融からベンチャーCxOに身を移す人材が増えていることについては、「全員が上手くいくとは限らない」とシビアな視線を送る。「昔から、大工には“第1”から“第9(ダイク、本物の意)”まで、つまりピンからキリまであるといわれているが、金融やコンサルの人も同じこと。ベンチャー企業の経営は甘くないし、“第5”以下の人がやっても上手くいかないのでは」と手厳しい。

自身も、「甘くない」現実を身をもって経験している。「苦労を苦労と思わないタイプ」と自認するものの、それでも金融とのギャップには当初、戸惑った。「最大の違いがバックグラウンドの多様さ。エンジニアや、さらに当社の場合は管理栄養士、トレーナーなど金融に全くいないタイプの人もいる。そういう多様な人たちに気軽に声を掛けて、よく話を聞き最大公約数を探るようなことは、GSや興銀では求められない。新たに一歩踏み込む感じだった」という。

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ではそもそも、小泉氏がこうした“異世界”に飛び込んだのは、なぜか。

GSを50歳で退職。約1年“遊んだ”後、悠々自適の隠居生活を捨て、ベンチャーの経営へ

「お金も十分にあるし、あとは一生遊んで暮らすだけだ」-。実は小泉氏、2014年7月に50歳でGSを辞めた当時、完全に第一線から退くつもりだった。背景にあったのが、50代で発病し、残りの約30年を闘病に費やした末に他界した父の存在。「親父の分まで遊んでやろう」。GS退職前から、こう心に決めていたという。

「まさしく“プータロー”をやっていた」と小泉氏はGS退職後の約1年を回想する。ヨットにサーフィン、冬はスキー…多趣味なゆえ、飽きる心配はない。「今まで死ぬほど働いてきたんだから、もういいだろう」。そんな想いもあった。大学時代にサッカー部で副将を務めるほどの体力自慢で、社会人になった後はゴルフ仲間も増えた。GSを辞めた後、数カ月はあっという間に過ぎた。

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2015年4月、「一生遊ぶつもりだった」という小泉氏の運命を、1通のメールが変える。

「助けてくれ…」。メールの送り主は、興銀時代の先輩で、既にFiNC Technologiesに参画していた乗松現会長。「CFOを任せられる人がいなくて、困っている」という。

同氏は小泉氏にとって、興銀時代「斜め上の上司」だった存在。「私自身はともかく、若い人の紹介ならぜひ」と小泉氏は快く応じた上で、「紹介するためにどんな会社か理解したいので、一度創業者に会わせてください」と要請。こうして、その4月のある土曜日、乗松氏、小泉氏、そして当時30歳でFiNC Technologiesを創業後まだ3年程度だった溝口氏によるミーティングが行われた。

「土日はゴルフで軽井沢へ行く予定があったので、すぐに新幹線に乗れるよう銀座で会った。話を聞くだけなので、軽い気持ちで」と小泉氏は溝口氏との初対面時を振り返る。同氏に対して「真っすぐな若者で良い志を持っている」と好感を抱いたものの、無論、この時点で自ら入社するとは思わない。話が終わった後、「適任がいるか考えてみます」と言い残し、軽井沢へ発った。

「小泉さんしかいない」。一方の溝口氏は、すぐに確信した。ミーティング後、即座に“口説き文句”を長文メールに書き連ね、週末が終わるのも待たずに送信。この熱意とスピードは、軽井沢でメールを受け取った小泉氏をも驚かせた。「起業家は、いったん“欲しい”と思ったら何が何でも手に入れようとする人が多い。溝口もそんなタイプ」と苦笑いする。

熱烈な誘いに驚いた小泉氏だが、ヘルスケアテックという事業領域と溝口氏の情熱に、可能性を感じてもいた。豊富な海外経験の中、「アジアや欧米など、海外のどこでも日本のヘルスケア技術がすごく期待されていることを知っていた」ことにも背中を押され、気持ちは一気にFiNC Technologiesへ傾く。決断までに1週間とかからなかった。

ヘルスケアテックで避けられない“生みの苦しみ”。苦難を越え、「産業を興す」-。

「興銀が標榜していた『産業を興す』ということを、この手でやってみたいという想いもあった」。小泉氏はFiNC Technologiesに参画した理由の1つに、自身の原点である興銀の理念を挙げる。

「1950年代に“二流”とされたトヨタは、約40年で世界トップ級の企業になった。この国は医療が充実し肥満も少ないということを考えると、日本のヘルスケア関連企業には、トヨタ以上に飛躍するチャンスがあるはず。日本からGAFAのような企業が出てくるとしたら、たとえ当社でなくとも、この領域からだと思う」。そんな信念が、小泉氏を突き動かす。

他方、産業を興す上で“生みの苦しみ”は避けられない。FiNC Technologiesはポテンシャルを評価される半面、2012年の創業以来、収益面で苦戦。2017年12月期決算公告では、約23億円の経常損益を計上し、以降は決算内容を公表していない。Long Term Greedyの精神で投資側とコミュニケーションを取る中にあっても、「10年赤字だったら、たいてい『まあ、1回やめたら?』と言われる」「当社は8年目で、そういう意味では残された時間は限られる」と小泉氏は気を引き締める。

収益拡大に向け正念場ともいえる2020年の1月、突如、同社は溝口氏から南野氏へのトップ交代を発表し、世を驚かせた。溝口氏は「創業から7年半が経ち、気づいたら強くてたくましい組織になっていた」(2020年1月6日、noteより)と残し、CEOを退任。同社にとっては“ポスト創業期”ともいえる第2ステージが、始まる。溝口氏の情熱に引き寄せられて参画し、驚異の調達劇をリードした小泉氏。その真価が問われるのは、これからかもしれない。

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【「外資系投資銀行→ベンチャーCxO転職の光と影」シリーズ】 第1回「初めはカオス。カルチャーすらなかった…」マネーフォワード・金坂直哉取締役執行役員の場合
第2回「元将棋少年が出会った運命企業。入社したら苦難の山?」HEROZ・浅原大輔CFOの場合
第3回「なんとなく伸びそう」はNG。自らDDして決断を~じげん・寺田修輔CFOの場合
第4回 外銀とベンチャーは異世界―。元ゴールドマン「東芝問題」担当の試練と成長~ビザスク・瓜生英敏COOの場合
第5回「損益計算書は見なかった」。成長性に賭けた新卒ゴールドマンからの“ノールック”転職~UUUM・渡辺崇CFOの場合

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