「優秀かどうかは関係ない」。海外では避けて通れないレイオフの実態| 海外就職のすすめ(14)

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ゆうです。

2013年に日本のIT系メガベンチャーの駐在員としてサンフランシスコに赴任し、その後、紆余曲折あって、現在はAmazonのシアトル本社でプロダクトマネージャーをしています。


「レイオフ」という言葉を聞いたことがあるという人はたくさんいると思います。ですが、実際にレイオフを経験したという人を知っていたり、自身がレイオフされたことがあるという人は、日本ではかなり少ないのではないでしょうか。


「要するにリストラのことでしょ?優秀な俺には関係無いね」

などと高をくくっていたり、逆に

「その日のうちに会社を放り出されるなんて怖すぎる・・・」

なんて闇雲に恐れていたりしていませんか?


僕は自慢ではありませんが(マジで何の自慢にもなりません)、自分自身レイオフされた(米国赴任先の支社がまるごと無くなった)こともありますし、身の回りでレイオフを目の当たりにしたのも一度や二度ではありません。


この記事では、日本人にしてはかなり「レイオフ経験」豊富な僕が(謎の自慢)、自分の経験に基づいて、レイオフの実態を説明したいと思います。

海外就職を語る上で避けて通ることのできないレイオフ。

正しい理解に基づいて、正しい心構えを身に付けておきましょう。

〈Profile〉
ゆう
東京大学大学院情報理工学系研究科修士課程修了。外資系コンサルティング会社で数年の経験を積んだ後、IT系メガベンチャーに転職。2013年に同社の現地駐在員としてサンフランシスコ支社に赴任。2017年、サンフランシスコ支社の閉鎖を受けてAmazonシアトル本社に転職。プロダクトマネージャーを務める。アメリカ生活7年目。アメリカでの半年間の就職活動経験を活かし、英語や海外就職について発信中。
▶Twitter:@honkiku1
▶Blog:https://honkiku.com/
▶Note:海外就職攻略の教科書

※記事の内容は全て個人の見解であり、所属する組織・部門等を代表するものではありません。


【目次】
・レイオフとは:ほとんどは一時的ではなく永久的な解雇
・レイオフ発表から解雇まではこう進む
・レイオフの対象になってしまったら:その日から路頭に迷うわけではない
・まとめ:無闇に恐れず、正しく理解し、冷静に対処


レイオフとは:ほとんどは一時的ではなく永久的な解雇

レイオフとは、ビジネス上の理由により、会社が複数の従業員をまとめて解雇することです。

ビジネス上の理由としては、事業撤退や縮小、事業所の移転などが一般的です。

「リストラ」とほぼ同義と捉えていいと思います。

規模は大小様々で、数人程度の小規模なものから、数千人に及ぶものまであります。


記憶に新しいところでは、2017年にMicrosoftが、事業をクラウドへシフトさせるため、全世界の営業に携わる従業員数千人をレイオフしました。

また、2019年末にはWeWorkが数千人(全従業員の25%に相当)のレイオフを行うと発表して話題になりました。

ここまで大規模なものであれば、メディアでも大きく取り上げられますが、数十人程度の小規模なものであれば、公式な発表をすることもあまりありません。

表に出てこないだけで、アメリカでは毎日のようにどこかでレイオフが行われているのではないかと思います。


ちなみに日本語で「レイオフ」と検索すると、「将来の再雇用を約束した一時的な解雇のことで、リストラとは違います」などという説明がたくさん出てきますが、これは正確ではありません。

確かにレイオフはもともと「一時的な解雇」という意味でしたが、現在アメリカで行われているレイオフのほとんどは永久的な解雇で、いくら待っていても再雇用してくれることはありません(泣)。

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レイオフ発表から解雇まではこう進む

当日まで誰にも知らされない

通常レイオフは、ごく限られたメンバーを除いて、発表当日まで誰にも知らされることなく準備が進められます。

当日の朝に突然、該当する部門の社員全員を集めた全体ミーティングが開かれ、そこで初めて発表されるというのが、僕が今までによく見てきたパターンです。

なので、朝イチの全体ミーティングが突然スケジュールされると、とりあえずみんなざわつきますね(笑)。


レイオフの対象者は公表されない

その全体ミーティングでは、レイオフが行われるということは発表されますが、誰がレイオフされるのかについて公表されることはあまりありません(ちなみにレイオフではなくリオーグ(reorg; 組織再編)という言葉が使われることも多いです)。

個人のプライバシーに配慮して、「各自の今後の配置は個別にメールで連絡します」と発表されることが多いです。

とはいえ、レイオフ対象となった人は会社に来なくなるので、明らかに分かりますけどね。


発表当日が最終出社日となることも

発表から解雇までの流れは、会社によって異なるかと思います。

よく見るのは、発表当日が最終出社日となるケースです。もうその人の仕事は無いわけなので、出社してもらっても仕方ないですしね。

また、情報漏えいを防ぐために会社の資産(データベースなど)にアクセスできなくするという意味もあります。


一方で、引き継ぎや事業のクローズ作業のために、数日〜数週間会社に残される人がいることもあります。

「少しでも仕事が続けられてありがたい」という見方もできますが、既に仕事を失うことが分かっている状況で仕事を続けるのってそれなりに辛いんじゃないかなと思います。

僕だったら早く次に向けて就職活動をしたいと思いますね。


また、会社によっては一定期間(例えば2カ月間)雇用を継続するが、その間は出社してもしなくてもどちらでもよい、という処置をすることもあります。

その猶予期間中に、同じ会社内で別のポジションを探したり、社外で就職活動をしていいよということですね。

先に挙げたWeWorkの例では、レイオフ対象となった社員には3カ月間の雇用継続期間が与えられたそうです。

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レイオフの対象になってしまったら:その日から路頭に迷うわけではない

仮にレイオフされてしまったら、一体どうなってしまうのでしょうか?

もうその日から収入が途絶えて、路頭に迷ってしまうのでしょうか?


「レイオフなんて使えない奴が切られるだけだろう?俺は優秀だから大丈夫さ」

なんて思っている人、そんなことはないんですよ。

レイオフでは、いくら優秀な人であっても、その人の就いている仕事(ポジション)が無くなった時点で容赦なく首を切られます。

これにはアメリカの人材採用の考え方が関係していると思うので、軽く説明しますね。


アメリカでは、採用は人ではなくポジションに基づいて行います。

日本の新卒一括採用のように

「とりあえず人をまとめて採って適性に応じて仕事を与える」

というアプローチではなく、

「この事業でこのような役割が必要で、それにはこのような資質やスキルを持った人を採用しなければならない」

という、パズルのピースをあてはめていくようなアプローチをとります。


「彼は失うには惜しい人材だから、彼に適したポジションを作ろう」

みたいなことは基本的にはしません(組織の上位階層ではこれっぽいことは行われています)。


補償として数カ月分の給与が支払われることも

もし仮にレイオフされてしまったとしても、その日から収入が途絶えて路頭に迷ってしまうみたいなことはまずないので、そこは安心してください。

会社によってポリシーは異なるとは思いますが、レイオフの補償としてseverance package(解雇手当。単にpackageと呼ぶことが多いです)が支給されることが多く、パフォーマンスや勤続年数などに応じて給与の数カ月分が支払われます。

未取得の有給休暇も買い取ってもらえたりするので、もし次の就職先が早く見つかれば、レイオフによってかえって懐が潤うといったこともあります。

僕の場合は再就職に半年近くかかってしまったので、全くそんなことは無かったですが・・・(泣)。


フェア開催など就職支援サービスも提供

また、僕が在籍していた企業のサンフランシスコ支社が閉鎖になった際には(もちろん社員全員レイオフでした)、その会社が社員の再就職の支援をしてくれました。

具体的には、近隣の同業他社をオフィスに招いて就職フェアを開催してくれたり、就職コンサルタントをつけてくれたりしました(めちゃくちゃ助かりました)。

通常のレイオフでここまで公式にサポートしてくれるかどうかはちょっと疑問ですが、会社としてもレイオフは決して嬉しいものではないので、レイオフ対象者の再就職に関するサポート(推薦文の作成など)は惜しまないと思います。


失業保険の申請と医療保険の手続きを忘れずに

レイオフされたとき、就職活動と併せて(むしろ就職活動の前に)忘れずに行っておきたいのが、失業保険の受給申請と医療保険の手続きです。


失業保険の制度は州によって異なりますが、レイオフによって職を失ったのであれば基本的にはすぐに保険金を受け取れるはずです。

保険金は申請しないと受け取れないので(僕もぼんやりしていたら、数週間分の保険金を無駄にしてしまいました)、レイオフされたらすぐに申請するようにしましょう。


また、医療保険の手続きもきちんとしておかないと、万が一の時に人生が“詰む”可能性があります。

アメリカの医療制度は控えめに言っても最悪です。

何かあったときに医療保険に入っていないと、日本より2〜3桁多い医療費を請求されます(例えば盲腸の手術をして2〜3日入院するだけで軽く100万円は請求されます)。


会社に所属しているうちは、会社経由で(かつ、保険料を部分的に会社が負担して)医療保険に入れますが、レイオフされるとこれが失われてしまいます。

アメリカは、日本のような国民皆保険制度がないため、解雇されて何もしないと「医療保険に未加入」という非常に恐ろしい状態になってしまいます。


個人で民間の医療保険に加入するか、COBRA(Consolidated Omnibus Budget Reconciliation Act; 包括予算調整法)という制度を利用して、退職前の保険の任意継続をするよう、きちんと手続きをしておきましょう。

まとめ:闇雲に恐れず、正しく理解し、冷静に対処

以上、僕の経験にもとづいて、レイオフの実態を見てきました。

簡単にまとめると以下のとおりです。

・レイオフのことは、当日まで対象者の誰にも知らされない
・レイオフの発表当日が最終出社日になることも
・レイオフの対象者が公表されることはないが、隠しようがない
・優秀な人材でもレイオフの対象になる
・補償として数カ月分の給与が支払われることもある
・就職支援サービスが提供されることもある
・失業保険の申請と医療保険の手続きを忘れずに


海外、特にアメリカで就職すれば、レイオフは避けて通ることはできません。

しかし、レイオフを嫌って海外就職を諦めるのはあまりにもったいないです。

レイオフを闇雲に恐れたり嫌ったりするのではなく、内容を正しく理解し、冷静に対処できるようにしましょう。

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